【ノンアルコール・アルコール飲料ユーザー別】アルコール飲料の選び方に関するアンケート調査-飲酒シチュエーション・意識する商品表示項目・「ストロング系酎ハイ」縮小の反応は?
近頃は様々な分野で多様性を受け入れ個々を尊重する意識が求められており、飲酒の場にもその動きが広がっています。各ビールメーカーの中でも、アサヒビールはお酒が飲めても飲めなくても、一人ひとりの体質や気持ちに合わせて思い思いのドリンクを安心して選べ多様性を認め合える飲み方をスマドリ(=スマートドリンキング)と唱し、ラインナップを強化しているようです。
今回は、全国のPOB会員3,000人(平均年齢50.3歳)に、「アルコール飲料の選び方に関するアンケート」を2024年4月15日~4月17日に実施しました。アンケート回答者が普段購入している商品別にアルコール飲料に対する行動を比較していきます。
最も購入する商品・ユーザー層は?
まずは、POB会員にノンアルコール・アルコール飲料を4つに区分し、最も購入する商品をたずねました。
区分については、アルコール度数ごとに下記を定義としています。
今回のアンケート調査では、「一般的なアルコール飲料(50.8%)」が構成比の半数を占め、次に「ノンアルコール飲料(23.5%)」「微アルコール・低アルコール飲料(17.0%)」「ストロング系酎ハイ(8.7%)」の順に続きました。
男女別に見ると、男性は総計に比べ「一般的なアルコール飲料(+5.4Pt)」「ストロング系酎ハイ(+2.3Pt)」の比率が高くなり、一方、女性は「ノンアルコール飲料(+2.9Pt)」「微アルコール・低アルコール飲料(+2.9Pt)」が高くなる傾向です。
年代ごとでは、サンプル数が限られているため参考程度となりますが、男女ともに年代が若くなるほど、「ノンアルコール飲料」「微アルコール・低アルコール飲料」を購入する比率が高くなります。一方、年代が高くなるほど「一般的なアルコール飲料」「ストロング系酎ハイ」の構成比が上昇していくことが見て取れます。
アルコール飲用シチュエーションは?
日頃からお酒を飲む各商品ユーザー別に、飲酒シチュエーションについてたずねました。
アルコール飲料をどんな時に飲用するかたずねると、「ひとりでゆっくり過ごすとき(47.6%)」「食事を楽しむとき(43.2%)」「リフレッシュ・気分転換したいとき(38.0%)」の順に続きました。商品ユーザーごとで見ると、飲酒のシチュエーションに違いがあることが見てとれます。
≪ノンアルコール飲料購入者≫は、「大人数で集まって楽しむとき(41.6%)」「友人・パートナーと過ごすとき(30.6%)」「リフレッシュ・気分転換したいとき(29.7%)」の順で回答されています。特に、総計に比べて「大人数で集まって楽しむとき(+12.5Pt )」が高く、普段はノンアルコールでもお酒を飲む人たちと自身も一緒に楽しむ、またはお付き合いのために飲酒をするようです。
≪微アルコール・低アルコール飲料購入者≫は「ひとりでゆっくり過ごすとき(41.9%)」「リフレッシュ・気分転換したいとき(37.3%)」「友人・パートナーと過ごすとき(31.0%)」の順に回答されました。総計と比べて「食事を楽しむとき(-14.1Pt)」が低いことが特徴的です。お酒があまり得意ではない人からの支持、ほどほどにお酒を楽しみたい時に購入されることが回答者の声からわかります。
≪一般的なアルコール飲料購入者≫は総計と同じく、「ひとりでゆっくり過ごすとき(49.9%)」「食事を楽しむとき(49.0%)」「リフレッシュ・気分転換したいとき(37.7%)」が続きます。一般的なアルコール飲料の方が「飲みやすい」、他のランナップと比べて「味が良い」という意見が散見されました。また、総計と比べて「食事を楽しむとき(+8.5Pt)」「ひとりでゆっくり過ごすとき(+5.1Pt)」が高く習慣的な場面で飲酒がされていることが伺えます。
≪ストロング系酎ハイ購入者≫は、「ひとりでゆっくり過ごすとき(52.8%)」「食事を楽しむとき(40.7%)」「リラックスしたいとき(40.3%)」が続きます。総計と比べて「食事を楽しむとき(-2.5Pt)」は低く、「リラックスしたいとき(+9.8Pt)」「ひとりでゆっくり過ごすとき(+5.1Pt)」「開放的になりたいとき(+6.1Pt)」「気分を盛り上げたいとき(+5.9Pt)」といった項目が高いことが特徴的です。ストロング系酎ハイを選ぶ理由は「コストパフォーマンス」を重視する声や、「せっかく飲酒をするなら酔いたい」との意見があげられました。
