見出し画像

外国語学習における「耳が良い」とは

私は、中国語のスピーチコンテストで2度全国優勝をしたことがあります。
私の中国語の発音は、学習者の中ではどちらかというと「标准」で、ネイティブにも「没有日本人的口音」と褒めていただく事があります。

同じ学習者や先生からは「アナウンサーという仕事柄、耳が良いんですね」と言われる事が本当に多いのですが
この「耳が良い」ということについて今回は私なりの考えを書きます。


聴覚検査は人並み

健康診断で聴覚検査を受けた事がある方も多いと思いますが、私の結果は平々凡々です。
ですので、「聴力がひときわ優れている」わけではありません。

「耳が良い」の正体

私の場合は、2つあると思っています。

①声を道具として使ったことがある

耳そのものが優れている…というよりも、声を道具にした事があるかないか、がとても重要だと思います。

私の場合は、ナレーションです。

ナレーションという仕事は、原稿を読むのではなく、声の強弱や高低、長短を操りながら原稿の文言に意味を持たせていきます。
この言葉の、この音だけをあと少しだけ高く。この単語の母音が暗いのでもう少し明るく…等、どういうふうにすれば音が変わるのかを試行錯誤したことある、というのが「耳が良い」の正体の1つではないかと思います。

中国語を学んだことがある方は、声調のコントロールに苦労した経験があるのではないでしょうか?
私は声調に関しては、かなりスムーズに習得できたタイプだと思っていますが、
これは、仕事柄、音の上げ下げを(日本語でも)常に意識してきたからです。

私の同業者や、歌う時にピッチ(音程)をとるのが得意な方、モノマネが好きな方もおそらく声調にはあまり苦労されていないはずです。

②声に注目して何度も聞くことに抵抗がない

これは、お手本音声もですが、自分の声を録音した音声も含みます。
私が学習してきた中で「録音した自分の声を聞くのが苦手」「慣れない」とおっしゃる学習者にかなり出会いました。(というより9割の方がそうおっしゃるイメージ)

音源をしっかり聞くことももちろんですが、自分の発音を聞いて分析しようとしないかぎり、発音は上達しません。

解決方法は、ひとつ。
慣れ、です。

私も元々自分の声が好きではなく、アナウンサーの養成所に通っていた時は「もっと○○な声だったら良いのに」とか「美しい可愛い声じゃなくて気持ち悪い」とずっと思っていました。
初めて自分の声を録音して聞いた時の「私はこんな声じゃないはず」という気持ち悪さは忘れられません。笑

ただ、自分が話す日本語の「さ行」「た行」が明瞭でないことに気がついてから
自分の発声練習の録音を何度も聞くようになりました。
そうしているうちに、いつのまにか慣れました。
声に慣れたら、声に気を取られなくなります。
これがとっても大切だと思います。

「耳が良くなる」ために

自分の耳に入る音と、自分の口から出る音が一致する。
というのが最終目標です。

近道はやはり
自分の声を録音して、どんな発音をしているのかお手本と聴き比べるを繰り返す
この方法だと思います。
何回も繰り返して、やっとなんとなくわかるものなので、近道とはいえ、1時間や2時間で身につくものではないです。

ただ、
発音を綺麗にしたいなら、試してみる価値はあるはずです。

ちなみに

20歳くらいまでの方なら
正直、ネイティブの発話を聞いているだけで
とても自然な中国語の発音になれる気がします。
若いって素晴らしい…!

私は30歳を越えてから学習を始めたので、自分で発音をどうにかする必要がありました。
大人の学習者の方こそ「耳を良くする」方法が合うのではないかと思います。

いいなと思ったら応援しよう!