僕の好きなアジア映画84: さらば、わが愛／覇王別姫 4K
『さらば、わが愛／覇王別姫 4K』
1993年製作（上映日：2023年07月28日）／香港／原題：覇王別姫（英：Farewell My Concubine）／172分
監督：チェン・カイコー（陳凱歌）
出演：レスリー・チャン（張國榮）、チャン・フォンイー（張豊毅）、コン・リー（鞏俐）など
これはもう名作中の名作である。今回公開30周年を記念した４K修復版が公開された、もう立派な立派な映画だから、僕なんかが何かを書くような代物ではない。もともとこの稿は2010年以降の映画を取り上げるのが主旨であるから尚更なのである。でもしかし、本作はあまりにも好きな映画なので、劇場で今回再見したこともあり、何かを書きたくてこの際反則技を使うことにした。
良い映画は、繰り返し上映されることもあり、多くの素敵なポスターが作らる。もちろん覇王別姫にも多くのポスターが作られているが、本稿ではその中からいくつかのポスターを紹介しよう。
まずはこちら。おそらくは日本初公開時のものだと思う。毎度評判のよくない日本版としては悪くはない方だとは思う。けれど、右側のコピーはいらない。観るものに余計な先入観を押し付けてしまう。
しかし今回４K修復版の公開とともに検索してみると素晴らしいポスターがいくつかあった。
まずはこちら。
これはどこの国とは特定できないが「英語」版。背景の黒と、覇王・虞姫とのコントラストがじつに美しいポスターである。
さらにこちらは韓国版。これは2017年に公開された時のもののようで4K修復版のものではないかも知れない。しかし絢爛豪華な虞姫と、その哀愁を表現した圧倒的なポスターだと思う。
そして今回の公開時における日本版のポスター。いつも情報過多な日本のポスターとしては珍しく情報量を減らしたことで、すっきりした良い出来だと思う。それでもなお右側のコピーはいらない。余計なコピーで観る側のイメージを狭めないでほしい。そこが無ければもっと良いのだけれど。
そしてこの映画、ジャニーズの性加害事件が世間を騒がせている中、ある意味タイムリーでもあった。残念ながらこういう事件というのは、芸能の世界においては全世界共通で起こり得るのだということを、この映画でも知らしめてくれた。性的暴力を受け入れることが、芸人としてのその後の成功のためには通過儀礼であるような、そんな時代は過去の遺物であるべきだが、少なくとも本邦ではつい数年前までジャニーによる児童への性的犯罪行為が続いていたことを、日本人としては大いに恥じるべきだ。