キノミに成って。
自分の名前を口にするのが恥ずかしかった。
物心ついてから、確か小学校低学年くらいまでは。
「未史(ミフミ)」という変わった名前であることも、理由の一つにはあると思う。
「お名前は?」
「…みふみです」
「ん?ひふみくん」
とか
「みふみちゃん、女の子みたいだね!」
とか
「みふみくん、どんな字書くのかしら?」
みたいなことを言われて、それ以上の会話が求められている気がして、シャイなミフミ少年は顔を赤くすることしかできなかった。
今はというと、この名前が大好きだ。名乗っていくうちに、口と耳が慣れてきた。変わった名前はむしろ会話の糸口となる。誇りと愛着を持って、この名前を名乗っている。
総理曰く…
ところで、それでもなお、僕はフリーランスになるにあたって「キノミ」という屋号をつけた。自分の人生とは切り離したもう一つの名前を持つことで、この体を愛するのと同じように、事業や仕事に対して愛着を持ちたかったのだと思う。
初めてこの映画を見た時は、なんとも間抜けなセリフだと思った。それでも、現に作中の世界ではその後「巨大不明生物」を「ゴジラ」と呼ぶようになり、そのことが与えた影響も大きいと思う。名前はついていることが大切だ。
キノミの由来
さて、「キノミ」という名前にはいろんな思いを込めている。
コピーライターという仕事は、端的にいうと、企業側が言いたいことを、生活者側の心に届くように変換する仕事だ。日々いろいろな情報に接している生活者の心にピン留めするのは簡単ではない。だからこそ、さまざまなギミックやレトリックを駆使して「気になる」メッセージにする必要がある。
「気になる」、「きになる」、「木になる」…
それから、これまでのキャリアで、「企画」から「実現(実施)」まで、さまざまな段階でクリエイティブに関わってきた点も、僕(キノミ)の強みとしていきたいポイントだ。
「企画の実現」、「企」の「実」、「きのみ」…
そして、「キノミ」という名前には、僕が大切にしたいトーンが示されている。つまり、見つけてちょっとほっとするような、日常の嬉しさを作り出すクリエイティブ。さらには、そうした「丸さ」だけではなく、心に深く刺さるような「尖り」。丸いようで尖っている、尖っているようでほっとする。そんなクリエイティブだ。
キノミは「企」の「実」。気になるをつくる、実になるクリエイティブの、企画から実現まで。丸いようで尖っているキノミのメッセージ作りが、人々の心に刺さり、人や社会を動かしていく。
キノミに成って
先日、4/28(金)、大安のこの日に「キノミ」として開業届を提出し、正式にキノミの事業はスタートした。本当は、「キノミ」を名乗るのは、まだちょっとだけ恥ずかしい。
「屋号は?」
「キノミです」
「キノミ?」
「キノミか、かわいいね!」
「どうしてキノミにしたの?」
そうやって聞いていただけるのが、ちょっと恥ずかしくて、だいぶ嬉しい。まさに「気になる」を作れた瞬間だと思うから。
この新品の名前も、いつかは使い古して味が出て、今よりもっと、愛着が持てるようになると信じている。
キノミに成って、1週間。まだまだ青い季節を過ごしている。
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