大変だった音楽留学準備
この話は、前回の記事
ALTの先生からの留学提案は勘違い?の続きになります。
さて、思い立ったが吉日!アメリカへ音楽留学をする、という決心をしたのはいい。さぁ、次は?!
・・・はい、準備です。準備。
誰もが一番嫌がる作業ではないでしょうか。地道で、成功した先なんか見えず、トンネルの中をずっと彷徨っているような感覚・・・そんな作業が、準備というものですね。でも準備なしには、何も起きません!
ステップ1:受験応募要項に目を通す。英語で論文を書くという挑戦。
はい、日本の中学、高校、大学を受験する時にだってもちろん出願用の願書がいりますよね。といっても、やはりアメリカの学校ですので受験要項も全て英語!(当たり前)目がくらくら〜となってしまい、やる気が失せたのは正直な気持ち。しかも私の場合、留学エージェント等に頼らず全て自力で書類の準備をしなければいけなかったのでこれが大変で、大変で・・・。保険、銀行口座残高証明書、中学校の成績表(全て英語に翻訳!)、性格判断シート(ルームメイトとのマッチングを決めるためのもの)などなど、もう厚み10cmくらいはあるんじゃないの?ってほどの量。
それらの書類を読み通すだけでも失神状態に陥りましたが、読み進めていったら、なんと、英語での論文が必要とのこと。
ますます、滅入った〜!こりゃ、あかん。
日本語でもそんなにうまい論文書ける自信がないというのに、これを第二言語で書くんです。プレッシャー半端なかったです。
はっきりと論文の課題は覚えていませんが、現在の世界情勢に関しての意見か何かを求められていたので、国連職員を目指していた私は、前回の記事で書いたような内容、貧困撲滅を目指すには〜バングラデシュでの話を通して感じたことみたいなことを偉そうに書きました。これは、ALTの先生に何度も見て、直してもらい、何日も夜中まで起きて論文作成に取り掛かりました。日本の高校も同時に受験していたので、その書類の量が多くて、多くて、、、泣けた(涙)
↓ そしてこちらが実際に送付した論文そのまま
For many years, I have been doing various volunteer work. I was inspired to do such work because my elder sister is mentally handicapped. During the longer school vacations, I help at the center for handicapped, playing, cooking, doing arts and crafts and other activities with the people there. I also volunteered at the kids center, playing with children and the nursing home, talking with them, helping them eat and other general things. Through these experiences, I became interested in the United Nations, because I realized I want to always meaningfully contribute to society by helping those in need.
Then when I was in 8th grade, I heard a very sad story from my friend, who was a Junior High School student in Bangeladesh. She told me that there were some children who suffered because they ware forced to beg for money on the street. Some even had their eyes purposely hollowed out by their parents. Because I had never known about the people living in developing countries, I was very shocked to hear that story. I thought,“What can I do?!?!”This was the greatest turning point in my life. I felt a strong desire to go to such places to help the people living there. So I became even more determined to become an ambassador for the United Nations.
In such a position I want to find ways to solve the problems of poverty and starvation. The first thing we can do give food and money to those in need, but this is only a temporary provision. We must help at the grassroots level. For example, we can teach fishing techniques to those who don’t know how, therefore guaranteeing they receive enough food and ultimately increasing their happiness. In addition we can provide opportunities for those in developing countries who want to study abroad and expend their world view. Even bringing the joy of music is something I can do to raise the conditions of those in need. It is my dream to bridge the gap between the rich and the poor, erasing the economic and educational disparities in this world.
中学3年間で培った英語力なのでこれくらいの文章を作るのにもものすごく労力を要したのです。。。^^; そしてもちろんALTの先生に文章をかな〜り助けてもらいました(涙)。
ステップ2:録音テープの準備
はい、また嫌〜な準備工程がきました。音楽をやっていらっしゃる方なら、絶対にこの辛さがわかると思います。音楽の試験は、学業成績、論文などの提出はもちろん必要ですが、一番!!!!
