学びかたはひとつじゃない
自転車操業感半端ない3月。あっという間に小学生のムスメが卒業式を迎えそうだ。そのムスメが今熱心にしているのは・・・
アクセサリー作り。
3月17日の「あそば春」イベントで,またまた自分の店を持ってアクセサリーを売りまくろうとしている。しかしこの量産・・・すごい商魂よねぇ。びっくりするわー。
ところで秋から2月にかけて,彼女はお友だちと一緒に「北区こどものまち」というプロジェクトに参加していた。子どもたちが主体となってひとつのまちを作ろうというプロジェクトで,どんな町にするのかという企画から準備,当日の運営までを小・中学生のメンバーが中心になって行う。区役所など公的機関を設置するのはもちろん,様々なお店を構想して店主となり,仕入れから商品作り,果ては納税まで義務づけられている。そしてこどものまち当日にはたくさんの子どもたちがやってきて,ハローワークで仕事を探し,お金を稼いで商店で消費するという,経済の循環さえも再現されているという凝りよう。なかなかハードなプロジェクトだった(と思う)が,ムスメ氏は最後までひたすら楽しみ,お友だちと共同経営したアクセサリーショップは大繁盛してウハウハだった。大人はこどものまちに参加できず,唯一「見学ツアー」のみが許されていたのでちらっと見学させてもらったが,彼女が立派にアクセサリーショップ店長としてお店を切り盛りしている様子に感心してしまった。いやぁ,完っ全に私にはないものを持っておられる・・・ほっぺた真っ赤にして一生懸命働いている君の姿,キラキラして眩しかったぜ。
そんな彼女がこどものまち初日に帰ってきて真っ先に言ったのは「税金が高い!」だった。齢12にして血税を実感しているところがウケてしまうよね・・・そんで「そやろー?インフラにはお金がかかんねん。」なんてつまらない返しをしてしまったしょーもない自分を,猛烈に反省しとります。なぁ?汗水たらして働いたお金を税金でごっそり持っていかれるって,それがどれだけ大切なことに使われるかって分かってても,やっぱり「うわーん(涙)!」やなぁ?
しかもこの話はこれで終わりではない。彼女は「あのな,カフェが一番儲かんねん。食事できるところはカフェしかないから,そりゃそうでしょ?」と,冷静にマーケティングリサーチをして悔しがる。ふむふむ,市場経済とはシビアなもんじゃのう。「でも儲かったら儲かった分税金払わないとあかんやろ?」と私が突っ込むと,「違うの。税金はみんな同じ。」と彼女。ほうほう,そりゃ不満もたまるわな。「そしたら,儲かった分に応じて税金の額を変えるように意見を出してみたら?」と提案してみると,何言ってるのお母さんとでも言いたげな顔で「言ってきたよ。変わんないと思うけど。」
まじか。
累進課税を提案してきたと?
おかーさんは君を尊敬するよ。おかーさんが君くらいの時,おかーさんは受験でモーレツに勉強してたけど,税金のことなんか,ましてや所得の再配分のことなんか,これっっっぽちも考えてなかったよ。「税金」という言葉は知っていたし,「税金」の種類も暗記してたと思うけど,彼女と私の税金に対する「知っている」の質のいかに違うことか!愕然としてしまう。30年前のおかーさんは確かにお勉強は良くできたけど,それは社会の中に通じる回路を持たない,閉じたsmall circleの中でぐるぐるまわっている知識にすぎなかったように思う。彼女が学校から持ち帰ってきた税金に関するプリントは「政府の広報か!?」と思うくらい消費税のことしか書いてなくてウンザリしたけど,そういうのもsmall circleの中ぐるぐる系知識でしかないよなって思う。
彼女は学校に行っていないわけだけど,たくさん学んでいる。
学びかたは,決して一つじゃない。
アクセサリーショップに働きにくる年齢や能力バラバラの子どもたちに,その子どもができそうな仕事を考えて割り振るとか,いっぺんに商品を出してしまうと売り切れて午後には何もなくなってしまうからと品だしを調整するとか,彼女は全部経験の中から学んでいた。なんかもう,いっぱしすぎて助言すること何もないくらい。
そんな彼女は冒頭にお伝えしたように,来週末のイベントに向けてせっせと制作に励んでいる。彼女自身のアクセサリーショップはずいぶん前から「poem」という屋号なんだけれども,「poem財布」という独立した会計処理も行っていて,商品制作のための材料費などはお小遣いと完全に分けている。今回商品の大量生産が必要だったので,「すまんが材料費の借金をさせてくれ」とせがまれ,かーちゃんバンクから貸付を行った。ムスメシャチョーはそれを元手にせっせとググって最安値の店を探し出し,「この店でこれを」「こっちの店であれを」と指示を飛ばし,下っ端社員のかーちゃんが材料を購入させられているであります。おまけにショップカードが作りたいんだということで,デジタルネイティブのシャチョーは無料クラウドサービスを使ってさくっとデザイン,それをせっせとプリントアウトするのは下っ端社員のとーちゃん。そんでもって「今回のイベントだけでは借金全額返済はできないかもしれないんでヨロシク!」と借入期間の延長依頼もぬかりない。
なんかもう,紙とえんぴつで暗記するなんていう授業してたらさ,学校は子どもに置いてかれちゃうよな,ってつくづく思う。そうした勉強方法を全て否定はしないし,時代に迎合せいって言いたいわけでもないけれど,でもさ。もっと色々取り入れられるし,できるよね?って思う。
てなわけで,17日の「あそば春」ぜひ遊びにきてください!チーム梟文庫は,あおい先生の和菓子販売,wataさんの「ブックカバーをあそぼ」ワークショップ,本をラッピングして持ち寄り交換する「かえっこ本棚」など企画してますよ~。子ども店主さんたちによる子ども商店街もあるので,お楽しみに!