フローフシが化粧品業界の伝説になった理由(前編)
今は「UZU」にブランドリニューアルしてしまったけれど、
2011年〜2018年までの間、彗星の如く現れたかと思えば
あっという間に人気ブランドに上り詰めた「フローフシ」。
ちょうどフローフシがいけいけどんどんの時期に
私は競合ブランドを長いこと仕事で担当していた。
だからよくフローフシのことも研究していたし、
業界どこへ行ってもいつも話題になっていたブランドだった。
フローフシとは
何がすごいって会社設立3年で、主力商品の「モテマスカラ」が売り上げ実績NO.1を獲得し、その後に続く新製品も毎回各カテゴリでいつもNO.1を記録していた。
もう1つすごいのは、たった5人の会社だということ。そして初期メンバーに化粧品業界経験者すらいなかったこと(しかもファウンダー2人はどちらも男性)。
化粧品業界経験者がいないので正規ルートも知らず、最初はなんと店舗に直接売り込みに行ったそう。笑
余談ですが、本当に(化粧品にかかわらず)メーカーは「棚取り」が超大変。その際大事なのはメーカー営業のスキルに加えて「プロモーションの計画書」。小売は「売れる」商品のために目立つ棚、広い棚を確保したい。メーカー営業は「売れる」目立つ棚、広い棚をもらうために交渉する。小売とメーカー営業のこのせめぎ合いの中でカギになるのが「プロモーション計画書」なのです。
棚どり目的で(高いのに)CM打つ会社は多いです。小売店の担当者にも「その商品が売れる」ことが簡単にわかるので、プロモーション計画書にCMの文字があるとよい棚へ割り振られることが多いです。(飲食関連だとプロモ計画以外にも、どこまで割り引けるかも棚どりにおいて重要)
そんなふうに、大手化粧品メーカーが死ぬ気で棚取りしにきてる中で、直接売り込みに行っても当然門前払い。
ただ、ECから販売を始め、口コミで話題になって、最終的にはPLAZAで2011年に初店頭展開になったそうです。製品の実力があった証拠ですね〜〜〜スゴイ。
リブランディングでマスカラNO.1へ
フローフシがすごいのはむしろここから。
製品の良さでマスカラカテゴリでNO.3まで上り詰めていたのですが、2014年になんとフルリニューアル。
大きく変わったのは2点。
1種→5種へ
女性それぞれの悩みに答えられるように。
デザインの一新
高級感のあるデザインへ。
メーカーは同じアイテムで種類を増やせば増やすほど製造コストが上がる(大量生産に向いていない)ので、なるべく増やしたくない…というのが業界の常識的な考え方でした。
フローフシは「1本のマスカラで全ての女性の悩みを解決するのは無理」と判断し、機能別に5種類展開、顧客に主体的に選んでもらうことに踏み切りました。
デザインに関してはリニューアル前の写真をみた方が早いかもしれません。
こちらがリニューアル前のパッケージ。
(当初はフローフシではなくリトルウィッチというブランド名だった)
こちらがリニューアル後。光沢感があってロゴタイプもシンプルになりましたね。
あと、フローフシのパッケージのすばらしいところが、パッケージの「面が広い」ところ。マスカラのパッケージって(昔は特に)この棒状に近い形が多かったんです。
でも面が広いパッケージにすることで売り場で目立つし、表現できる内容も増える。今となってはよくみるようになったんですが、当時はこの「面広」パッケージも業界に衝撃を与えてました。
こうして、デザインのリニューアルがNO.1への道を開いていきました。
このままラインナップを広げて、業界3番手あたりをキープしていれば利益も出る。でも僕たちは一番になりたいと思ってFLOWFUSHIを始めたわけです。それを目指すには、ビジュアルの見直しが必要で、でもクリエイティブを極めるなら今までの何十倍もお金がかかる。会社をやめるか続けるか、まで真剣に考えました。(代表取締役 桑島さんの言葉)
女性にとっては持っているだけで「アガる」ビジュアルって大事ですよね。リニューアル後の高級感のあるパッケージの方が確かにグッとくるなあ。
ただフローフシが本当にすごいのは、ただデザインをカッコよくした事ではなく「販路や価格にとらわれず」目指すべきところを目指していたところ。
PLAZAから店頭販売を開始したモテマスカラ。PLAZAはいわゆる「バラエティショップ」というカテゴリです。
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百貨店:いわゆる高価な「ブランドもの」を扱う。年齢層も20代〜50代まで金銭的余裕のあるユーザーが集まる。
ドラッグストア :ユーザー年齢層は幅広いがとにかく「安価」を求めて訪れる場所。メーキャップや化粧品以外にも生活必需品も扱う。
バラエティショップ:百貨店ほど高価なものは扱わない。ユーザーは「目新しい」「面白い」ものを求めて訪れる。
例)PLAZA、LOFT、ROSEMARY、Shopin など
だいたい化粧品の販路はこの3つにわかれます(CVSもありますが、ちょっと上記と立ち位置が少し違うので省略)。
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こんな感じの立ち位置なので、バラエティショップに置くものは「高級感」「デザイン性」は求められないのが常識でした。ただ、フローフシは「お客様からしたら販路なんて関係ない。場所がどこだろうと、見た目も機能も良いものがなるべく安価で変えることが大事」と考えたのです。
常識に囚われない、徹底した生活者思考が素晴らしいなと。
当たり前のようなんですけどね。
ただ、見た目にこだわるにも、5種展開するにも、コストが莫大にかかります。同じ販路に置いてある競合他社がやっていないことはやらなくていい、と考えてしまう気持ちもわかります。
ちなみに、モテマスカラのフルリニューアルはカナリアという超有名なデザイン事務所が手掛けました。
いろはすのブランディングとかグノシーのVI(あの紙飛行機のマーク)作ったりしてます。フローフシともこのリブランディング後もずっとタッグを組んでます。
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フローフシの伝説的な躍進。
登場からリブランディングまではこんな感じです。
ただ、フローフシはまだまだこの後もすごかった。
長くなりそうなので後編に取っておきます。
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