編集者の力
数年前まで、編集者という存在の役割がよくわからなかった。
作家があとがきで編集者へ謝辞を述べていたりするので、そういう存在がいることは知っていたけど、何をしているかわからない黒子だった。
縁あって、数年前に若手編集者の女性(当時20代前半)についてもらい文章を見てもらう機会があった。それまで私が受けていたものは編集などではないことをすぐに痛感した。
なるほどこれが編集者の役割なのかと、その影響力を実感したのだ。
後から知ることになるが、彼女は若く、老舗メディアの所属ではないけれど、その実力と、何より作家への愛で評価される人物だった。
当時もっと彼女に教えを請うべきだったと振り返れば惜しいものの、ただの仕事の繋がりで、お金にもならない面倒を見ていただいたことを感謝している。
そして時々で出会った「編集者」の役割、影響力の大きさを思い返している。
タイミングと偶然と、自分の厚顔無恥さで、ささやかな連載を持ったせてもらうことになった。
そこで人生で初めて自分の文章をしっかり叩き直されている。
別の仕事で、わかりやすい文章とか、読まれる文章とか、構成の大切さを知る機会があった。
その集大成というべきタイミングである。
いつ「もうやめましょう」と言われるかわからないので、毎回、賞に応募するような気持ちだ。
優しい配慮ある人なので、メタくそに言われることもないし、たくさん指摘事項があっても、こちらの気持ちを慮ったメッセージを添えてくれる。
今日もまた、ごもっともすぎる指摘を受けて修正をしたのだが、私の伝えたいそのものではなくても、これもいいなと感じた。
自分が伝えたい形で10パーセントしか届かない。
自分の理想とは50パーセントぐらいしか被ってないけど、50パーセントの人に伝わる。
それなら後者の方が影響力はあるのだ。
時代に反するけれど、影響力=価値とは思わない。
ただ、伝わったからこそ先があることも知っている程度には大人になった。
とりあえず、今回のオーディションも合格したようだ。
週刊連載で頑張りますなんてハードルあげなきゃよかったと思いつつ、この人は裏切れない、期待以上に応えたいと思える存在がいることがとてもありがたい。