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骨を洗う風習
沖縄の粟国島が舞台になっている映画『洗骨』を観た。(※映画のネタバレを若干含んでいるので注意)
洗骨は、文字のとおり骨を洗うこと。
日本では、人が亡くなれば火葬するのが一般的。けれど、粟国島をはじめ、ある地域では「風葬」の風習が残っている場所があるらしい。
お葬式が終わったら風葬し、4年後にまた棺桶を取り出して先祖と再会し全ての骨を洗う。これで正式に「この世」に別れを告げられる。日本にこんな風習があったなんて、映画を観るまで知らなかった。
粟国島は去年行こうとしていた島で、天候が悪く船が出ず泣く泣く諦めた島。今は緊急事態宣言もあり、2021年2月14日現在来島が禁止されている。
コロナの様子を見ながらではあるけれど、今年こそ絶対に行こうと決めている。(頼むからおさまってほしい…。)
作品の監督と脚本を担当しているのは、ガレッジセールのゴリさんで、クスッと笑ってしまう要素が随所に盛り込まれていて、おもしろい。(叔母さんと店長が際立っていた)ギクシャクしていた親子関係が、洗骨によって修復されていく姿が映画の中で描かれている。
大切な人を亡くしたときって、後悔が多くなってしまう。あのときもっと帰省していたら。どこかに連れて行っていたら。親孝行できていたのだろうか。喧嘩なんてしなければ良かった。など、感じたことがある人も多いのでは。そして、死はなかなか受け入れることができない。
「本当に死んだのか…」
泣きながら叫ぶ父のセリフ。まだ生きているかもしれないと並べた布団。お酒に溺れてしまう毎日。世界のどこかにまだいるんじゃないか、誰だって、大切な人が亡くなったらしばらく死を受け入れられないだろう。
大切な人の変わり果てた姿を見るのが辛いという人も多いという。そりゃそうだ。けれど、もう一度先祖と向き合うことができる瞬間でもある。洗骨を通して死と向き合い、受け入れ、自分の生を見直すことができる。映画でも言ってた(気がする)けど、洗骨で洗われるのは自分自身の心なんだろうな。辛いけれど、前に進んでいくしかない。その背中を押してくれるのが洗骨なんだろう。
最後の場面では洗骨の次に新たな生命が紡がれる。生と死は隣り合わせでいつも繋がってる。自分が生まれる直前、曾祖母が倒れて亡くなり、生まれ変わりだと言われたことを思い出した。
粟国島では日がのぼる東側に人が住み、日が沈む西側は死者が眠る「あの世」という考えがあるらしい。島の伝統や風習を知ると実際に訪れたくなってしまう。
映画の中で映るフクギ並木、聴こえる三線の音、突然現れる食事中のヤギ、さとうきび畑の向こうに見える美しい海、小さな商店。そして何度も映っていたあの公園も早く行ってみたいな。ウーグの浜、マハナ展望台、島のパン屋さん、今建設中のしまカフェにも。映画を観終わった後には、より一層粟国島を訪れてみたいと強く思った。
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