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【愛情は連鎖する】絵本「だいじょうぶだいじょうぶ」

いとうひろしさんのベストセラー絵本。いつも一緒にいてくれた「おじいちゃん」と「ぼく」との日々が描かれた心温まる物語です。

ぼくが いまより ずっと あかちゃんに ちかく、
おじいちゃんが いまより ずっと げんきだった ころ、
ぼくと おじいちゃんは、
まいにちのように、おさんぽと たのしんでいました。

「だいじょうぶだいじょうぶ」 いとうひろし 作・絵

前半は「ぼく」の回想になっています。小さい頃の「ぼく」にとって、おじいちゃんとの散歩は、冒険のようにワクワクするものでした。
新しい発見や楽しい出会いがあって。でも、その分だけ困ったことや怖いことにも出会いました。

おむかいのけんちゃんは、わけもなく「ぼく」をぶってきます。犬はうなって、歯をむきだします。
怖いことはそれだけではありません。
「ぼく」は、飛行機が空からおちることがあるということや、あちらこちらに怖いばいきんがいることも知ります。

子どもの頃は知らないことが多いので、怖いものも多いですよね。成長するにつれて色んなことを学び、むやみに怖がらなくてもいいと知りますが、その一方で、世の中にはまだまだ怖いことがあることも知ります。

だけど その たびに、おじいちゃんが
たすけてくれました。

おじいちゃんは、ぼくの てを にぎり、
おまじないのように つぶやくのでした。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」

「だいじょうぶだいじょうぶ」 いとうひろし 作・絵

子どものそばに、この絵本のおじいちゃんのように安心感を与えてくれる大人がいるっていいことですよね。
実際、子どもの頃の悩みや不安は、大人になると気にならなくなるものだったりもするんですが、子どもにとってはすごく苦しいこと。

無理してみんなと仲良くしなくてもいいんだよ。
たいていの病気やけがはいつかなおるもんなんだよ。

「だいじょうぶだいじょうぶ」 いとうひろし 作・絵

おじいちゃんの優しい言葉は沁みます。。
おじいちゃんから安心感をもらい続けた「ぼく」は、前向きに、すくすくと成長していきます。こんなやさしい愛情に包まれて育ったら、ぜったい優しい子に育つんじゃないかな、と思います。

物語の最後は、現在の大きくなった「ぼく」が「おじいちゃん」に会いに行くシーンなのですが、年を取った「おじいちゃん」へ「ぼく」がとった行動にホロリときます。

この絵本は元々は小さめのサイズなのですが、大型版も出ているので、大人数への読み聞かせにもいいと思います。子どもに読みきかせをしながら、「だいじょうぶ だいじょうぶ」と自分もおじいちゃんから言ってもらっている感覚になり、読みながら温かい気持ちになります。

私自身は祖父との思い出は少なく、二人でお散歩したりっていうこともなく、正直、年配の人と何を話してよいのかもわからない…というような子どもでしたので、今頃になって、もっと話しておけばよかったなと思います。

ところで、「だいじょうぶ」って言葉、最近どういうときに使っているかな、とふと考えてみたのですが…。

具合が悪いときに「寝てなくていいの?」と言われ、「だいじょうぶ」と答えたり(本当はつらいのに)、
「日程変更してもらってもいい?」と聞かれ、「全然だいじょうぶだよ」と答えたり(もちろん、いいよ。と言えばいいのに)、
「レジ袋必要ですか?」とスーパーで聞かれ、「あ、だいじょうぶです」と答えたり(不要です、と言えばいいのに)、
日常的に多用していますが、これは本来の正しい使い方なのか、と思うような使い方もしていて。「全然、大丈夫」って日本語としておかしいですよね(;^_^。

人からかけてもらう優しい「だいじょうぶ」はすごくホッとしますよね。
子どものときに大人に言われるのももちろんですが、大人になってからも、産後に助産師さんや保健師さん、先輩ママからの「だいじょうぶ」で、涙が出るほど安心したり嬉しくなったりしたものです。
今後は、このお話のおじいちゃんのように、だれかを安心させるような「だいじょうぶ」を言いたいな。そして、たまには言われたいです。


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