桜の季節
※文章の音声化についてはこちらをお読みください。
https://note.mu/misora_umitosora/n/nc76e754673e5
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桜の季節になると君を思い出す。
君は桜のようだね、と言ったことがあったっけ。
花咲くことを望まれ、散りゆく様を惜しまれる桜。
美しく、儚く、それでいて生命力にあふれ力強い桜。
昼見る桜は気まぐれな春の嵐に枝を揺らしても決して花を落とさず、それでいて弱々しい春雨に花を散らす。
夜桜は妖しいほど綺麗で不思議な艶っぽさがあって。
狂い咲きの桜は見る者を魅了するほどに何かを訴えかけ、春風に舞い散る花弁は世界を桜色に染める。
若くして薄紅の花を、老いてなお白い花を咲かせ、花咲かぬ季節にも堂々とたたずむその樹は美しい。
春の柔らかな空気に包まれながら君を思う。
そして、今年も少しでも長くこの花を楽しめますように。
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儚く:はかなく
春雨:はるさめ
妖しい:あやしい
艶っぽさ:つやっぽさ
花弁:はなびら
アドリブによる台詞の追加・人称や語尾変更はご自由にどうぞ。