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2023年「訪れた街」を振り返る

私の人生にとって、旅、というものは欠かせない。1つの街にとどまり続けるよりも、ゆるりと軽やかに旅をしている方が豊かだなと思える。2021年、2022年と多拠点生活をすることで、好きな街に暮らすように旅ができる日々の心地よさを噛みしめていた。

京都に暮らしの拠点を移した2023年。もう、1週間以上の暮らすような旅をしなくなった。スーツケース1つでさまざまな街をさまようこともなくなった。暮らすように旅をしていたあの頃の私を懐かしくも愛おしく思い出しながら、京都での暮らしの心地よさをも実感する。

2021年も2022年も、「暮らした街」を振り返るnoteを書いていたけれど。2023年の旅は「暮らした」とはいえなくて、少し寂しい。だけど「訪れた街」としての記録を残しておこうと思う。

淡路島

GWに2泊3日で淡路島を訪れた。透き通るような青い青い海と空に心惹かれて。吸い込まれていくようなほどの天気のいい晴れた日だった。

海というものは、なぜこんなにも私を穏やかな気持ちにさせてくれるんだろうか。目を細めてついつい優しい気持ちで見つめてしまう対象。どこまでも続く青い世界に惹かれて戻れなくなってしまうようだ。

淡路島は、海も山も、自然が豊かでのびやかでとても好きになった。観光地という側面がありつつも、スーパーやチェーン店も多くて、「島」と呼ぶにはあまりにも「街」だった。けど、その気取ってない人々の暮らしに触れられたのも、また淡路島の雰囲気のよさなのかもしれない。

旅の最後、何の事前情報もなく立ち寄った浦県民サンビーチで見た景色が忘れられない。サンシャインブリッジという場所の丸い窓から、空と海が切り取られていて、まるで絵のような美しさだった。暗い建物の階段を不安気味に駆け上ってたどり着いた景色。この世界観の美しさをずっと覚えていたいな。

東京

GWの後半は、家族で東京へ出かけた。厳密には東京に住む弟に会いに、父母は実家から、私は京都から集合。夏のように暑い日だったので、東京に着いてすぐに東京タワーの下で行われていたビールフェアへ立ち寄った。

浅草に行けば、ホッピー通りで雑に飲んだりもしたし、月島では1時間ほど並んでもんじゃ焼きを食べたりもした。

家族で集まればお酒を飲む、といういまでは当たり前のようだけど、お酒を飲みながら家族で居るというのは人生で考えたら3分の1の期間にも満たない。大人になったものだ、と感心する。

東京という街は、一緒に訪れる人によって見える景色やしたいことが変わるのが面白い。ザ観光地を訪れるときもあれば、カフェ巡りだけするときもある。ひとりだったらひたすら散歩することが多い。

同じ街であっても、過ごし方や見え方、感じ方が違う、というのはなんとも面白い。自分のしたいように、誰かとしたいように。東京とは、そういう場所だと思う。

蒲郡(愛知)

蒲郡のラグーナビーチで行われる「森道市場」に行った。心地いい海風に吹かれながら、ゆるやかな音楽を聴きながら、雑貨やごはんのお店を巡りながら。心地よいひとときを過ごした。

このフェスの空気感は、ほかでは決して感じられない。真剣にステージでアーティストを見る人、心地いい音楽をBGMに海辺で遊ぶ人、後ろの方でごはんを食べながら座っている人、遊園地で遊ぶ人、キャンプをする人、それぞれの自由な楽しみ方で過ごせる空気感がある。

暑すぎることも寒すぎることもない、ちょうどいい5月の空の下で、音楽を聴いたりビールを飲んだり、海をぼーっと眺めたり。この空気感で過ごせる幸せを噛みしめていたなぁ。

横浜

夏のうだるような暑さの中、ライブ遠征を兼ねて横浜を訪れた。海が近い街には夏であってもこんなにも冷たい風が吹くのか、と盆地の京都の暑さと比較して驚いたことを覚えている。

本当に本当に熱かった日産スタジアムでのライブ。昨日ちょうどこのときのライブDVDを鑑賞していたら、あのときの熱気が思い出されて少し苦しくなった。

横浜で2泊した「ホテル エディット横濱」がとてもよかった。角部屋の大きな窓からは明るい光が差し込んで、気取らないおしゃれな雰囲気が気に入った。

海が見えるカフェで無為の時間を過ごす、なんてこともした。旅行先であっても、ゆるやかにありのままの時間を大切にしたい、と改めて感じる。

尾道(広島)

大好きな大好きな尾道への旅。完璧な青空、どこまでも穏やかに広がる海、頬をかすめる金木犀の香り。一つひとつの何気ない景色が、大好きな街の姿を作っているという事実に嬉しくなるほどに、私はこの街を気に入っている。

木漏れ日がただよう木の下にレジャーシートを敷いて本を読んだり、ただただ夕日が沈むまでの時間を過ごしたり、海沿いに座ってパンを食べたり。

今回は尾道水道が窓から見える「urashima INN -GANGI-」に宿泊。どこにいても海が見える尾道だけど、朝起きてすぐに海の様子を知れる嬉しさは特別な気がして。朝日に照らされるやわらかな水面もきれいだったなぁ。

奈良

いつもは日帰りで訪れる奈良。今回はゆっくりと過ごすことを目的にあえて1泊した。紅葉の見ごろまっただ中だったから、いたるところが赤や黄色に染まって散歩がはかどる。

旅行の記録を振り返っていると、今年はつくづく晴れの日に出かけることが多かったなあと思う。旅行先で、晴れた青空の下で新しい景色を見られるのは何よりも幸福なこと。うれしい気持ちが湧き上がる。

温泉付きのホテルを選んだことで、チェックインからチェックアウトのぎりぎりの時間までホテルでの時間を楽しめた。外に出る旅もいいけれど、ひきこもってじんわりとしたあたたかな気持ちを感じる旅もいい。

綾部(京都)

京都の北に位置する綾部市。京都が大好きで京都に移住したはずなのに、京北の地域のことは全然分からなくて。こんなにも自然豊かでゆっくりとした時が流れていることに、同じ京都にいるにもかかわらず不思議な気持ちになった。

京野菜で彩られたごはんを食べたり、実際に農業体験をしたり。土に触れるなんていつぶりだろうか。仕事や日々の生活、都会での暮らしから距離を置いて、また質の異なる深い時間を過ごせたのが何よりも豊かだった。

夜には満天の星空、朝起きたら目の前には田んぼや山が見えて。目の前にただ在る景色を存分に受け取って、その豊かさを味わう2日間だったな。


移り行く景色や四季をただ見つめる。長い期間いられないからこそ、その濃縮された時間を楽しむ。旅というのは新しい景色が見られることへの刺激もあれば、ゆるやかにおだやかな時の流れを楽しむ余白もある。

どう過ごすか何をするかは、たとえ同じ場所であっても人それぞれ違う。だからこそ、誰と(あるいはひとりで)、どうやって、どんな時間を過ごしたいのか。その要素を一つひとつ確かめながら、また次の旅先へと向かうのだ。

欲を言えば、来年は「暮らすような旅」がしたい。1週間ほどワーケーションをしたいし、お気に入りのホテルに泊まって読書合宿もしてみたい。自分が心からしたいと望む時間の過ごし方を、これからも探していこう。

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misaki|散歩日和
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