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第3回|吉祥寺の小さな住宅リノベーション|プレゼンテーション|完成までの記録

吉祥寺の小さな住宅ができるまで。
第3回は、クライアントへの、最初のプレゼンテーションのお話です。

前回までの記事は下記のマガジンをご覧ください。

ファーストプレゼンテーション

前回現場確認と測量をしましたので、これからファーストプレゼンに向けての準備がはじまります。

さて、プランを作るときに、どこから考え始めると思いますか?
今回のようなリノベーションの際に、私は『天井』から考え始めることが多いです。(ちなみに新築のときは、『屋根の形』から考え始めます)

たとえば、天井を取り払って、梁や配管などを剥き出しにした空間は、最近のリノベーションでよく見ますよね。
天井が高くなるし、ガラリと雰囲気が変わるので、私も好きでよく計画します。

下の写真は、私が設計監理をした、ギャラリー&ラボです
天井を取り払って塗装を施しました

奥田染工場 布類計画室

ただし、このような計画は天井裏がなくなるので、直上が屋根の場合には断熱性能が下がる可能性があります。また、天井に色々なものが見えてくるので、少し落ち着きのない印象になることも。
安易に計画せず、総合的なメリット・デメリットを検討して採用することが大切だと思います。

プランの説明

さて、今回リノベーションする場所には一般的な平らな天井がありました。そして、前回の記事で説明したとおり、奥の壁が少し斜めになっています。

一般的な平な天井でした

さらに最上階のため、天井のすぐ上は屋根。この屋根は上図のように斜めになっていました。
この壁と屋根の『斜め』という特徴を活かしたいと思い、下の図のように壁からアーチを描くように天井へと繋がっていく提案をすることにしました。

壁から天井へアーチを描きながらシームレスに繋がっていく

さて、それでは実際に提案に使った図面と模型をお見せします。
最終的に細かな修正はありましたが、全体的なコンセプトはこの時点から変わっていません。

実際の図面
模型

先ほど説明した壁から天井へと繋がる面は杉の板張りとし、床のフローリングとも繋がって、木に優しく包み込まれるような空間となります。
また寝室とリビングの間には、天井まで達しない造作家具を配置。完全に仕切るのではなく、緩やかに仕切ることでプライベートを確保しながらも、実際の面積以上の広がりを感じられるようにしました。

また、一見すると少し長めに感じられる廊下。ここは寝室の入り口を開放すると、部屋の一部として使うことができます。
さらに、この廊下からリビングへ続く長い壁は、芸術を愛するクライアントが絵画などを飾る「ギャラリースペース」としても機能する予定です。

北側(図面上部)の水回りは、既存の配管位置を活かし、コンパクトにまとめています。
また、寝室と廊下からの回遊動線も実現しています。(この回遊動線は後になくなるのですが、それはまた次回)

いかがでしたか。
ちなみに私がプランニングをするとき、一番大切にしていることは、「自分が心から住みたいと思えるプラン」であることです。
もちろんクライアントが「住みたい!」と思えることが最優先ですが、自分自身が「本当に住みたい!」と思えないと、どこか嘘っぽく取り繕ったものになってしまうような気がします。

さて、次回は最終どのようなプランになったかを説明しようと思います。
ご興味のある方は、私のアカウントやマガジンをフォローしてお待ちいただけましたら嬉しいです。

それではまたお会いしましょう。

クライアントのご好意で、3月8日にこの住宅のオープンハウスを行います。
どなたでもご覧いただけますので、少しでも興味のある方はぜひお越しください。(またご案内しますね)

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