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子どもの肥満の治し方-10-おやつのカロリー

50年前には子どもの肥満が今の半数しかいなかったことを、前回お話ししました。つまり、ここ50年間で子どもの生活習慣に起きた変化に目を向ければ、肥満対策のヒントが見えてくるかもしれません。今回は、子どもの肥満とおやつの関係について考えてみます。


子どもたちの「好きなおやつ」ランキング

私の外来に通っている小中学生100人(男の子65人、女の子35人)に「好きなおやつ」を挙げてもらった結果、上位は以下の通りでした:

1.ポテトチップス(19票)
2.アイスクリーム(19票)
3.チョコレート(18票)
4.グミ(18票)
これらが「4強」と言えそうです。以下、スナック菓子、じゃがりこ、するめなどが続きます。

カロリーに要注意のポテトチップス

「スナック菓子の王様」とも言えるポテトチップス。代表的な「カルビー ポテトチップス うすしお味」は、1袋60gで336kcalあります。これは、小学生のおやつの適正量(200kcal前後)を大幅に超えるため、1人で食べるのはおすすめできません。さらに注意したいのがコンビニ専用の大サイズ。例えば、80g(448kcal)や118g(661kcal)といったサイズもあり、気づかないうちに摂取過多になってしまいます。
高カロリーの原因は「脂質」です。ポテトチップスは油で揚げるため、糖質の2倍以上のカロリーを持つ脂質が多く含まれています。

「100円でカルビーポテトチップスは買えますが、カルビーポテトチップスで100円は買えません」。藤谷美和子さんの、このテレビCMから、ポテトチップスは一気におやつの主役になりました。ちなみに百円札の発行終了は、このCMの3年前です。(https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/valid/past_issue/pbn_100.htm


甘いおやつも侮れない

「4強」の中でポテトチップス以外は甘いお菓子で、これらもカロリーが高いものが少なくありません。ただ、商品そのものやパッケージあたりの内容量設定でだいぶん違いが出るので、代表的な銘柄のカロリー を列記します。
・アイスクリーム
 ・明治「エッセルスーパーカップ・超バニラ」200ml:374kcal
 ・赤城乳業「ガリガリ君・ソーダ」110ml:69kcal
・チョコレート菓子
 ・ロッテ「コアラのマーチ」1箱55g:298kcal
 ・明治「きのこの山」1箱74g:423kcal
 ・同「たけのこの里」1箱70g:383kcal
・グミ
 ・明治「果汁グミ」一袋54g: 178kcal

おやつと現代社会

アイスクリームやチョコレートが手軽に食べられるようになった背景には、冷蔵庫や自家用車、コンビニの普及といった社会の変化があります。私の子ども時代(1970年代)には、アイスやジュースを家庭で買い置きする文化はありませんでした。おやつは子どもの楽しみですが、高カロリーなお菓子が簡単に手に入る現代の環境が、子どもの肥満を助長している可能性があります。

最後に
おやつは子どもの特権であり、大切な楽しみの一つです。取り上げるのではなく、容器に記載された「エネルギー表示」を参考に、適量を心がけるだけでも、肥満対策に役立ちます。
次回は、行動療法の基本的なやり方について書き留めます。

著者について

山田克彦
私は小児科医として30年以上、子どもたちの健康に関わってきました。「子どもの肥満」に悩む多くのご家族のお役に立ちたいと思い、このノートを始めました。

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