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第4回|吉祥寺の小さな住宅リノベーション|最終プラン決定|完成までの記録
吉祥寺の小さな住宅ができるまで。
第4回は、「決定した最終プランそして、そのプランへ至るまで」のお話です。
さてさて、いきなりですが、下の画像が最終の図面です。
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前回までの記事は下記のマガジンでまとめてお読みいただけます。
前回ご紹介した、ファーストプレゼンのプランから、ほとんど変わっていないように見えるのではないでしょうか?
その通り。ですが、少しずつ細かいところの変更を重ねて、より快適な空間となるようにブラッシュアップをしていっています。
下の画像は変更前と変更後の図面を重ねたものです。
青色が変更前。赤色が変更後(上の最終図面と同じ図面)。こう見ると色々と細かい調整をしているのがなんとなくわかっていただけるかと思います。
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青:旧
赤:新
リビングとダイニング・キッチンの間の仕切りが無くなったり、キッチンがL字型になったりなどの変更がありましたが、ここからは現場が始まってから大きく変更があった箇所のエピソードを綴りたいと思います。
工事が始まってからW.I.Cをなくしたドタバタな話
私が住宅を設計する際にこだわっていること。それは
「できる限り回遊動線をつくること」
なぜかというと、コンパクトな空間でも行き止まりのない動線とすることで、空間に面積以上の広がりを感じることができるからです。
「回遊動線」については、下記のnoteでル・コルビュジエ設計「母の家」を実例にして解説しています。
この住宅では、玄関→洗面室→W.I.C→寝室→玄関という回遊動線を提案段階ではつくっていました。
「この回遊動線は絶対つくった方がいいと思います」
そうクライアントに自信を持って説明をしていました。
しかし、最終的には自ら回遊動線をなくすことを提案することになります。しかも着工して電気工事の配線もあらかた終わった段階で。
この住宅はいわゆるセカンドハウスです。
メインの住居は別の場所にあって、東京に来る際にここに泊まる住居です。
寝室は寝ることができるだけのスペースがあればいい(ベッド2台と片側通路)。それより動線を楽に。
そう思って設計していました。
でも工事が始まって、ずーっと図面を見続けていたらふと気づいてしまったのです。
「W.I.Cではなくて、普通の収納にしたら、寝室がかなりゆったりするのでは。というか、この方が絶対快適では?」
回遊動線が無くなったとしても、新しいプランの方が間違いなく魅力的だと感じたのです。
小一時間ほど「うわー!」っとなって(自分の中で悶える様子)。
でもこれ絶対変えた方がいい!今からでも!!と思い、クライアントに急いで連絡をしました。
「すみません!今更なんですが、絶対こう変えたほうがいいと思いまして。工務店には私が頭を下げてお願いするので、よければ変更させてください!」
確かこんな感じのことを伝えたと思います。
クライアントからも、「私たちもこの方がいいと思う!」と言っていただき、すぐに工務店へ連絡。
「すみません!⚪︎⚪︎さん(クライアント)にとって、この方がいいと思うプランの変更案を思いついてしまったのです。今からでもなんとか変更させてもらえないでしょうか。もちろんすぐに図面は描きますので!」
こんな感じのことを言ったと思います。
私の熱意(というか必死さ)が伝わったのか、工務店は快く協力してくださることに。(ありがたい…)
すぐに図面を全て描き直し、データを送って、現場で打ち合わせをしました。(ご迷惑をおかけしました…ありがとうございました!)
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この変更の結果としては、「やはり無理をお願いしても変更してよかったなぁ」と思っています。
W.I.Cを普通の収納にしたとしても、収納量はそれほど変わらないですし(W.I.Cは人の入る空間が必要でその分は収納量が減るため。)、やはり少しでもゆとりのある寝室は、心の休まる空間になると実感しました。
それと、部屋にひとつだけの出入り口というのは、ある意味安心感がある。たくさんの動線がある方がいいわけではない。
これは、できてみて感じたことでした。
次回からは工事の話をしていきます
変更のドタバタ劇の話、いかがでしたか。当時必死だったエピソードなので、少し恥ずかしいのですが、この住宅の転換点となる変更だったので、描きました。
本当は現場での変更は、工務店にも迷惑をかけてしまうので、無いに越したことはないのですが、出来上がるまでクオリティを上げることを諦めない。そういう気持ちで取り組んでいることが伝わったなら嬉しく思います。
次回からは現場での工事の様子を書いていきたいと思います。
ご興味のある方は、私のアカウントやマガジンをフォローしてお待ちいただけましたら嬉しいです。
それではまたお会いしましょう。
クライアントのご好意で、3月8日にこの住宅のオープンハウスを行います。
どなたでもご覧いただけますので、少しでも興味のある方はぜひお越しください。(またご案内しますね)
イラストレーターの久米火詩さんと一緒に活動している「くらしの学校」のポップアップストアも同時開催します。