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私が何度か転職をして、なぜ今知財業界の採用・転職支援を行っているのか

この記事は、2022年に株式会社SHABELさしみさんにインタビューしてもらった内容です。
(さしみさん!投稿がめっちゃ遅くなってしまってすみません!)

法曹業界や臨床心理などニッチな分野の転職活動の支援を行っている株式会社WILLCOで、キャリアアドバイザーとして働いている三島善太氏。今までのキャリアから学んだことや知財業界のこれからや思いについてインタビューを行った。

聞き手:Shovellインタビュアー 藤澤恵太 芸名"さしみ"


安定の大企業と挑戦のベンチャーを経験した転職活動

さしみ:今行っているお仕事について教えていただけますか

三島:今はキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーを両方やっています。人材紹介会社でのお仕事がメインの業務になっています。

さしみ:今の会社は新卒からというわけではないんですね?

三島:そうです。2018年の4月入社で、4年くらい働いています。

さしみ:最初から人材紹介のお仕事をずっとキャリアして歩まれていたんですか?

三島:いや全然そんなこともなく、新卒で入った会社は建築系の会社です。大手ゼネコンの下請けで、施工管理系の仕事を11ヶ月くらいやっていましたが、1年もいませんでした。その後は3年間ITのベンチャーにいました。

さしみ:建築業界、ITベンチャー、人材業界という全然違うキャリアを3つ跨がれていると思うんですけど、ご自身のこだわりや思いのポイントはあったのですか?

三島:元々大学生の頃からベンチャー企業のほうが、たぶん自分には合っていると思っていたので、本当はベンチャー企業に入るつもりで就活もやっていました。ただ新卒じゃないと入れない会社もあるだろうと思って、安定している基盤も整っているような会社として建築系の会社に入りました。その時も人材会社を使って就活していました。

さしみ:新卒で人材会社を使うのは、結構珍しくないですか?

三島:おそらくその当時、人材会社を使っている人はほぼいませんでしたね。私も人材会社とそこで初めて出会いました。建築会社に入ってみたら予想通り安定していましたが、予想通り面白くなかったですね。笑
オリンピックなど規模が大きいことに関われる点にすごい魅力を感じて入りました。しかし、そこまで魅力を大きく感じなかったことと、1番大きかったのは1人前になる修行期間が10年くらいかかる業界だということですね。「やっぱりこれはベンチャーだ」と思って、11ヶ月で1年経たないうちに転職をしました。

さしみ:そこで元々行きたかったIT業界に行かれたということですか?

三島:別にITがいいわけではなかったですが、まず、20代の若いうちにインセンティブとして給料や会社の業績に反映されるようなベンチャーに入りたいと当時思っていました。社内ランキングなどで可視化もされて、給料もその時はちゃんと増えました。当初考えていた実績が目に見えるように感じられたので、予想通り転職は上手くいきました。

さしみ:それでは何故、さらに人材会社への転職をされたのでしょうか?

三島:実は社内でいろんなことが起きて、所属していた部署が潰れました。入社して半年経って部署内で売上1位を取れて楽しい時期に、いろいろと問題が起こり、別の部署に異動しました。ベンチャーの会社の体制が変わりやすいというのを実感しましたね。不動産系の部署に異動して、チャットでお部屋探しをしている人を集客して、そのまま店舗スタッフである僕が担当していました。その部署では2年半くらい働いていましたが、ベンチャー企業でやる上での営業ノウハウをある程度その会社で身に付け、その会社でも僅かながらリーダー的な業務や営業統括業務をやっていました。
転職をどうしてもしたいというわけではありませんでしたが、今の経験を活かして他の会社で活躍する機会があるのかなと思って、ベンチャー企業に入社して3年経つ頃にエージェントを使って転職活動を始めました。

さしみ:ここでもエージェントが出てくるんですね。そこで自分のやりたい仕事をエージェントを介して見つけたということですか?

三島:当時、友達がエージェントをしており個別に話をしたのがきっかけでした。最終的に友達の上司(その会社の社長)が担当してくれました。最初は結構カジュアルに話したり聞いたりして、徐々に転職活動や面接を通して、希望度や魅力がどんどん上がってきて入ったという流れです。

異業種でのチャレンジから生まれた苦労や価値観

三島:人材紹介業と僕が当時やっていた不動産の仲介業は、業務フローがほぼ一緒なんです。物件を探して提案して内見して成約して、そこからの入居までの流れとか。転職したい人にも求人を紹介して、面接行って内定した後の入職までの流れが全く一緒だと気付きました。

さしみ:入社までか入居までかの違いみたいなことですね。

三島:この業務フローが一緒だからすぐ活躍できるって思ったのが一番大きいですね。また、医療と法律というニッチな業界を事業としてと扱っているおり、何かに強みがあることも魅力的でした。まだ立ち上げ間もない会社で、事業をスタートしたばかり、段々と売上が上がっているような段階でした。そこに入って自分が事業を作り上げていけるという点に魅力を感じて、「転職したら何か活躍できるのでは」と思って入社しました。

さしみ:まさにやりたいベンチャーという点と、活躍できる業務フローがしっかり頭に入っていて、かつニッチ産業を攻められるという3つのピースが揃っていたんですね。

三島:正直その当時は、自分の成長とか活躍するところにしかフォーカスしていませんでしたけどね。

さしみ:入社前と入社後のギャップはありませんでしたか?

