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2度目の医療保護入院

時代はコロナ禍である。
同居の父が限界に達し、医療保護入院という形で母が2度目の入院となった。
精神科の病院の閉鎖病棟である。

前回と違い、コロナ禍のため今回はしばらく会うこともできない。母の持ち前の明るさと生命力と、医療従事者の皆様の看護や治療を信じて、経過を今は静観するしかない。

思えば数年前、最初に母の様子が著しく変わってしまい、妄想や虚言の世界に入ってしまった時、私は必死で病院を探した。とにかく毎日が事件だったし、沢山の暴言や攻撃に皆んなが疲弊した。専門家の助けが必要だったのだ。

母を受け入れてくれる病院を見つけ、父や兄と協力して半ば強引な形で母を病院に連れて行った。母とはこれまでも激しい喧嘩をしていたし、もう私には母親はいないということにしよう、と何度か思ったこともあったが、この時ばかりはもしかしたら二度ともう母の普通の笑顔は見れないかもしれない、もう会えないかもしれない、そんな風に思った。それから数日、私は眠れなくなった。

夜になると静けさと共に母の姿が脳裏に焼き付いて離れない。色んな場面が迫ってきて神経が冴え渡るのだ。このままでは、私自身の生活までも破綻してしまう、そう思った私は職場の近くのメンタルクリニックを受診した。

藁をもすがる想い、とはきっとこの事だ。
クリニックはカフェのような雰囲気で、私と同年代や少し若い方が待ち合いにいた。

先生の診察の前に個室で看護師さんから、生まれてから今までの私について尋ねられた。穏やかにとても丁寧に。必死で話して、話が終わる頃には涙が溢れていた。私、頑張っていた。子供時代から母親の変調に振り回されながらも、結婚し子供を産んで、主人の仕事を支え、、とにかく幸せになるために必死だった

その日は先生から「あなたは初めてここにきたから、まずは柔らかい薬をだしましょう」と言われ、軽めの睡眠導入剤をもらい帰宅した。

結局、薬は効いてるのか効いてないのかわからなかったけれど、家族や友達のおかげでなんとか眠れるようになってきて、クリニックには一度の受診で済んだ。

(続く)

#医療保護入院#統合失調感情障害#双極性障害#躁鬱病#多重人格#メンタルクリニック#精神科#閉鎖病棟

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