レシート分析:ノンアルコール・アルコール飲料 出現数
上図は、会員が投稿したレシートデータから、ノンアルコール・アルコール飲料の1,000枚あたりの出現数をあらわしたものです。
夏季期間は、気温が高まることで「アルコール飲料全体」の出現数が上昇していると考えられます。また、前出のアンケート結果と照らし合わせてみると、長期休暇中はリラックスや開放的な気分になるため「ストロング系酎ハイ」が増加、お盆・年末も人が多く集まる機会が増えることで「低アルコール飲料」「ノンアルコール飲料」の需要が増えることが、レシートデータと回答者コメントからも伺い知ることができます。
意識してみる「商品の表示項目」
アルコール飲料として様々な商品が展開されていますが、何を基準に購入商品が選ばれているのでしょうか。意識してみる「商品の表示項目」についてたずねました。
意識してみる「商品の表示項目」の有無について調査すると、約9割が「商品の表示項目を意識して見る(92.0%)」ことがわかりました。中でも「微アルコール・低アルコール飲料(95.6%)」「一般的なアルコール飲料(92.8%)」ユーザーが特に表示項目を意識していることがわかります。
一方、「ノンアルコール飲料」や、「ストロング系酎ハイ」ユーザーは表示を意識してみる比率は8割を超えるものの、「微アルコール・低アルコール飲料」ユーザーと比較すると9Pt程度の差異があります。「購入する商品はいつも同じものだから」等、購入する商品の基準や判断が定まっているためか、決まった商品を購入する傾向があるようです。
「意識して見る項目がある」と回答された回答者に絞り、特に意識する項目を深堀すると、「アルコール度数(%表記、ノンアルコール) (32.2%)」「酒類の品名(28.0%)」が続きます。
最も購入する商品ユーザー別にみると「微アルコール・低アルコール飲料」「ストロング系酎ハイ」はおおよそ半数が「アルコール度数」を意識しています。商品の選定の際に一際「アルコール度数」にこだわりを持っていると言えるかもしれません。
各ユーザーのコメントからも格段、「アルコール度数」を重要視している様子をうかがい知ることができます。
「ストロング系酎ハイ」販売の撤退や縮小については?
アルコール度数が高く手軽に酔うことができると人気の「ストロング系酎ハイ」ですが、 “今後販売中止になるのではないか”ということが一時話題になりました。
2024年2月に厚生労働省が適正な飲酒に関する指針として「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表し、これを踏まえ、アサヒビールとサッポロビールが、度数8%以上の「ストロング系缶酎ハイ」の新商品を今後は発売しない方針を打ち出したことで、多くの関心を集めました。
「ストロング系酎ハイ」販売の撤退や縮小について、ユーザーはどのような反応を見せるのかアンケート調査をしました。
その結果、半数を超えるユーザーが「賛成(73.1%)」と回答しました。
最も購入する商品ユーザー別にみると、「ノンアルコール飲料」「微アルコール・低アルコール飲料」ユーザーは8割以上が「賛成」と回答しました。また、「ストロング系酎ハイ」ユーザーの中でも1/4を占める26.7%が「賛成」と回答しました。上記は、アンケート回答者全体のアンケート結果ですが、日頃飲酒をするユーザーに絞ってもほとんど変わらない構成比となりました。
賛成派は「健康への影響」を理由に、反対派は「選択の自由」や「飲み方の課題」に関して意見がよせられました。
健康面での課題を考慮し「ストロング系酎ハイ」の新商品を販売しない決定をしたメーカーがあるとはいえ、一定のニーズがあることも確かです。
回答者のコメントにもあった通り、「ストロング系酎ハイ」販売の撤退や縮小があったとしても、過剰飲酒に関する課題が必ずしも解決されるわけではないため、「お酒の飲み方の多様性」とともに「適正飲酒」の啓蒙や普及も推し進められる必要あると言えるでしょう。
今後も、レシートと消費者アンケートで様々なトレンドを分析していきます。
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