渋谷でストリップ鑑賞デビューして来た話③
前回の記事はこちら↓
(前回の続き)
3.鑑賞・混迷
・タンバリンおじさん出現?
トイレを済ませた後は、ロビーでスマホいじったり(劇場内はスマホ使用禁止です。まぁそりゃそうだろうな)、劇場内の自分の席でモジモジしたりして時間を潰しました。
他のおじさん客たちも大体僕と似たような時間の潰し方をしていましたが、とは言え、やはり皆、総じてリラックスしていらっしゃる。歴戦の雄ばかりです。
中には、おそらくセブンイレブンで売ってる4個入りの安いパンを、レイバックのくつろぎ姿勢でもぐもぐ食べているおじさんもいました。いやリラックスしすぎでしょ。もう家なんよ。
そして、他にも僕が気になったおじさん、いや、70歳の峠を超えていらっしゃいそうなおじいさんが1人いました。
そのおじいさんは、落ち着いた様子で、舞台袖に置いてあったダンボールの箱やタンバリンを片付けているように見えました。「お店の人かな?」と、僕は特に深く考えることもなく解釈しました。
そう、彼が開演と同時に、客席の隅でタンバリンを構えるまでは———
・授業開始の鐘
さて、そんなこんなで開演5分前になりました。
僕はすでに劇場内の自分の席に着席しており、今か今かと開演を、麗しき乙女たちを待ち侘びておりました。
その時でした。
「キーンコーンカーンコーン……
……コーンカーンキーンカーン」
非常に懐かしい音色が、建物中に響き渡りました。僕は驚愕しました。学校のチャイム、そのものでした。
チャイムが鳴ると同時に、劇場外にいたらしい生徒(おじさん)たちがぞろぞろと教室(ストリップ劇場)に入って来て、各々自分の席に着席していきます。アダルティーとノスタルジーの、かつてない程の強烈なマリアージュで僕の頭はオカシクなりそうでした。
しかし、劇場内には何事もなかったかのように「この度は、渋谷道頓堀劇場にお越しいただき、まことに、ありがとうごさいます」という機械的なアナウンスが流れていきます。混迷、ここに極まれり。
そのアナウンスが終わると、劇場内がブラックアウト。舞台横から出てるのはスモークかな?
流れ出す陽気なミュージック。いよいよ始まるようです。
やがて、数多のスポットライトがオンになり、バッと視界が開けました。するとそこには——
・秘奥へ架ける天使の梯子
ところで突然ですが、みなさんは「チンダル現象」なる科学現象をご存知だろうか。
僕とてド文系なので、僕なりに噛み砕いた簡単な説明をすると、
「ほどほどの大きさの粒子たちが漂う空間に光を当てると、その光がその粒子たちにほどよく反射して、結果としてその光が筋になってよく見える」
現象のことです(違ってたらごめんなさい)。
水と牛乳を混ぜた溶液にレーザーポインタを当てるやつとか有名かな? 読者の皆さんも、中高の理科でやった記憶があるのではないでしょうか。
このチンダル現象、実は大気中でも起こり得ます。例えば、雲の隙間から伸びる陽の光線……なんていうちょっと荘厳な光景も、チンダル現象の一種なのだそうな。
欧米では、この光をヤコブズラダーと言うらしいです。天使の梯子、というわけですね。なるほど、確かにそんな感じする。綺麗ですしね。
そして、条件さえ揃っていれば、この天使の梯子も架かる場所を選びません。
舞台横でスモーク炊いてたのは、このためだったんですね。スポットライトも相まって、何本もの美しい天使の梯子が、麗しき乙女の身体のいたるところへ架かっていました。
それによって、僕は、女性によって秘奥の形が違うという発見をしました。
シンプルなもの、アクロバティックなもの、左右非対称なもの…… ふむ、実に面白い(福山雅治に謝れ)。
つい変態ガリレオになってしまいましたが、そういう目を抜きにしても、彼女らはとても綺麗でした。しなやかかつ力強い踊り、多種多様なコンセプトの衣装、音楽、演出の数々…… 彼女らは間違いなくプロでした。
ちなみに、僕は海賊、夏祭り、お茶目なウェイトレス、メリー・ポピンズあたりが好きでしたね。
(次回、タンバリンおじさんの正体が判明⁉︎ そして、さらなる未知との遭遇へ—— 次回最終回です)
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