君たちはどう生きるか 警鐘
警鐘がなる。
危険だと知らせる音。
けたたましい音に心がざわつく。
起こっている非常事態に対応出来ない。
起こっていることを受け入れられない。
見たくない現実から逃げたい。
誰かのせいにしたい。
自分より嘘つきを探す。
自分より不幸な人を探す。
あの人よりマシだと思いたい。
人も苦しんでいることに目を背けたい。
不安をかき立てる響きに心がきしむ。
『君たちはどう生きる』2023年日本映画。宮崎駿監督。スタジオジブリ作品。主人公の少年の心模様や移り変わりを異世界との交わりを通じて描くファンタジー作品。
映画館で予告広告を目にした。ニュースで、公開情報を耳にした。凄く感動したと泣いている人の映像を見た。YouTubeでは、賛否両論に分かれていると聞いた。とりあえず、自分の目で確かめようと映画館に走った。
私の結論。泣けなかった。今まで観てきたジブリ作品に出てきたような風景が随所に散りばめられ、これはこの作品あの作品と符合させるのも楽しかった。人々の細かな所作から少年が感じる嫌悪感を視聴者にも感じさせる演出が上手い。途中何を描きたいのだろうと、じれったくなった。観終わった後で、頭の中で整理が必要だった。
私もこの作品の主人公のように、
嫌な出来事や受けがたいことが起きると、
現実逃避するかのように、
うっぷんを晴らすかのように、
違うことに夢中になることがある。
目の前の問題と全く違う
気になることに夢中になる内に
何故かしらもっと広い視野で
その問題に向き合い、
自分の腑に落ちる解決策を見つけることがある。
そうか。
それを宮崎駿監督マジックに掛かればこうなるのか!と、改めて思った。
自分の作品作りも、こんなふうにリアル&ファンタジーミックスでありたいと思った。
家庭菜園は9月で丸一年。また、秋冬野菜の種まきの時期がやって来た。植物の不思議に振り回されて絵がおなざりの近頃。着物リフォームにも片足を突っ込み、益々私の中で警鐘が鳴る。早く新作を、仕上げろと!机に向かえ!描きたいことを表現しろと!
この映画開始は警鐘から始まる。
その警鐘はまさに私にも響き渡っている。