「性別を気にしていること自体古くない?」と思っているあなたへ
私は、まだ日本でジェンダー平等が達成できていないと思っている。
でも、これから社会に出る人、つまり大学生・高校生は、そう感じていないことが多い。
確かに、女性蔑視が明らかに蔓延していた時代に比べたら、女性の扱われ方はマシになった。
しかし、ジェンダー平等には、まだまだ遠い。
「性別を気にしていること自体が既に遅れた発想だ」と主張する人は男女問わずいます。でも皆さん、実態を見てほしいんです。「たった2年前にこれまで多くの医大で女性の受験生が何年も減点されてきたことが発覚しましたよね」「女性の政治家はこれだけ少なく、女性の声がなかなか政策に反映されていませんよね」「保育園の数は少ないですよね」「女性が死に物狂いで抵抗しない限り強制性交だと認められませんよね」……、そうした女性が置かれている現実を無視して「今はもう、女性も男性も関係なく、ジェンダーレスの時代だ」と言い切ってしまうのは罪深いと思います。社会にはまだまだ多くの構造的差別が残っている。
「性別は関係ない」という発言をする人は、自分がむしろ時代の最先端をいっているような錯覚に陥っている感じがあると思うんですが、私はそういう人の発言に対して「惜しい」と感じます。性別など気にしなくて済むようになるのは誰にとっても理想ですが、現実を見れば、女性はまだまだ制度的差別の被害を受けています。その「現実」をしっかりと直視することが必要だと思っています。
日本のジェンダー平等指数は、世界で121位。G7の中で最下位だし、日本より順位が上の途上国もたくさんある。
最近も、女性蔑視の発言が問題になった。この状況でも、ジェンダー平等が達成されていると言える?
また、「平等」と「公平」の違いがあまり浸透していないようなので、ここで触れておく。
例えば、貧しい人に100万円あげることが公平。貧しい人にも豊かな人にも100万円あげることが平等。
一方、「不平等」と「不公平」の違いはこちら。
評価する側が不公平な評価をしているため、平等に権利が与えられていても、まだまだジェンダー平等は達成されていない。
私がバイトをしていた時のことだが、急に本部から男性2人(部長・課長だったかな)がやってきた。
店内の備品の置き場は、現場で働いていた私の方が詳しかった。
彼らが「〇〇(店内備品)の不具合の電話はどこにかけたらいいのだろう」と悩んでいたので、私はその電話番号が書いてあった名刺を探して、彼らに渡した。
すると彼らは、私の名札を見て、私になんと声をかけただろうか。
「おう、〇〇(私の名前)さん。(女子のバイトなのに)やるねえ。」
...はい?
女子なのに、バイトなのに。
彼らは口には出さなかったが、私はそういう空気を感じた。
女性だから?バイトだからって下に見てる?
社会で働く女性たちは、日々こういう価値観に触れて悩まされているんだろうと思い、未来が暗くなったのを覚えている。
ジェンダー平等が達成されているのか、されていないのか、私たちやネットの記事の尺度だけではなく、もう一度、ご自身で考え直して欲しい。