・・・一番!!!
大事なのが、この録音テープでして。演奏がそもそもある程度できなければ、芸術高校も音大も話になりません。
提出する課題曲は、以下の通り:
①:スケール(音階)長調と短調をそれぞれ一つ
②:練習曲(エチュード)1つ
③:自由曲を2つ(コントラストがはっきりとしているもの)
スタンダートな課題曲だと思います。今となっては特に怖いと感じませんが、当時は音楽の世界を全く知りませんでした。こんなこと言ったら、怒られますよね。というか、びっくりされます。
私が当時この課題曲リストをみて、まず思ったことは、
”スケールって一体何?”
先生も目をまん丸くして、びっくり。
”あ、、、あなた、、、スケール弾いたことないの?!?!?!”
お恥ずかしながら、私はそれまでハノンやバイエルといったピアノを習ったことがある人なら殆どの人が通る道を、通らずに弾いてきたのです。ウィーンで音楽教育を学んだ先生に師事しており、彼女なりの特別な理論の元、機械的な指のエクササイズをさせたくなかったということでしょう。その代わりにバッハのインヴェンション、モーツアルトソナタ、チェルニー、バルトークのミクロコスモス等を主に教材として使っていました。
スケール(音階)とは、文字通り、音の階段をイメージしていただければわかるかと思います。基準になる音から、順番に1オクターブ内の音を並べたことを指し、ドレミファソラシドレミファソラ・・・と延々に続いていく階段をだあーっと駆け上って、その後駆け下りていく(例えがおかしい?)そんな奏法のことです。指の動き、音の均一さがはっきりと出てしまうため、スケールを聞けばこのピアニストの能力がわかる!と言われているほど、お・そ・ろ・し〜い、それはそれは恐ろしい試験課題です。
ステップ3:まずはスケールから、練習!課題曲の準備
受験に必要な課題曲、②と③はなんとか用意できるものの、①のスケールは今まで全く知らなかった未知の世界の話だ!こんなんで受験できるのか!でもやるしかない!
この時点で中3の秋、願書の提出の締切日が1月前半。一ヶ月ほどでスケールをマスターしなければ録音までに間に合わない。ただちょうどその時期、日本の受験もあるため、ピアノの個人レッスンを半年以上ずっと休んでいたのです。(先生とも個人的なトラブルがあり、ピアノを弾く気を失っていた)
だから、いきなり先生に連絡をするのも気まずい・・・
というわけで、父の知り合いのピアニストの方にスケールだけ教えてもらおう!
と、急な願いを頼み込みにいくわけです。スケールだけちょっと教えてもらって、これで準備万端かなー♫なんて、のんきに帰ってこれると思ったら、散々・・・。ピアノをちょこっと弾かされて、何を言われるかと思ったら・・・
”あんたなんかに受験する資格なんてない”
”私の知り合いでその高校に行ったピアニストの子は、日本全国で勝って、やっと合格していけたのよ。スケールの”ス”の字も知らない子が、今から一ヶ月でできるわけないでしょ。最低でも1年はかかるトレーニングなんだから。”
”落ちることは、確実。せいぜい頑張って。私はあんた程度のピアノを弾く子に教えるほどの暇はないの”
もう・・・とっことんけなされました。
ここまで酷く、罵声を浴びさせられたことはなかなか他にないんじゃないかってくらいに。必死に準備で取り掛かっていた論文の作業、願書、録音の予約をとった会場・・・このまま続けていてもいいのかな?やっぱり私には音楽高校を受験する資格はないの?
いろいろな感情の入った涙がぼろぼろと溢れてきます。
でも、私の中ではもう決めていたのです。
悲し涙よりも、悔し涙の方が圧倒的に勝っていて、絶対にそんな人たちを見返してやる・・・可能性はまだ十分ある・・・と。