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本を作るハードルを下げてくれた文学フリマ

「旅と暮らしのエッセイ本を作る」
そう今年は決めていて、今構想や完成イメージ、コンセプトなどを練りに練っているところだ。

けれど、なんだか私は「本を作ること」を高い高い目標に自分自身で押し上げて、ハードルを上げすぎていたのかもしれない。ハードルが高く感じれば感じるほど、進めるのが億劫に感じる。「まだじっくりと進めていけばいいよね」みたいな感覚になってしまう。自分で勝手にハードルを上げすぎてしまうのは、ほかでもない、自分自身の気持ちの問題だ。

そんな勝手に押し上げていた「本を作ること」のハードルを少し下げてくれたのは、昨日京都で行われていた「文学フリマ」だ。

いままでも開催されていたのは知っていたけれど、なんというか、知らない人の本を見に行くことにあんまり興味がなかった。けれど、今回は違う。「本を作りたい」という気持ちになっていて、じゃあ他の人はどんな本を作っているのか、惹かれる本はどういったものなのか、そんなものを知りたくて、会場に足を運んだ。

結果、本当に来てみてよかった。出展している人たちは、本が好きなんだなあ、ということが伝わってきて。「好き」のパワーはすごい。そんなありきたりなことを感じた。来場者の方も、熱心にお気に入りとなる本を探している。

私は、出展者の中に知り合いがいるわけでも、好きな作家さんがいるわけでもなかった。事前に何の情報も見ていなかったし、会場に着いてからも回り方すら分からなかった。正直どんなジャンルの本がどのように並んでいるのかも知らなかった。

だからこそ、「無の状態から、私が理由もなく惹かれてしまう本を見つけよう」と思い立って。「わ、これいいな」「熱量がすごいな」「本当に好きなんだろうな」と、いろんな感情を混ざり合わせながら、ブースの端から端までじっくりと巡った。

漫画や小説、エッセイ、詩集、短歌、雑誌、写真集。本屋に行けば自分の興味のあるカテゴリーの棚にしか立ち寄らないからか、こんなにも雑多な「文学」に触れるのは、もしかすると初めてだったかもしれない。「私はこういうのが好きだな」という予想範囲内にお気に入りに感じる本もあれば、「こういうの今まで避けてきたけど、作っている人が見えるとなんだか惹かれるな」みたいな予想外の出会いがあった。なんていうかもう、この体験自体が楽しかったのだ。

私が手に取ったのは、トム子さん(@1065dayo)の本

そう、作っている人が見える、それがいい。その人たちが「よかったら見てってください」と自分の愛すべき作品たちを手に取ってもらおうと来場者に声をかける。それを来場者が手に取る。惹かれれば、買ってみる。家に帰ってじっくりと読んでみる。まったく知らなかった作者の情報をネットで検索してみる。こんな人なんだなあ、と会場で目にした作者の顔を思い出す。このじんわりとした、原始的な広がり。

ああ、私もこの輪の中に入りたい。「完璧なものを作らなきゃ」ではなくて、「私自身も気に入っている、大好きな本、作ってみました!」と言えるような、愛着のある本を作りたい。

それが完璧に製本されていなくても、世の書店に並ぶちゃんとしたサイズや質感の本でなくても、いいんだ。熱量と好きな気持ちにもっともっと素直になって、それを形にすればいいんだ、と私の中で本作りへのハードルがいい意味で下がった1日だった。

そう思うと、冒頭にあげたコンセプトや完成イメージは、むしろ固めすぎない方がいいのかもしれない。完成イメージから逆算して作るのではなくて、好きなもの伝えたいもの私自身がお気に入りだと思えるものを、どんどん詰めて形にして。「いつのまにか完成はこんな風になったな」と笑って手に取れるような。他でもなく、私自身がまずは好きだと思えるような。そんな本を作りたいと、素直な気持ちで感じた。

旅と暮らしのエッセイ本を作る。とくに大好きな写真と言葉たちは、ポストカードや栞にしてグッズにする。お気に入りばかりに囲まれたブースを作って、文学フリマに出展する。純粋な気持ちでワクワクできる未来が、鮮明に見え始めた、そんなきっかけの日になった。


こんな気持ちに出会えたのは、ただただ嬉しいな。これからも、文章を書くこと、本を読むこと、好きを持って深めることを、辞めずに続けていこう。

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misaki|散歩日和
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