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野良猫と並走した話【保護猫はロシアンブルー・日常編⑧】

いつもの散歩に出かけた私と保護猫ぐり

本当は「野良猫に追いかけられた話」というタイトルにしたかった。しかし嘘はいけないな、と思いこちらのタイトルにしてみた。
「野良猫と並走した」話、良かったらご覧ください。

我が家の保護猫・ぐりは夜の散歩が日課だ。リードをつけ、近所をブラブラと歩いて帰ってくる。つい先日もいつもの夜のように散歩が始まった。

雪国の5月の夜は、まだすこし風が冷たい。
「でも昼間が暑かったからなんかいい気持ちだなー」と思いながら歩く。

ぐりも嬉しそうに尻尾をブンブン振りながら歩いている。そして家から150mくらい先にあるご近所さんちの車のにおいを、クンクンと嗅ぎ始めた。

ぐりのクンクンが長くなりそうだったので、持っていた自分のスマホに目を落とす。しばらくしてぐりをふと見ると。

「アレ‥なんかいる‥」

と私が思ったのと、ぐりが
「ワギャギャ!!!」
と叫んでエビのように後ろに飛び退いたのがほとんど同時。

そう、ぐりの1メートルくらい前方に、茶白の野良猫が突如姿を現していたのだ。

目と鼻の先に野良猫。ビビりのぐりは…

ぐりはビビリだ。
いつも脱走すると、近所の野良猫のボスに追いかけられて帰ってくる。

しかし今日はお荷物(リード+私)付き‥。
普段なら身を翻して逃げられるのに、今日はできない。

「戦う?イヤイヤ、無理無理無理!」
という気持ちの波を表すかの如く、振り返っては逃げ、振り返っては逃げを繰り返すぐり。

「かー!!」とぐりなりに威嚇しながら。
野良猫はそんなぐりにお構いなしでジリジリと近づいてくる。

テンパっていたのはぐりだけではない。
飼い主の私も、もちろんかなりテンパっていた。
とりあえずぐりを抱き抱えてはみたものの、ものすごい鳴き声で抵抗して腕の中で暴れている。

でもここでリードをつけたまま離したら?
家にはきっと戻ってこない。
リードがどこかに引っ掛かって動けなくなって、それこそ野良猫にやられるかもしれない。

瞬時にそう判断して、ぐりをさらにギュッと強く抱いたため、ぐりもびっくりして、私の左手人差し指を思い切り噛んだ。

痛かったが、痛がってる余裕はない。ナウシカばりに堪えて家までの約150mを40代なりの全力で走り抜ける。

5.5㎏のぐりを抱えて走る私のわきを、さっきの野良猫が並走している。
「追いかけられてる…っていうか、並走されてる(泣)!!」

さらに走りながらもうひとつ気づいてしまった。
「オシッコ臭い‥」
「まさか‥チビってるのか、ぐり(泣)!!」

傷心の猫&飼い主と、並走する野良猫。
シュール‥。

絶望した気持ちで野良猫と走る

家までの150m、こんなに長かったっけ‥?
絶望しながら走る。野良猫とともに。
我が家は玄関前に階段があるのだが、なんとその階段前まで野良猫はついてきた。

「こ、怖い!!」
ぐりと私の気持ちがリンクした瞬間だ。玄関に入ったあと、無意識に鍵を閉めた私‥。

ハアハア息を切らしながらうなだれる飼い主。
尻尾を太くしたままリビングをウロウロするぐり‥。

そしてやはりぐりはチビっていた。
私の洋服の右部分と、スマホを入れていたショルダーバックがちょっとだけ濡れている。
そして臭い‥
噛まれた指を消毒し、洋服とショルダーバックを洗う。

洋服を洗いながら、さっきの自分たちを俯瞰してみる。
「…てか野良猫きたの気付くの、私たち遅すぎないか?」
「暗闇で野良猫と並走してしまった…」
そして「フフフ‥」と笑う私。(気持ち悪いですね)

鍵を閉めてしまった意識がなかったため、あとから帰ってきた旦那のピンポンに飛び上がる私とぐり。

noteではさんざんぐりのことを「ビビりな猫」だの「結婚したくないタイプ」だのとネタにしてきたが、飼い主もビビりでした。
ぐりごめんなさい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※猫に噛まれたらすぐ病院へ行きましょう!私は翌日腫れあがったので皮膚科を受診しました…(説明が恥ずかしかったです)

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