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§読書録:「ハンチバック」市川沙央

「怒りだけで書きました。『ハンチバック』で復讐をするつもりでした。私に、怒りを孕ませてくれて、どうもありがとう。」
市川沙央さんが授賞式でスピーチした内容です。

先天性の障害により、湾曲した背中を持ち、グループホームで暮らす40代女性:釈華。自らをせむし=ハンチバック の怪物と呼ぶ彼女はTwitterの個人アカウントで気ままにつぶやく。

<生まれ変わったら高級娼婦になりたい>
<私はお金目的ではないので、いかがわしい記事で稼いだ収入は全額、居場所のない少女を保護する子どもシェルターやフードバンクやあしなが育英会に寄付していますけど。>

ハンチバック/文藝春秋

ある日、グループホームの30代男性ヘルパー・田中にTwitterのアカウントが知られていることが発覚。

「弱者が無理しなくてもいいんじゃないですか。金持ってるからって。」
____やべえ奴だ。弱者男性を自認してる。もしかしたらインセルじゃん。こわ。

微かに伝わってくる怒り。読んでるこちらも、緊張してしまう。
なんだか、適当に読んではいけないような。心して対峙しなければ。

ただ1箇所だけ、思わず笑ってしまった。

スパダリが言おうが弱者男性が言おうが等しく私は「おいで」にむかつく。

市川先生、私もむかつきます 笑

終わりにスピーチの結びを。

「復讐はむなしいということもわかりました。(-中略‐)怒りの作家から、愛の作家になれるように、これから頑張っていきたいと思います」



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