想い出の曲 #1 「Goin ' Home Tonight」WHITE LION
いきなりですが(笑)
こんなコーナー始めます!
題して「想い出の曲」シリーズ
記念すべき第1弾はこの曲から!
帰郷、と言うのはいつでも喜びと寂しさが
同居する不思議な感情に襲われる。
学生時代を県外で過ごした私は
地元に帰る時と地元から戻ってきた時、
どちらも常に感傷的な気持ちにさせられた。
それから何10年も経過して
大阪で独り暮らしを始める息子に見送られて
帰郷する際の帰り道では涙腺が緩んだ。
だから、と言うわけではないが
道中に聴くテーマソングを考え
帰省する時は車であろうと汽車であろうと
テンションを保つために
まずはこの曲!と言うのを決めた。
それが今回の思い出の曲
アメリカのロックバンドWHITE LIONの
3rdアルバム「BIG GAME」のOP曲
「Goin ' Home Tonight」
哀愁溢れるメロディと爽快なギターの音色
前作「PRIDE」と比較すると
少々ポップになった印象も強かったが
どんなにハードなスラッシュ系を好む
メタル好きの友人たちですら
ほとんどが異口同音にこう言っていた
「ホワイトライオンはめちゃめちゃいい!」
それは私は大いに同感である。
そしてこの曲が私にとって
帰郷のテーマソングとなったのは
こんなことがあってからだった…
時は1989年の夏、大学1年の夏休み
私は山口の下関で独り暮らしをしていた。
(とは言いつつ下宿ではあったが)
大学でバンドを始めた私は
ライブハウスでのアルバイトや活動の関係で
地元に帰るのが同じ下宿の連れよりも
少し遅くなった。
普段は学生の声が響く賑やかな屋内で
共に暮らす同期は皆帰省し
私はひとりぽつねんと部屋にいる、
そんな日々がしばらく続いたある日
4回生の先輩のコネクションで親しくなった
大学と隣接する看護学校に通う
女子友達が数人遊びに来てくれた。
「まだ(地元に)帰んないの?」
「バイトとかバンドのことがあってね…」
定期的に顔を見せる彼女たちのおかげで
私は少し元気を取り戻し
遂に7月の終わり、帰郷の日がやって来た。
「駅まで車で送っていこっか?」
看護学生の友人の1人、
Hちゃんがそう言ってくれた。
「ほんとに?それじゃお願いしようかな…あっ!」
「どしたの?」
「駅の隣にショッピングモール、あったよね?」
「あるけど、どうしたの?お土産買って帰る?」
「あ、いや、ヘッドホンステレオ買いたいんだよね」
「いいよ、じゃちょっと早めに出よっ!」
当初私は下関駅までバスで行きそこから電車で
小倉へ向かい深夜のフェリーで四国に帰る、
そんな予定だった。
当日の夕方、Hちゃんは
数人の友人を引き連れて現れた。
"そんなに人数がいたら車は
ギュウギュウ詰めやないかー!"と思いつつ
その行動には意味があったのだと
後に知ることになった。
「お見送りは盛大にするっちゃよ!」
下関の方言は何だか誰もが
「うる星やつら」のラムちゃんのようだった。
そしてみんなで夕食を済ませた後、お目当てのヘッドホンステレオを選ぶことになった。
当時はまだカセットテープが主流で
有名なところではSONYのウォークマンなど。
だがバイト代もたかがしれている私には
万単位の買い物は厳しかった。
そこで彼女たちが見つけてくれたのが
韓国製のヘッドホンステレオで
値段は6,500円程度。
「これなら買えるっちゃね!」
みんなは宝物でも掘り出したかのように
嬉しそうだった。
― じゃあさ…
これ、私たちがお金出すから
またライブする時は連絡してよね…
「え?悪いって、それはさすがに…お金払うよ」
そんな言葉には耳も貸さず彼女たちは
商品を持ってレジへ向かい
丁寧にプレゼント用の包装まで
してもらっていた。
「え…電車乗ったらすぐ使うのに…」
「気にしない気にしない、あ、予備の電池もいるっちゃね!」
そしてみんなは私が改札をくぐるまで
手を振り続けて見送ってくれた。
ヤバいな…
電車が動き始めた瞬間、何だか泣けてきた。
バンド始めたばかりでお客さんなんて来ない
やれ髪が長いだ、金髪だと冷たい視線を浴びる
少しでも知名度を…と路上で歌っていたら
面倒くさい輩に絡まれる…
そんな日々の繰り返し
人の優しさから久しく遠ざかっていた。
一体何やってんだ、オレ
こんなことしたくてバンド始めたのかよ?
そう思っていた矢先、ライブに来てくれたのが
彼女たちだった。
しばらくは嗚咽が止まらなくて
気づけば電車は関門トンネルを超えて
小倉に到着していた。
そしてようやくフェリーに乗った私は
先ほどのヘッドホンステレオを開封した。
イヤホンをつけ流れてきた曲が
この曲だった。
それからこの曲はいつでも、もちろん今も
私にとって帰省の際のテーマソングとなった。
どんな時でもまずはこの曲を最初に流す、
帰省、と言うややもすると湿っぽい感情を
吹き飛ばすために…
そしてその約1年後、私は
この日見送りに来てくれた女子の1人と
付き合い始めることになった。
実はHちゃんの友人の1人に
私に好意を持っている娘がいたらしいのだが
大変奥手な女の子だったらしく
そのきっかけを作るために敢えて大人数で
お見送りに来てくれたのだそうだ。
(だから付き合うまで1年かかったw)
彼女にまつわる思い出の曲も
今後、随時紹介することになるだろう。
ちなみにその女性は
現在の妻ではない…ので(笑)
こちらの話は家族には
あまり読まれないようにしなければならない…
なんてことはないだろう、昔話なのでw
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