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「のれん」と聞いたら|M&Aアドバイザーのつぶやき

こんにちは。かきもとみさです。

本日はnoteからお題をピックアップしてみました。

#業界あるある  です!!

私はM&Aのアドバイザーの仕事をしています。

M&Aというのは一般的に企業の買収や売却を扱うことですが、この領域というのはビジネスの世界でも秘密裏に行われることが多いので、非常に閉鎖された世界です。

そのプロセスも独特で、別にお作法が法律で定められているわけでもないけれど通例として辿る一般的な手法があったりします。

当然、この世界ででてくるワードというのも特殊で、一般には全く馴染みのないケースが多いのではないかと思います。

「のれん」と聞いたらまず思い浮かぶことは?

言葉の意味として特殊の代表格が「のれん」ではないでしょうか。

note読者の100名くらいに聞いてみたいです。「のれん」と聞いたらまず何を思い浮かべるか?と。

当然、世の中の99%くらいがうどん屋さんとか居酒屋にかかっているのれんを思い浮かべるのではないでしょうか?

こういうやつ

M&Aの世界の「のれん」

しかし、M&A業界の人であれば、まちがいなく「のれん」と聞いたら違うものを指します。

のれんというのは、買収対価として、買収する企業の純資産の金額よりも多く支払った金額(譲渡対価ー対象企業の簿価資産)のことを指します。

この世界にいると、のれんと聞けば当然こちらの意味としてとらえますが、客観的に考えてみれば「のれん=譲渡対価ー対象企業の簿価資産」と1秒で思考が直結する人なんて世の中の人口全体において1%も存在しないのではないかなと思います。

専門的な意味を当たり前に思わないことは大事

こうして同じ業界に長くいると、専門的なワードとその意味を「常識」として扱ってしまう傾向が強くなりますが、気を付けないといけないなと思っています。

必ずしも、案件で出会う経営者や協業者が同じ意味として捉えていない可能性があるからです。(「のれん」はさすがにそんなことないかもしれませんが…)

言葉の意味をプロジェクトメンバーが捉え違えていると、少しずつ認識がズレたり曖昧になっていったりして危険な状況に陥ることも。

しかも関わる方々が経営者で目上だったりすると、「それ、どういう意味?」なんて先方から聞きずらいでしょう。

だからこそ、アドバイザーなど、プロジェクトマネジメント側が配慮してあげる必要があると思います。

これは「のれん」という言葉に限ったことではありません。

会計知識のレベルや法務、税務、労務など、さまざまな知見が必要となるのがM&Aの世界なので、言葉の意味をはじめとしたさまざまな認識のずれというのには気を配る必要があると思います。

ふと「のれん」って聞いたら、ふつうは飲み屋のアレだよなぁと思ったので、綴ってみました。

なぜ「のれん」なのか

ちなみに「のれん(=譲渡対価ー対象企業の簿価資産)」はなぜのれんとよばれるのかを補足しておきましょう。

これは実は、本物のの「のれん(飲み屋やうどん屋のほう)」に起因します。

企業が他社を買収する理由の一つに、「対象会社のブランド力が欲しい」というケースがあります。

「地域では知らない人はいない名店」「10世代に継がれる老舗」など、顧客となる消費者の認知度が著しく高いケースなどです。

この場合、対象会社の簿価純資産よるも「プレミアム」を付けて、少々高値でも買収したいというケースがあるのです。

なので、こういうケースはその「プレミアム」の金額で対象会社の「看板を買った」ということになるんですね。

だからこのプレミアム分の金額を「のれん」と呼ぶようになりました。

昔は、「営業権」と呼ばれており、こちらの方がよっぽどわかりやすいかもしれませんね。

「のれん」と名付けた人のネーミングセンスよ。

というわけで本日は、自分の常識は他の人の常識として扱いすぎないことは大切であるという気づきとともに、M&A業界の特殊なワードである「のれん」についてのお話でした。

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