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不登校に関するアンケート調査結果報告会をしました
先月、私も関わっている「京都の不登校について考える会」が行ったアンケート調査の結果報告会が開催され、60名を超える方々がご参加くださった。当事者・保護者の方だけではなく、教職員の方、支援職の方、研究者の方など、立場の異なる多くの方々にご参加頂き、本当にありがい気持ちでいっぱいだった。ご参加くださったみなさま、声を寄せて頂いたみなさま、本当にありがとうございました。
報告会では、「京都の不登校について考える会」がなぜ当事者のアンケート調査を行うことにしたのか、これまで行われてきた調査の問題点や教育機会確保法など不登校に関わる法律に触れながら説明をしている。
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アンケート期間は約2週間と短かったにもかかわらず、京都市在住か京都の学校へ通学している子どもさんの保護者から158回答頂いた。今回の調査で特徴的だったのは、不登校・行き渋りの最初のきっかけとして「先生のこと」「お友だちのこと」という学校内での人間関係や、学校の制度や環境が合わないという項目が多く選択されている点にあり、学校側の要因改善への手立てが必要であることが示唆される。
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「行き渋り・不登校によって困ること」という質問項目に対しては、約8割の方が「保護者の精神的負担が大きい」を選択しており、自由記述などからも保護者は周囲からの理解を得られずに、親子で孤立している状況が窺え、保護者への支援が必要であることが明らかとなった。
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また今回のアンケートでは、公的な支援とのつながりについても調査を行った。回答者の約7割は京都市の不登校支援機関を継続的に利用しておらず、子どもの支援をしているふれあいの杜を利用している子どもは回答者のうち1割だった。ふれあいの杜を利用しない理由として最も回答が多かったのは「子どもが全く関心を示さなかった」となっており、現状の支援が当事者のニーズと合致しているのか検討が求められる。
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さらに今回の調査では、これまであまり報じられてこなかった、不登校による経済的負担についても回答を求めた。1カ月に2~3万円の支出増加の家庭が回答者全体の5割、収入減少は訳4割の家庭でみられた。経済的理由でフリースクールへの通学を諦めざるを得なかったと回答したのは全体の約4割で、学校以外の選択肢が増えてきているとはいえ、経済的負担により自由に選択できる状況にないことが明らかとなった。
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調査結果から、今後の施策へ向けての提言も行っている。今回提言にあたって大切にしたいこことして、現状の不備や不満の声をもとに提言をまとめているが、「先生が悪い」「学校が悪い」と非難して一方的に要求を通したいのではないこと、一方で多様な子どもたちが多様なまま育っていける学校環境を求めていることをお伝えした。
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提言したのは大きく、「不登校の多様な背景を知る手立てを(講じる)」「子どもたちが安心して過ごせる学校へ」「当事者のニーズに沿った不登校施策を」「不登校児童生徒のいる家庭に経済的支援を」「積極的な情報発信と情報開示を」「保護者支援の検討を」「学習を保障し、主体的な進路選択ができる制度を」「インクルーシブ教育の推進を」に分け、具体的な提案や先進事例の紹介も行った。
報告会のスライド資料は下記「京都の不登校について考える会」ホームページにて公開している。また報告部分に関してはYoutubeで視聴可能となっているので、ご関心のある方はぜひご覧ください。
京都の不登校について考える会ホームページ
京都の不登校について考える会 Youtube
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