三島:最初は思ったよりも活躍できませんでした。当たり前なんですが、業務フローは一緒でも、不動産を探している人と転職をしたい人のニーズが違って、最初はちょっと苦戦して、なかなか4~5ヶ月くらいは実績が残せませんでした。
不動産の場合、物件が合わなかったらお金はかかりますが引っ越せばいいじゃないですか。転職に対しても、僕自身が「今の会社合わなかったら転職したらいいや」という考えだったので、同じ価値観で接していたことで、求職者のニーズに応えられていませんでした。
(日本って何度も転職したい人はたくさんいないな、と後で気付きました…)

さしみ:たしかに。キャリアに傷がつくことや周りの目とか、親に「また転職したの」などと言われるのを気にしますよね、日本人は「石の上にも三年」という言葉もあるし、辛くても辞めずに働き続けようというマインドが一般的です。

三島:ちゃんと親身になって話すこととか、ちゃんとキャリアについて考えなきゃいけないとか。あとは採用を決めた企業から内定を急かされることが多いんです。内定者に早く受諾してもらった方が会社としてはお金になりますが、むしろちゃんと企業との間に入って交渉してあげるとか、考える時間を作ってあげるとか、内定者に寄り添うような考えに行き着きました。すると、「転職をやっぱりやめます」というキャンセルも減りました。半年くらいかかりましたがこの考えに気づいてから、結構実績は残せるようになりましたね。

さしみ:頑張る評価軸が自分の中で変わったということですか?今までは数字で目標をおいていたところから、気持ちや感謝される回数などの指数に変わっていったようですね。

三島:そうですね。前の会社では気持ちのような定性的なことよりも、金額などの定量的な部分の数値を重視されていました。「これができていないのは、この数字ができていないからだ」という考えで前の会社は育てられていたので、このギャップから抜け出すのに苦労しました。

ニッチな知財業界でも人とのつながりを大切に

さしみ:具体的な採用支援のエピソードを教えてください。

三島:求人や取引する法人自体を1から僕が開拓をして、特許事務所をメインにクライアントとして対応してきました。意外と、営業活動以外をきっかけに取引をすることができた特許事務所が、実は多くあります。交流会やイベント系に参加した時に知り合って仲良くなり、そこから取引をさせていただいたり、さらに、特許事務所から採用先をご紹介いただいたりしました。営業では、絶対に出会うことのできなかった特許事務所の代表などに出会えましたね。

さしみ:たしかに単純なテレアポから出会わないようなところではなく、喜んでくれるような場所に出向いていくことで、一緒に関係を作っていけることは意外と多いですよね。

三島:今の会社ではそのようなやり方が許されていて、かなり自由にやらせてもらっています。売上などの数字をそんなに求められることも少なかったので、スピーディーに営業以外からの取引先も増やせたのかなという気がしています。

さしみ:なるほど。特許事務所ってすごい独特、ニッチな産業だと思うんですけど、苦労されたことはありますか。

三島:特許事務所には、弁理士・弁理士受験生の候補者を紹介するのですが、最初は業務内容が分からないので勉強しましたね。あとは特許事務という職種があります。弁理士の申請業務のサポートをする人ですが、何種類か業務あるんです。国内事務さんと、外国事務さんと、外内事務さんと、商標事務さんみたいに。

さしみ:どのようにその知識を学んでいったのですか?

三島:そもそも特許や知的財産に関して、あまり興味関心がある人が世の中に少ないですよね。その中で僕みたいな転職エージェントが興味を示して色々聞くと、特許事務所の方たちは喜んで教えてくれました。知財業界の人は結構優しかったです。

さしみ:ではその後は順調だったのですか?

三島:実は当時1番苦労したのは、むしろ社内でした。士業の司法書士や医療系の臨床検査技師など、社内で扱っている案件は全てニッチな分野ですけど、知的財産系の分野を担当していたのは僕1人しか当時いませんでした。特許について理解はありませんし、理解してもらうように話をするためには、相当準備しないと会社にプレゼンできませんでした。知財業界内でどうやったらここを突破できるかとか、そういう話が全然できなかったですね。ずっと業界の人に頼ってばかりでやっていましたね、1人で。

さしみ:そうなんですね。でもそこをどのように突破したのですか?

