意味を詰める
先日、ちょっとした知人が大阪でお店をオープンしたので、遊びにいってみた。
大阪日本橋のいわゆるオタロードのあたりにある。オープン祝いを手土産に訪れて2時間ばかり過ごしてみたのだが、なんだか感心してしまった。
小綺麗な雰囲気で、気が利いてるけども意識が高すぎない調度品や食器、見た目もよく工夫されて楽しくおいしい料理やデザート、カウンター8席ぐらいの小さな店内なのだけど狭く感じないスッキリした空間、ゆるっとした雰囲気だけど粗雑さや不真面目さは感じさせないスタッフのみなさん。
どこまでが自覚的でどこからがそうでないのかはわからないけれど、とにかくこれは「いいお店」だなと思った。
もっと確かな言い方をすれば意味の詰まったお店だと思ったのだ。
場所柄的にコンセプトカフェが溢れているスポットなので、易きに流れようと思うなら、もっと全然カンタンにもできたと思う。でも、そうなってはいなかった。
「こういうお店にしたい」というつくり手の思いが触れただけで伝わってくる。そういう感じがした。
正直に言って、前述したような「店内が小奇麗」とか「料理が見栄えがしておいしい」とか、個別の要素のひとつひとつはそう珍しいものじゃない。
けど、そこは本質じゃないし、木に例えて言うなら枝葉の部分にすぎない。根っこになるのは、その人がどう考えてそうしたのかという意味の部分。
装飾が変わったって、メニューが変わったって、スタッフが変わったって、根っこが同じなら大事な部分は継承されていくし、根っこの部分で好きになった人は好きであり続ける。
それが「意味が詰まった」ものの強さだ。
まだ始まったばかりのお店でどうなっていくのかわからないけど、ちょっと期待。
意味を込め続けた推しメン
そんなことを書いていたら、そういえば推しメンがちょっとリンクする話のnoteを書いていたなと思い出した。
柚希未結の現場は、アイドルをやめて1年経った今も驚くほど当時と変わらずファンが集まる。みんな、柚希未結の込めていた意味を感じとって、根っこの部分で好きになったからじゃなかろうか。(ただの推測だ)
どんな意味を込めていたのか、興味のある人はどうぞ。
余談だけど、アイドル業界(特にグループのところ)をみてて感じるのは、機能で売っているところが多いなということだ。
イイ曲、完成度の高いダンス、偉い顔面、盛り上がる曲、沸くフロア。それの良さは理解しているけど、細かい違いはあれどこれらは代わりがいくらでもある機能的なもの、枝葉にすぎない。
なんでそうしたのか?の根っこの部分がなければ、それを伝えようとしなければ、受け手にとってはどれも同じようにしか見えない(が、実は受け手もこの自覚が薄いのが業界全体が袋小路にハマる罠だったりする)し、機能が満たされなくなれば他に同じ機能を提供してくれるところに乗り換えていくのが道理だ。
新規のお客さんが常にたくさんいるのに1年も経てばほとんどいなくなってしまうような光景をよくみるのは、みんなが求める最大公約的な機能を提供しているだけで、そこに意味が詰まってないからじゃないかな。
そんなことを思った。
最後に、実はここに書いてきたような話は「ファンベース」という考え方に近くて、本も出ていたりする。もう少し詳しく知りたい人、興味のある人は読んでみるのもいいかもしれない。
ちなみに、冒頭のお店はこちら。
おしまい。