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五感で楽しむ - お茶摘みから製茶まで
週末は愛菜家 vol.15
夏も近づく八十八夜(2022年は5月2日)。実家の茶畑で茶摘みを行い、さまざまな方法で製茶&飲みくらべを楽しみました!
八十八夜は、農家にとって大事な節目。初夏の農作業を始めるスタートの日として、各地で茶摘みや田植えが行われます。また、八十八夜に摘んだお茶を飲むと、その1年を健康に過ごせるという言い伝えもあるんですよ。
晴天のなか、麗しい新芽を摘んでいきます
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愛知と静岡の県境に位置する、いとう家のお茶畑。
奥三河エリアでお茶が栽培され始めたのは安土・桃山時代からだそう。
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お茶の新芽がすくすくと育っていますね。
この日は天候にも恵まれて、気分良く茶摘みを行えそう。
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母が50年前に嫁入り道具で持ち込んだという“かすりの作務衣”を、奥さんが着こなして茶摘みしました✨
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摘むのは茶葉の「一芯二葉」。
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新芽の芯の部分と2枚の葉の下あたりをつまんで捻ると、プチッという心地よい感触で収穫できます。
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初夏の緑景に包まれながら、茶摘みをこなしていきます。
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収穫したキラキラの新茶たち。ちなみに日本にある茶畑のほとんどは「やぶきた」という品種だそう。
自家製茶の下準備も癒しのひととき
摘んだお茶のほとんどは地域の製茶工場に持ち込んで煎茶に加工してもらいますが、毎年その一部をワークショップをかねて自家製茶しています。
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茶葉をお皿に乗せて解体してみると・・・
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新芽と2枚の葉、そして茎に分かれます。
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今回は新芽&葉と茎に分け、別々の方法で製茶していきます。
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うぐいすの鳴き声をBGMに、仕分け作業のひとときを。
まったりとした時間が流れます。
製茶その1:発酵緑茶
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緑茶は摘んだ瞬間から発酵(酸化)が進むため、ふだんは茶摘みが終わるとあわてて製茶工場に持ち込んで熱処理を行います。すばやく熱処理を行うことで緑茶ならではの鮮やかな緑色がキープできるんですね。
しかし、このお茶は熱処理せずに天日干しのみで製茶を行いました。
中国・プーアル茶の製茶方法によく似ています。
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よく出るように茶葉を割りながら急須に入れて、待つことしばし。
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そのテイストは・・・まるで烏龍茶や紅茶のようでした!
緑茶の瑞々しさを残しながらも、発酵茶ならではの豊かなアロマを感じるお味です。
製茶その2:茎茶
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仕分けした茎の部分は、焙炉(ほいろ)と呼ばれる素焼きの器で炒って製茶していきます。
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焦がさないようゆっくり、じっくり火入れをして水分を飛ばしていきます。
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炒っていくうちに、まわりはお茶屋さんのような香りでいっぱいに。
お番茶や茶香炉の香りと同じ甘く香ばしいフレーバー。リラックスする香りですね。
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お茶の色は薄めですが、味はちゃんと立っています。
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茎茶は棒茶とも呼ばれ、愛好家も多い部分。
ほうじ茶と同じような、ちょっと鉄分を感じるような香ばしい味わいです。
製茶その3:工場で加工した煎茶
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製茶工場に持ち込んだお茶も完成したので、そちらも淹れてみますね。
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こちらは飲み慣れた「ザ・お茶」という感じ。
まず緑茶ならではの苦味がガッと来て、そこから渋みや甘みが広がっていきます。
緑茶の香りも存分に楽しめます。
製茶その4:手揉みの深蒸し茶
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お次は本命の手揉み茶です!
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仕分けした茶葉を蒸し器に入れて、発酵を止める工程を行います。
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いい頃合いで蒸し器の蓋を開けると・・・
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これぞ新茶!という緑茶フレーバーがフワッというか、ブワ〜ッと香ります✨
お茶摘みの工程ではそれほど香りは感じられない茶葉ですが、蒸すと香りのポテンシャルが一気に開花します。
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色も鮮やかな緑色をキープできました!
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蒸したての茶葉を手ぬぐいに移して・・・
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茶葉に細かな傷がたくさんつくよう、手で揉んであげます。
細かな傷がつくことで、淹れたときにお茶が出やすくなるんですね。
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ちなみに今回の記事は、みたすくらす編集部のIさんもサポートしてくれました!
茶師のような佇まいで新茶の香りを堪能するIさん。
「このアロマオイルがあればずっと嗅いでいられる」そうです(笑)
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ある程度揉み込んだら、今度は手で捻って針状に成形していきます。
手揉み高級茶の風合いが生まれます。
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製茶したての手揉み茶を淹れてみますね。
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手揉み茶は工場製茶に比べて“丸み”が引き立ちます。
まず甘みを感じ、そこから苦味や渋みが広がっていきます。
お茶は嗜好品なのでそれぞれ好みがあると思いますが、個人的にはまろやかな手揉みのお茶が大好きです。
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淹れたときに茶葉が綺麗に開くのも、手揉み茶ならではの醍醐味ですね。
水出し緑茶もお茶の甘みがいっそう引き立つのでオススメです。
製茶その5:抹茶
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飲み比べはまだまだ終わりません(笑)
翌日、蒸した茶葉をよく乾燥させてから実家にあったレトロな石臼ミルで新茶を挽きました。
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綺麗なパウダーになりましたね♪
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お抹茶を器に入れて・・・
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茶道の心得がある奥さんが点ててくれました!
パウダーにすることでお茶の全成分を楽しめます。
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かぶせ茶のように遮光をしていないので苦味がガツンときますが、
挽きたてのパウダーなのでダマもなく超なめらかな飲み口です。
鮮烈な初夏の風。結構なお手前でございました!
番外編:新茶の茶葉は天ぷらにも!
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すぐ発酵してしまう茶葉を食材として使えるのが、お茶農家ならではの特権です。
天ぷらにするとお茶の甘みもしっかりと楽しめ、山菜とはまた違った食感と味わいが◎。抹茶パウダーや蒸した茶葉をミキサーにかけてスイーツに入れてもおいしそう!
身近なお茶の、深くて広い世界を体感。
という具合で、今回はお茶摘みから製茶までを写真たっぷりで擬似体験いただきました。
実家で育てている緑茶ですが、ここまでいろいろな製茶をして飲み比べをしたのは私も初めて。日本人の食文化と深く関わる緑茶の魅力を再発見できた、意義ある取材になりました!
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