三島:業界内の人に話を聞いていたことと、あとは競合さんがいらっしゃったので、競合さんと情報交換をする機会に積極的に参加しました。自分のやっている知財領域が事業として成り立つまでには2年くらいかかりましたね。

さしみ:話を伺っている中で、継続力と成果を出す力が一貫していますよね。そこで、働く上で1番大事にしていることはありますか?

三島:まずは当たり前のことを当たり前にやることですね。よくある基礎をまずやり遂げます。例えば数字的な指標があるなら、それをまずやり遂げる。やり遂げた結果、上手くいっていないところがあれば、他の人に相談しますね。
あとは色んな人に相談したり話をいっぱい聞いたりして、自分のものになるまでひたすら聞きまくって解決してきました。交流会などが大好きなので、色んなところに行っています。今の会社だけの価値観だけ問われてしまっても、機会損失しているかもしれません。結構様々な場所に行って話を聞いて情報を得ることは、前の会社でも新卒でも、いや学生の頃からやっていました。

知財業界の未来を明るく灯したい

さしみ:知財業界のこれからについて、何か考えていることはありますか?

三島:知財業界への転職者は、どうしても新規で入ろうと思う人がすごく少ないことが問題ですね。弁理士という資格自体を年々取得する人の数が減っています。それに伴って、業界が高齢化してきており、弁理士資格を維持する数もそろそろ減ってくるのではないかと思います。
まずは若い方に知財業界に流入させたいですよね。なので、知財業界に飛び込むためのハードルを下げたり、興味関心を持ってもらえたりするイベントなどを長期的にやっていきたいなと思っています。そもそも若い人が希少なことは採用する側も分かっているので、そもそも大事にされます。しかも理系の経験値を持っている人であれば、研究や開発をしてきた経験や知恵を使ったプラスの仕事ができます。専門的な業務になるから長く食べていけるようにもなります。

さしみ:たしかに、なくなる業界ではないですね。では、キャリア支援をする中で大事にしていることって何かありますか?

三島:未経験者にはまずこの業界に魅力を持ってもらえるように伝えています。知的財産業界の入り口として「僕に聞いてもらえれば大丈夫」と伝えた上で転職活動をサポートしています。
一方、経験者は業界のことは詳しいんですけど、転職に関する知識や経験がそこまでなかったり、意外と他の特許事務所に関する情報は知らなかったりします。申請業務は一緒ですけど、その業務をシステマチックにやっているところや、むしろ紙を大切にしてコミュニケーションを大事にしているところなど、方針は事務所によって違います。

さしみ:すごいです。もう業界の灯台のような、照らしているような存在になっていますね。

三島:だけど特許の出願件数は、日本が中国に抜かれて世界の第3位まで落ちてしまっています。今はアメリカ、中国、日本という順番です。未来がないと言っている人もいるんですけど、そもそも人手不足な業界なのでまだまだ長く生きていけると僕は思っています。

さしみ:この記事を読んで知財業界って面白いなって感じてもらいたいですね。最後にこれから未来に向けて何か取り組んでいきたいことはありますか?

三島:近い将来としては、知財業界に若い人をどんどん呼び込むための啓発活動をしていきたいです。例えば学生に向けて何かをアプローチしたり、この知財業界への転職を考えていないような層に働き方やキャリアを伝えたり。
理系の転職は研究職から研究職、開発職から開発職という流れが王道ですが、選択肢の1つとして、知的財産があるのをもっと認知させたいですね。知的財産自体は知っていますけど、働き方やキャリアについてまではやっぱり知らない方が多いので。研究や開発の仕事が合わなくて、知的財産に転職する人の割合が多い傾向です。さらに「知的財産自体が面白そうだからやってみたい」という層を増やしていきたいなとは思いますね。

さしみ:知的財産に関してもっといろんな人に知ってもらえるといいですね。

三島:副業として知的財産の教育に関する塾の運営に携わっています。実務に関することを学べて、ドキュメントスキルを磨くことができる場所です。特許申請の書面は定型的にやっていいものではなくて、ちゃんと知識がないとできません。このような書面作成を教える塾の運営で、マーケティングをしています。この塾を運営している代表と知財業界を盛り上げたいという考えが合致したので、お手伝いをするようになりました。業界に未経験で飛び込む人でも、今の仕事をしながらこの塾で経験や実績を積んでからだと、転職活動しやすくなります。その転職活動については僕がフォローしますからね。

さしみ:なるほど。本業と副業共に知財業界に携わり、それぞれが良い関係性を築けていますね。本日はありがとうございました!

三島:ありがとうございました!

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