おじいちゃんのことをよく知らない
高校を卒業するまで、田舎の小さな家に3世帯で暮らしていた。
おじいちゃんとおばあちゃんは今でも元気だし、これからもずっと長生きして欲しいと思っている。
ただ、同じ屋根の下に暮らしていたにも関わらず、向暑はるは家族のことをあまりよく知らない気がする。
おじいちゃんとおばあちゃんがどのような幼少期を過ごしていたのか知らないし、どのような青春を過ごしたのかも知らない。
働いている姿も知らない。趣味や特技も知らない。
向暑はるが生まれてきた頃には、おじいちゃんは「おじいちゃん」として、おばあちゃんは「おばあちゃん」として一家の役割を担っていた。
おじいちゃんは「お父さん」の頃もあっただろうし「息子」の頃も間違いなくあったはずだ。
それなのに向暑はるは、おじいちゃんの生涯の「おじいちゃん」である頃しか知らない訳だ。
実は家族と過ごしている時間は、一生の中でもごく一部のことなのかもしれない。
ましてや身内以外と接している時間はさらに少ないといえる。
全世界の人々に一人1秒ずつ出会ったって、人生が足りない世の中で、向暑はるが大切にしたいと思った人をもっと大切にしようと思った。
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