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『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』 第三十七話「蒼紫対翁」/第三十八話「操の決意」

 葵屋を襲撃した志々雄の隠密部隊を返り討ちにし、逆に蒼紫に決闘を申し込む翁。ついに激突する二人だが、蒼紫の奥義が翁を切り裂く。折良く京都に到着した恵によって翁は一命を取り留めるが、操は自分が御庭番衆を率いると宣言する。一方、京都に到着した左之助は、斎藤と共に張から志々雄一派の計画を聞かされる……

 今回も二話まとめての紹介ですが、年末を挟んだものの、実質的には葵屋――というより、蒼紫と翁、操を巡る前後編的な内容と言えるように思います。

第三十七話

 まず第三十七話の方ですが、サブタイトルどおりに翁と蒼紫の対決に向かって物語は展開。その前に、前回嫌な感じで引いた志々雄一派の葵屋襲撃が描かれますが、いかに隠密部隊と粋がっても、幕末を経験していない奴は基本的にヒエラルキーが低いこの世界(といっても葵屋に幕末経験者は翁くらい?)では、拷問するつもりが拷問される体たらくです。それにしても、昔は特に意識していませんでしたが、人間燭台されたうえ、肌に果し状を刻み込まれるという、およそ主人公サイドの所業とも思えない目に遭わされた隠密こそが、むしろ哀れでしょう(そして帰ってこなかった残りの面子は……)。

 そして、この果し状を受けた蒼紫が翁と対決することになるわけですが――トンファーvs小太刀二刀流という、珍しい得物同士の対決は、思っていたよりも見応えのある一戦に発展。しかし鋼鉄製のトンファーで何発か思い切りぶん殴られてもピンピンしている蒼紫は、意外とタフだったのか、翁が何だかんだで老いているのか……

 そして、この一戦と並行して描かれたのは、志々雄による方治への「洗礼」ですが――以前アニメオリジナルで描かれた方治の志々雄への心酔ぶりからして、もうとっくに洗礼を受けていたのかと思いきや、実はまだだったのにはコケました。ということは、あの心酔ぶりは全てパフォーマンスだったということであって、文脈が全く変わって見えるのが面白いところです。
(それにしても、死後の世界はないと言い切っていた人間を地獄に連れて行くんだから、やはり志々雄は罪深い……)


第三十八話

 さて、翁と蒼紫の戦いが決着した瞬間に、操が到着――という最悪のタイミングで三十八話が始まるわけですが、ここでアニメオリジナル展開でイイ仕事をしたのが恵です。原作では京都に来ていたっけ? というレベルの存在感でしたが、今回のアニメでは随分早く、それも絶妙なタイミングで到着して、翁の治療に当たります(まあ、展開は恵であろうと他人であろうと同じなんですが……)。アニメで追加されたせいか、操のお頭就任にツッコミを入れるシーンには声だけの参加だったのは御愛嬌ですが、これからの展開にどう絡むのか、非戦闘員だからこそ逆に気になるところです。

 と、恵にばかり気を取られていましたが、ここで「らしさ」を発揮したのは弥彦。葵屋に現れた蒼紫に、葵屋の面々が騒然となる中、真正面から理非を説いて蒼紫を退かせたのは、彼ならではの真っ直ぐさというもので好感が持てます(東京で蒼紫の戦いを見てきているので、怖い物知らず故の無謀ではないわけで)。
 また、最も衝撃を受けていたことは間違いないにもかかわらず、真っ先に立ち直り、お頭を勝手に襲名した操も、痛快さすら感じさせる腹の据わり方です。今回は若い世代の真っ直ぐさが際立って感じられたのは、幕末組(蒼紫も一応その一員ということで)の引きずりっぷりとは対照的に感じます。

 そしてもう一人、張との小競り合いの末に志々雄の計画を知り、京都の人々のために怒りを燃やす左之助も、この若い世代に入れてよいでしょう。全般的に作画がいまいちなこの回でしたが、このシーンの左之助はやけに気合いが入って描かれているのが印象に残りました。


 さて、若い衆が頑張る一方で、幕末屈折組の筆頭・剣心はまだまだ再修行中。彼の出番は次回となります。

 ちなみに、第三十七話からOP・EDが変更となりましたが、画的に印象に残るのは。何といっても滅茶苦茶イイ笑顔を見せるEDの操。スタッフの愛を感じます(理解できる)。

 前回のブログ記事はこちら


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