もしも徳川家康が総理大臣になったら(最強内閣を考えてみた)江戸時代多め

2021年に出版された眞邊明人著『もしも徳川家康が総理大臣になったら』が2024年7月映画化されて公開されました。
『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』の武内英樹氏が監督を務め、正直なところあまりヒットはしていないようです。
私もそのうちサブスクにあれば飛ばし飛ばし見るかもしれませんが、今のところ映画館で見るつもりはありませんが、予告編などを見る限り着想としては面白いかなと思います。
AI技術を使って歴史上の偉人を蘇らせて最強内閣を作るというストーリーなのですが、歴史上の偉人の人物像がステレオタイプなひと昔前の偉人のイメージといったところで、発想が良いだけに残念です。
ただし原作では藤原頼長だった法務相が聖徳太子、菅原道真だった文科相が紫式部になっていたりといった大衆レベルに下げる改変も行われているようです。
今回は私なりに歴史上の人物を使って最強内閣を組閣するとしたらどうなるかなというのを考えてみました。
本来であれば組閣は内閣の首長たる総理大臣が任命して天皇に認証されるので、総理大臣が家康ならばそのほかの国務大臣は家康が指名することになるはずですので、家康以降の時代の人が入るのはおかしいですが、今回は考えないものとして 近現代になってしまうと歴史上の人物と言い難いので(例えば安倍晋三氏とか)大正期までに活躍した人物に絞りました。
タイトルが「もし徳」なので総理大臣は徳川家康固定です。

今回は江戸時代に偏ってしまったから、各時代ごとに考えるのも面白そうかも。平安時代編とか室町時代編とか。

内閣総理大臣 徳川家康

内閣官房長官 阿茶局

行政各部の調整、国会、各会派との調整、政府スポークスマンであり、総理の右腕とも称される官房長官は徳川家康の側室であり女性ながらに戦場にも帯同し政治顧問でもあった阿茶局と起用しました。歴史上軍師や参謀と呼ばれる黒田官兵衛や太原雪斎などは多くいますが、家康を戦ではなく政治的に支え、大坂の陣では和平交渉を行うなど調整役として活躍した阿茶局としました。

総務大臣 松平信綱

行政、地方自治、郵便、消防などを所管する総務大臣は知恵伊豆と呼ばれ三代将軍家光を支えた松平伊豆守信綱を起用しました。江戸幕府の成立過程において幕藩体制の確立や明暦の大火からの復興における都市整備に尽力しただけでなく、有名どころでは島原・天草一揆の鎮圧と戦後処理を行いました。

法務大臣 大岡忠相

登記、戸籍、民事法性と司る法務大臣には大岡越前でおなじみの大岡忠相を起用しました。江戸町奉行の職務は現在で言うところの東京都知事兼消防総監兼警視総監兼裁判官という多岐にわたりますが、一般に大岡が評価されるのは公平な裁定とされますので法相としました。もし徳の原作では悪左府様こと藤原頼長が充てられていて、これはうまいなと思います。

外務大臣 吉備真備

小村寿太郎や陸奥宗光も思いつきましたが本職すぎるので見送りました。江戸以前で実際に海外との外交を行った人物というと聖徳太子、小野妹子、北条時宗(物理)、足利義満、豊臣秀吉(物理)、阿部正弘くらいなもの。しかもどれも成功しているかどうか怪しいです。
海外留学経験があり、安全保障にも詳しい吉備真備を起用しました。

財務大臣 日野富子

室町幕府第8代将軍足利義政の正妻で本当は藤原富子あるいは御台、室町殿などと呼称するのが正しいようです。かつては応仁の乱の原因となったかのような言われ方をしていましたが、将軍の妻として混乱の中にあって資産を築いた手腕は見事で、夫義政の東山殿造営と言った無駄なことには一切出費しない一方で御所の再建などには私費を投じるなど必要なところには資金を投じることができる人物です。個人資産は現代の価値で70億円にのぼったとも言われ、後述する積極財政派の経産相とバランスを取れればいい感じになると思います。

文部科学大臣 最澄

教育、科学技術、学術、文化の振興を担う文部科学大臣には最澄を起用しました。学問で有名な歴史上の人物と言えば、恐らく最も有名な学問の神様 菅原道真、日本一の大学生(だいがくしょう)藤原頼長、林羅山を初めてする江戸時代の儒学者たちなど色々いますが。原作もし徳で菅原道真がとられているのと、林羅山にすると江戸時代に偏るので派閥人事と、
学問は大学の仕事であって文科省は教育主体なので教育者としておそらくその後の日本の歴史に最も影響を及ぼしたであろう天台宗の開祖である伝教大師 最澄としました。科学技術という意味で杉田玄白や平賀源内などといった線もありましたが江戸時代ばっかr(ry

