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【「無理」の構造――この世の理不尽さを可視化する】 -ほぼ1,000字感想文

○タイトル:「無理」の構造――この世の理不尽さを可視化する
○著者  :細谷 功
○発行  :dZERO(インプレス) (2016/2/29)


■ざっくり要約

「理不尽なのは『世の中』ではなくて『私たちの頭の中』である」という著者の持論から始まる本著。 

世の中を支配する一般的な法則がいわゆる「理」であり、「理不尽」とは、あるべき姿に反しているということ。この前提に立つと、理不尽とは実態と理想の二者間にギャップが現れている状態と説明できる。もし仮にギャップを生んでいるどちらかの要素が、自ら生み出したものであったら。

本論では、「対称性」にフォーカスをして、人々が陥りやすい思い違いを理路整然と解説していく。勝手な思い込みで自ら「理不尽」を頻発させて、窮屈になっているのでは?というクリティカルな問いが清々しい一冊である。


■学びポイント

○折り曲げの法則

[成功&失敗][長所&短所][チャンス&ピンチ]など、多くの言葉には反意語が存在する。しかし、これらを一直線におき中点で折り曲げた状態を想像すると、その対極には新たな概念が生まれる場合がある。いわゆる紙一重。

「親切」と「おせっかい」が紙一重であるが故に、誰かが良かれとやったことが誰かの不満に繋がる事象が発生するのである。

例:
[長所]ーーー[短所] →[長所&短所]ーーー[特徴がない]

○自我はこの世に「絶対的中心」を生み出す

物理空間である宇宙には中心がない。よって上下もなければ左右も生まれない。しかし人間は自我を持つことで、「自分とそれ以外」という非対称性を生み出す。(そして本人はその自覚を持ち合わせていない場合が多い。)

人間は"自分を中心にしてしか、ものごとを考えられない"ことを忘れると、「隣の芝が青い」、「自分だけが損をしている」という錯覚を知らず知らずに増やしていってしまう。実は客観的にそれほどでもないことが多い。

○見えている人と見えていない人

「あの人はいくら言ってもわかってくれない」「我が社の社員は危機感に乏しい」という類の不満はそこら中に転がっている。

これらに共通することは「見えている人と見えていない人」が存在することを認識できていない点である。

例:ある分野に対する理解度に応じて対象者を分ける
 ①わかっている人
 ②わかっていないことをわかっている人
 ③わかっていないことをわかっていない人

→この場合、①と②の人は見えている人、③を見えていない人

見えていない人ほど「根拠のない自信」を振りかざしたり、「正当性の主張」をする。この構造を整理せずに正面から対立をすると、議論は平行線を辿る。この状態の相手とのコミュニケーションは非常にストレスフル。理解しあえないことを冷静に受け入れ、まずは相手の見えている世界を観察してみることから始めよう。


↓出典元

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