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2021年「暮らした街」を振り返る
2021年の10月~12月の3ヶ月間、日本全国定額住み放題サービス「ADDress」を使って、日本全国の街を暮らすように旅してきた。多拠点生活のなかで出会った、どの街も素敵だったし、新しい人・景色・感情と出会えてとても幸せな時間だった。
そんな「2021年、暮らした街」を振り返っていく。「暮らした街」の定義が曖昧すぎるけれど、ここでは「1週間以上滞在をした街」で区切ろうと思う。
「1週間以上の滞在」って結構表現が難しい。「住む」ってなると3ヶ月以上、もしくは移住や定住というイメージだし、「泊まる」だと1泊や2泊の旅行のイメージ。
旅とも住むとも違う、ちょっとだけ「暮らす」感じ。本当にどこも素敵だったので、日記や写真を引っ張り出して、お世話になった街に愛を込めた感想を。
京都|鴨川を歩いて幸福感を味わう
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日帰りや1泊での旅行で数え切れないくらい訪れたことのある京都。今回1週間以上滞在をしてみて思ったのは「京都で日常感を味わうのは最高!」ということ。
特に、鴨川に沿ってひたすらに歩くのが大好きだ。自転車で駆け抜ける人がいて、座ってぼーっとしている人がいて、恋人同士寄り添って話している人たちがいて。木々がさらさらって風に揺れたり、葉っぱの裏側の色が日に当たって少しずつ変わっていたり。そんな自由で何気ない「暮らし」が体感できる場所。
お寺・神社巡りも抹茶も路地巡りも大好きだけれど、いまの私が「京都」という言葉を聞いて思い出すのは、晴れた日のどこまでも続くさらさらと流れる鴨川。
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旅行では気づかなかった「猛烈に暮らしてみたい」気持ちが高まった。
神戸|都会の中のローカル
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神戸の灘区に滞在。神戸と言えば、キラキラの夜景、おしゃれな街並み、洗練された港町、というイメージがあった。かっこよくて憧れの街。
私が今回「暮らした」のは、灘地区。日本酒が有名で駅の周りには動物園や摩耶山、商店街があって。「あれ、なんかイメージしていた神戸と違うぞ・・・」が第一印象。
でもこのイメージ破りが本当に良かった。当たり前なんだけれど、どれだけ都会であってもそこに「住む人」がいて、それぞれの「生活」があって。ローカルという言葉は、田舎だけの話ではないよね。
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住宅街の坂を登りきって振り返ると背後に広がる青い海とか、大きなチェーン店ではなく商店街の片隅にある小さなお店で食材を選んでいる人の姿とか。振り返ると本当にとりとめのない、なんでもない景色が思い出されるなぁ。
尾道|憧れの海のある暮らしをする
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尾道は大学時代にも2回行ったことがあって「いつか住んでみたいな」と密かに憧れていた街。海も路地裏も古民家もネコもカフェもすべてが良い感じ。
この3ヶ月の旅暮らしの中で尾道で暮らしたのは、16日間+7日間。気づいたら「もっといたい」と思って延泊をしていた。
海のある暮らしに心底憧れを持っている私にとって、尾道は絶好の場である。街と海が近い、海沿いのベンチや歩道が整備されている、どこからでも海が見える、朝日と夕日が海とともに見える、などなど。
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「海が近い街」というよりは「海が日常に溶け込んでいる街」というイメージを持った。海が主張しすぎているわけではなくて、もうそこに”在る”という感じ。
人もあたたかくて、路地と坂道をどれだけ歩いても飽きなくて。特別なことを何もしていなくても、「あぁ、生きてるな」とささいなことで感じられる尾道の街が好き。
別府|温泉と山と海の街
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有数の温泉地として有名な別府。いつか行ってみたいな、と漠然と思っていたけれど、いきなり1週間も滞在できるなんて幸せ!!と温泉好きの私はわくわく。
湯けむりを眺めているのがとても楽しかった。散歩をしているとゆらゆらと視界の先で影が動いているのをとらえて、不思議な体験。街の至るところでゆらめく美しい影の姿が忘れられない。
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滞在した家にかけ流しの温泉が湧き出ていて、毎日ゆっくりできて幸せな滞在だったなぁ。「当たり前のように温泉に浸かる生活」、いいなぁ。
あと、別府は山のイメージだったけれど、意外と海があって驚き。温泉も山も海もある贅沢な街・・・!
