白々しい朝(自由律短歌10首)

貞淑な目覚ましはりりりりりと鳴るので後は嘘でいい朝

清廉でないまま鱗は剥がれ水面みなもは円を描かず揺蕩う

白濁と云える眠りは詩にならず 早く、と急かすタナトスは友

部屋に黒い蝶の幻覚 朝塞ぐカーテンにわたくしはとける

ドレスのままギロチンの夢を見るシンデレラ 寝台は白いまま

魔女が笑う前から世界は壊れてたよ骨も血も綺麗なまま

わたしきっと蝶になって夜の海に落ちる なかがどろどろだから

君の声、砂糖みたいにたくさん聞かせて知らない紅茶だから

歯形を二時間以上見つめた日は食欲不振のフリをする

「いってらっしゃい」キスして三度寝ほんとは花が欲しかった

宜しければ投げ銭頂けるとありがたいです。割と生活費に直結すると思います。