美しいマスクを作る(中学校美術)
紙について知ってもらい、紙に囲まれた授業がしたい
紙、特に和紙を扱う仕事柄、中学生の皆さんを巻き込んでの紙三昧の授業ができないだろうかと、まずそんな下心から計画を始めました。
奈良県吉野に残る和紙、美栖紙と宇陀紙。
気になっていた和紙がありました。国宝『鳥獣戯画』を始め、正倉院宝物など様々な重要文化財の修復に欠かせない、薄く美しい楮紙。奈良時代から変わらぬ制法を受け継ぐ上窪和紙さんと、福西和紙本舗さんへ、取材と材料調達にうかがいました。
福西和紙本舗(宇陀紙)
上窪和紙(美栖紙)にて。後継者のお若い女性がちょうど作業されていました
現場のにおいを感じ、なお一層、やる気が湧いてきます。どんな作品を作ってもらおうか。
紙ってそもそも何じゃ
紙って何だろう。ものを書くためのもの。それだけじゃありません。私たちは昔から木と紙でできた家に住み、紙で何かを包んだり、塞いだり、拭いたり、飾ったり、日常的にあらゆる場面で紙と親しんできた民族ですね。というところから始め、紙の繊維の顕微鏡画像をいっぱい見て、頭の中も紙でいっぱいにしてもらいます。
まずは紙と仲良く
紙は、手を加えることで如何様にもその質感を変身させます。1枚のケント紙をくばって、その1枚からどれだけのテクスチャーを生み出せるかやってみようということで、まずは生徒の皆で、”加工ワード”を挙げていきました。
「蒸す」とかウケます。「投げる」はどのクラスでも挙がります。中学生は、乱暴なのがお好みです。
これらのワードを、順番を考えながら組み合わせたりして、今までやったことのない加工を紙に施してみます。おもろいものができたら、クラスの台紙に貼ってテクスチャー見本にしましょう、ということで、でてきたのが・・
ひたすら20分間揉み続けて紙を布に進化させた子もいたり、ひたすらキリで突き続ける子がいたり。なかなか面白かったです。
作品づくり
3~4時間、こんなことばかりして紙と仲良くなってきたところで、ようやく作品づくりです。お題は”すてきなマスク”。私たちを窮屈な気持ちにさせるこの存在、ぜひ逆手にとって面白がってほしい。
美栖紙と宇陀紙、ケント紙を配り、それ以外にもいろんな種類の紙を用意。さあ自由にやってください。
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で、驚くほど素敵な作品が続々できあがりました。モノとしての品格があるのです。
最後は、許可を得た生徒さんの作品ギャラリーをお楽しみください。
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