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郷土の涼味

 日に日に暑くなるなか、冷たいデザートも欠かせません。長崎の地元スーパーでは、冬場、冷蔵食品の棚に控えめに置かれていた「呉豆腐(ごどうふ)」が、品数を増やして前面に出てきます。「呉豆腐」とは、豆乳と葛粉(または片栗粉)を混ぜて固めたもので、肥前(佐賀・長崎)に伝わる郷土料理です。見た目は豆腐のようですが、それよりも、もっちりとした食感。甘味噌やショウガ醤油、黒蜜などをかけ、デザート感覚でいただきます。
 「呉豆腐」の「呉」とは、水に浸した大豆をすりつぶしたものをいいます。ちなみに日本各地に郷土料理として伝わる「呉汁」は「呉」を味噌汁に入れたもの。「呉豆腐」より「呉汁」のほうがよく知られているようです。
 「呉豆腐」は、材料も作り方もシンプルです。4人分くらいなら、鍋に市販の豆乳500mlと葛粉50g(本葛粉でなくていい。サツマイモの澱粉がおすすめ)、そして塩をひとつまみ入れ(甘みが欲しい方は砂糖大さじ1〜2杯加える)、よくかきまぜて葛粉を溶かしてから弱火にかけます。混ぜ続けていると5〜6分くらいでねっとりとしてきます。さらに1〜2分ほど表面にツヤが出るくらい練り混ぜたら、ラップを敷いた容器に移し入れ、冷蔵庫で冷やします。固まったら適当な大きさに切り分け好みのタレをかけていただきます。

その3ツヤが出るまで

 ツヤが出るまで練る

 昔は、仏事など大勢が集うときに作られていたという「呉豆腐」。大豆から豆乳を絞り出すところから作りはじめました。一度に豆乳4升(約7200ml)くらいを使うので、火にかけツヤがでるまでに1時間近く練らなければならなかったようです。「呉豆腐」のように、長崎・佐賀という隣接した地域には、同じような郷土料理がほかにもいろいろ存在するようです。たとえば、長崎・佐賀そして熊本には、「石垣だご」と呼ばれるおやつが古くから伝えられています。「石垣だご」は、サツマイモをサイの目に切ったものを生地に練りこんで蒸して作るお団子です。生地は小麦粉か、イモの粉を使います。

その4石垣だご

石垣だご

 昨年秋に対馬で手に入れた「せん」を使って、対馬市のホームページで紹介されていた「せんだんごの黒蜜かけ」という涼しげなおやつを作ってみました。ちなみに、「せん」はサツマイモから取り出した澱粉を固めた伝統の保存食。「せん」に水を加えて練り、「ろくべえ」と呼ばれる麺料理にしたり、お団子などのお菓子を作ったりします。

その5せん

対馬伝統の保存食「せん」

「せんだんごの黒蜜かけ」は、「せん」と同量の白玉粉を加え、あとは、白玉団子を作る要領で水を加えながら練り、お団子にして茹であげ、さっと冷水にとって粗熱をとり、黒砂糖をかけていただきます。レモンを添えれば、涼しげな一品に。白玉団子より、もっちり感があります。時間が経つと澱粉の作用で固さが増してくるので、作ったら早めに食べるのがいいようです。

その6せんだんご黒蜜

せんだんごの黒蜜かけ
株式会社みろく屋
 みろくやは長崎のソウルフードであるちゃんぽん・皿うどんを代表商品として、長崎の「おいしい」を全国に向けて発信している企業です。
「おいしい笑顔」は「幸せな笑顔」。私たちはお客様の「おいしい笑顔」のために日々努力し、前進し続けてまいります。
株式会社みろく屋ウェブサイト https://www.mirokuya.co.jp


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