福岡|いつかは住みたい憧れの街
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おいしいご飯に、海に、適度な都会感にずっと「いつかは住んでみたいなぁ」と憧れていた福岡。訪れた感想はそのまま「ごはんおいしい!海がすぐ近く!想像以上に都会!」だった。
都会なのに街中にどーんと大きな公園があって、昼間から散歩したりデートしたりしている人がいて。座り込んで話しこむ人もいればストイックに走っている人もいる。このおおらかな自由さがとても良いなぁと思った。
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海や公園がある街は、たとえ都会でも田舎でも「人々が余暇を愛して暮らしている」感覚が得られる。毎日をちょっとだけ幸せに感じるための時間、というか。
2022年はもう少し長く、1ヶ月から3ヶ月程の期間で滞在したいな。もっともっと深く暮らしてみたいと思った街だった。
唐津|なんとなく肌に合うと感じる街
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私の中で唐津との出会いは大きかった。行く前までは街の名前すら知らなかったし、何があるかも分からない状態だったのに。結局10日間も滞在した。
悔しいことに、なぜ私がこんなにも唐津に対して「良い」と思ったのかは分からない。何度も言語化を試みたのだけど、難しかった。
#住みたい街集め : 唐津市
— misaki 🌿|旅暮らしフリーランス (@misaki_she) November 25, 2021
海が日常の延長にある。海鮮もお肉もおいしい、地域の人が気さくで優しい。昔の町並みが残っている。心穏やかに優しい気持ちで暮らせそうだなぁ。
「なんとなく私の肌に合う」、この感覚は実際にその街の空気を感じないと分からないことだから、やっぱり旅って面白いな。 pic.twitter.com/t3v9u082Ne
本当に「なんとなく私の肌に合う」という表現しかできないくらい。毎日の散歩に海沿いを歩くコースを取り入れてみたり、唐津城に登ってみたり。
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何気ない日常を、言葉通り何気なく享受して、その中で「素敵だなぁ」と思う気持ちを育てていった感じで。どこまでも広がる青い海と街に根付いている神社、そこで出会った人たちの顔が浮かんで、また行きたいなと思わせてくれる。
武雄|毎日の図書館通い
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「スタバ併設の図書館があるらしい」と気になっていたけれど、まさか武雄にあるとは知らなくて。武雄に着いて真っ先に行った先は、武雄市図書館。
普通の図書館と蔦屋書店が併設されていてとても面白い取り組みだなぁと思った。図書館の方では地元の方が本を選ぶ姿、蔦屋書店では若いカップルが新刊を見て歩く姿、そして午後になると勉強にやってくる高校生たち。
どの部分も違和感なく溶け込んでいて、”この感じ”が武雄の日常なんだろうなぁと感じた。本を読み漁りたいとき、新刊のビジネス書を読みたいとき、じっと勉強したいとき、それぞれあるもんね。
武雄に滞在した1週間、ほぼ毎日図書館に行って本を読んだり勉強をしたり。いつも以上に”旅先で日常”を過ごせた気がする。
滞在がたまたま11月で紅葉の時期どんぴしゃだったのも嬉しかった。徒歩圏内に素敵な庭園がたくさんあるのは良いね。
門司港|海と過ごす穏やかな暮らし
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門司港駅を降り立ったら見えてきたのは、海。信号機の向こうに青く輝く海を見たときの「あ、絶対良い街だ」と思った気持ちは忘れられない。
門司港も尾道と同じように「海と日常」がとても似合う街だった。夕日が海に落ちていくのをぼーっと待っている人たち。散歩したり夕日を見たり「仕事や行事以外の”余白の時間”をどう過ごすか」を改めて考えることができた。
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空間が素敵なカフェがたくさんあって心が穏やかにもなった。コンセプトや大切にしたいことが表現されている場所でいただくコーヒーはひとしお。
門司港での海とともに過ごす穏やかな暮らしがちょうど良くて、「やっぱり私は海のある街で暮らしたい」と思った。
2022年中には「海のある暮らし」を実現させるぞ~!
岡山|イオンと商店街が共存している不思議
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現実的にいうともしかすると今まで訪れた街のなかで一番「住みたい」と思ったかもしれない。本当にちょうどいい。
不思議だと思ったのが、岡山駅直結で立派な駅ビルとイオンモールがあるにもかかわらず、2つの商店街が賑わっていること。平日の昼間なのに商店街には人がたくさんいる。飲食店は満席。
地方都市は「駅前が便利になりすぎて商店街はシャッター街」なんてイメージがあったけれど。(それなりに人は減っているかもしれないし課題はあるかもしれないけど)
商店街のちょうどよさを目の当たりにして、一層岡山のことが好きになった。少し歩けばおおらかな山があって、電車に乗れば海にも行ける。車に乗るのが苦手な私にとって「歩きと電車でどれだけ日々を楽しめるか」は結構大切な視点だ。岡山なら大丈夫そう。
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読書時間をたっぷりと味わえるカフェに出会ったり、地元のおいしいパン屋さんに通ったり、”ちょうどいい、心地いい暮らし”を楽しめた。
好きな街が増えていく
こうやって、日本全国の街を巡り歩いていくなかで、ひとつ心配なことがある。それは「好きな街が増え続けて、いつまでも定住先が決まらなさそう」ということ。
というのも、私が多拠点生活をはじめたきっかけは「多拠点生活をする中で、好きな街に出会って、そこに移住をする」という目的を達成するためだったから。
その”好きな街”、すなわち「住んでみたいな」と思う街が増えすぎていて困っている。どこもいいし、きっとこれからも素敵な街に出会うだろうし。決めきれない。
ただ、3ヶ月多拠点生活をしてきて思ったのは「別に1つじゃなくてもいい」ということ。1つに決めきれないのであれば、シェアハウスやホテルステイで好きな街をホッピングしてもいいし、本当に「とりあえず」で決めてみてもいいかもしれないし。
人生の中で「また行きたいな」「また会いたいな」と思える街・人がたくさんあるのは幸せなことだ。だからこそあえて1つに絞る必要も狭める必要もないといまは感じる。
1つの街を拠点にワーケーションとして好きな街を訪れるのも、家を持たずに好きな街をホッピングするのも、その先で運命のように出会った街に移住するのも。どんな形であれ、素敵なこと。
2022年はどんな素敵な街、素敵な人、素敵な景色、そして素敵な自分自身の感情に出会えるのだろうか。いまからとてもワクワクする。
▶旅をしながら暮らすリアルをInstagramで発信しています
@msk_kurashi
▶多拠点生活、旅暮らしについての想いは下記noteで。
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