厚生労働大臣 貝原益軒

健康、医療、福祉、介護、雇用、労働、年金を所管する厚生労働大臣には江戸時代の朱子学者貝原益軒を起用しました。本草学者、医者として健康についての専門家であるのみならず、江戸時代にあって福祉を君主の義務と説きました。
原作もし徳では徳川綱吉が就任していて、野犬の収容と病人や老人の人権を重視した綱吉はぴったりだと思います。

農林水産大臣 松平定信

松平定信は天明の大飢饉の際に寛政の改革を主導しました。新田開発、治水事業の他、種籾や農具の費用の貸付制度を整備して農業の振興を図りました。ただし幕府の財政政策としては大緊縮財政を行ったせいで完全に失敗したので経済政策には口を挟まないで頂きたい。後述する経産相とは犬猿の仲になりそう。

経済産業大臣 田沼意次

賄賂政治などと評判のあまり良くない田沼意次ですが、緊縮財政の傾向が強い江戸時代において積極財政と商業重視の姿勢は先見性あり。現代日本に必要な人材だと思います。財務大臣と迷いました。

国土交通大臣 豊臣秀吉

外交交渉だとか金融のイメージがある豊臣秀吉(とよとみのひでよし)ですが、実際にはおそらく土木工事の天才だと思います。そもそも出世のきっかけとなったと言われるエピソードは墨俣城の馬防柵建設とも言われますし、得意とされる堤建設と水責め、京都を土塁で囲んだり(御土居)おそらく公共事業、土木工事が好きだったんだと思います。

環境大臣 徳川綱吉

廃棄物対策、公害規制、自然環境保全、野生動植物保護を所管する環境大臣は徳川綱吉 生類憐みの令で知られる江戸幕府5代将軍です。実は福祉政策などにも力を入れていますが今回は環境相としての入閣です。レジ袋を飲み込んだウミガメが死んだら打ち首にされるかもしれません。

防衛大臣 藤原隆家

藤原道長の甥にあたり、道長のライバル伊周の弟です。自ら進んで大宰権帥になりましたが、在任中の1019年に大陸から刀伊(女真族)が博多に侵攻し(刀伊の入寇)ましたが都出身の上級貴族のくせにこれを撃退。あまり知られていませんが救国の英雄だったりします。日本で対外戦争で勝利したのは隆家と元寇の時の北条時宗くらい。

国家公安委員長 松平信綱(兼任)

国家公安委員長は旧自治大臣と兼任することが多く、総務大臣と兼任することもあるため島原の乱を鎮圧した松平信綱が兼任します。

内閣特命担当大臣
防災担当大臣 後藤新平

関東大震災の後、東京を復興するために置かれた帝都復興院の総裁を務めました。明暦の大火の後の江戸の復興を担当し火避け地などの整備を行った松平信綱も選択肢でしたがさすがに江戸時代くらい激務すぎるので分けました。因みに後藤新平は帝都復興院総裁の他にも逓信大臣、内務大臣、外務大臣、鉄道院総裁などを歴任しています。

金融担当大臣 渋沢栄一

日本における株式会社の生みの親で近代日本の経済基盤を作った人物です。新たに1万円札にもなっています。

少子化対策担当大臣 徳川家斉

江戸幕府第11代将軍、とくに深い理由はありません。子供が53人いました。

おまけ

気象庁長官 安倍晴明
文化庁長官 足利義政

思いつかなかった

デジタル大臣 公共団体の情報システム統合とマイナンバー整備が所管なので太閤検地の豊臣秀吉か。
消費者および食品安全担当大臣 シンプルに何をしている大臣なのか不明。高峰譲吉?

やっぱり平和の時代の方が政治が充実してくるのと、日本全体と言う単位で政治を行ってた江戸時代が多くなってしまいました。
奈良以前1人、平安時代2人、鎌倉時代0人、、室町時代1人、戦国時代3人、江戸時代6人(兼任除く)、明治以降2人 (家康と阿茶は戦国扱い)
会派が偏ってますけど派閥の論理が働いたということで。
あと女性ももっと入れたかったですが難しいですね。ただし女性官房長官は憲政史上初だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?