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キャンドルの灯りと私の心

灯りとは、不思議なものである。
そこに灯された瞬間、周りの色が暗い色からほのかに明るい色へと移り変わる。
それはまるで、辛い現実から救いの手を差し伸べられたような感覚に似ている。

最近、ストレス解消法を模索しているなかで、
キャンドルに出会った。
いつも見ている憧れの人が、キャンドルを愛用していて、
ただそれの真似っこである。
香り付きのもののほうがリラックスできそうと思って、
お気に入りの1点に出会うまで雑貨屋さんを巡り吟味した。
そして見つけたのがこちら、

YANKEE CANDLE エレベーションジャーM シアーリネンの香り
https://www.kameyama-candle.jp/ec/shop/category_items.htm?cate_a=kind&cate_b=yankee-candle&cate_c=yc-elevation

正直、キャンドルを使ったことも無ければ、
灯りを見ているだけで癒されるものかと心底疑っていた。
香りで癒されるのはわかるけど、それなら火の出ない匂い袋のほうが安全だし。
それにキャンドルだったら、IKEAで買ったLEDライト式があるもんなあ…と
何日間か購入するのに躊躇っていた。

高校時代、誕生日プレゼントにアロマキャンドルを貰うことも多々あった。
貰うたびに、「嬉しいありがとう〜」とお返事していたが、
心の中では「これ使うタイミングないな…」と落胆していた。
母にキャンドルをもらったから使いたいと報告すると、
「煙が立つと感知器が発動するから、あまり家では使えないかもね」
そういって歴代の貰い物キャンドルたちは、ただの置物と化した。

そんな思い出がよぎり、キャンドルって煙が立つのか調べてみた。
意外にも消す時以外は気にしなくても良さそうで、少しほっとした。
何でも自分で調べてみるものだ、そう高校時代の自分に言い聞かせたくなった。

そうしてお気に入りを見つけて購入し、
早速その夜、点灯式を開くことにした。
ベッドテーブルにキャンドルを置き、部屋の電気を暗くし、ムードは抜群。
味気ないチャッカマンで火をつけた。

つけた瞬間、ほんのり甘い香りとともに、灯りがゆらゆらとたゆたっている。
部屋を暗くしたおかげで、天井には影がほのかに映しだされ、
何とも幻想的な世界が広がっていた。
乳白色の蝋には鈴蘭やムスクの香りが閉じ込められていて、
お花畑に佇む、ちょっぴり大人で可憐な少女が思い起こされる。
どれだけ時間が経っても変わらずゆらめいている、小さな灯りを見つめていると、
幸せホルモンが体の内側から温かく湧き出てきて、部屋全体が幸福感に包まれた。
キャンドルって、世の中で1番包容力のある物体だと思う。

30分ほど経っただろうか。
リラックスしすぎてうたた寝をしていた。
幻想的な世界に完全に引き込まれていた。
こんなにも穏やかな気持ちで、力が抜けた状態になるのは初めてだった。
同時に、普段どれだけ心を張り詰めて息をしていたのだろうと怖くなった。

朝起きて、電車に乗って出勤し、仕事を懸命にこなし、様々な人と会話を交わし、帰宅してからは家のことに追われ、気づいたら眠りについている。
どこにも息抜きをする時間は設けられていなかった。
一呼吸する間もなく、1日を生きていた。
そんな詰まった人生をこれからも歩むことができるのだろうか。
いや、その前に呼吸困難で苦しんでしまう。
現に、何度目かわからないその息詰まりにあえいでいる。
何事も全力でやり遂げたいから、妥協したくないから、
自分が一息ついている間に誰かが上を行くから、
休んでいる暇なんかないと体を動かしている。
それで大丈夫な人ももちろんいると思うけど、
刺激に敏感で感受性の高い私は、それだとあっという間に呼吸できなくなる。
息抜きが大事だとは分かっていたけど、どうしたらできるのか分からなかった。

灯りを消してから、ベッドにつく。
すっと夢の世界へと誘われていった。
翌朝、太陽とともに目が覚めて、体が軽く心も穏やかな気持ちになっていることに気がついた。
キャンドルのおかげで、息抜きができたんだ。
それからは、なるべく毎日寝る前にキャンドルタイムを設けようと努力している。
まだまだ減らないけれど、他の香りも欲しくなってきた。
その日の気分によって香りを変えるのは、なんだか貴族のような気持ちになる。

皆さんも、1日のどこかでキャンドルタイムを設けてみてはいかがでしょうか。

miru

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