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点と線

天気の良い日は、夜空を見ながら、月や星、そして星座を探しながら、
時を忘れます。そして、宇宙を想像しながら、頭の中を空にします。

子供の頃から、星や天体に興味を持っていました。明るい街の中では、星を探すのは大変です。月や金星、一番星などは見つけられます。

田舎に住む、祖母の家へ行く時は、心ウキウキです。
夜は闇です。誕生日プレゼントに買って貰った天体望遠鏡をセットし、
目を闇にならします。
夜空を見上げると、一等星が明るく見えます。
目が闇に慣れてくると、二等星、三等星が見えて、星の多さに圧倒されます。
輝き方が異なる星を発見します。
明らかにキラキラと輝いている星と、輝き方が落ち着いている星があります。
輝き方が落ち着いている星で、季節、時間帯、方角を考えると、
惑星であることが推測されます。

天体望遠鏡を、その星に向けて、レンズを覗き込むと、惑星の特徴を見ることが出来ます。

また、星座早見盤を片手に、一等星を中心に、二等星と三等星を繋げていき、季節の星座を発見し、星座の神話を思い浮かべます。

例えば、
オリオン(オリオン座)は、ギリシャ神話で一番の狩人でした。
そんなオリオンは、そのうち、力を自慢するようになりました。
見かねた女神は、オリオンを懲らしめるために、彼の足元に蠍(さそり座)を放ちます。さすがのオリオンも蠍の毒には勝てず亡くなってしまいます。
蠍の苦手なオリオン(オリオン座)は、蠍(さそり座)が東から夜空に上ってくると、逃げるように西から沈んでいきます。

天体観測をしたり、星座を見つけては、神話を思い浮かべ時空を旅していましたから、あっという間に時間が経ちました。

天空にある星を点『・』と捉えて、点と点を線で結んでいくと形になっていくことに面白さと、広がりを感じ、素敵な世界だなと思っていたのです。

点『・』と線で、算数の世界でも不思議なことがありました。

小学2年生で、分度器の使い方を習ったとき、おかしなことに気づきました。
45度を分度器を使って作図しても、1,2度はずれてしまいます。
それは、何度の作図でも同じです。
鉛筆の芯の太さで、線の太さが変わりずれるのです。
この頃から、算数に違和感を感じます。
こんな適当で良いのか??
皆は、何とも思わないのか?

小学4年生のとき、正方形、長方形の面積のテストがありました。
単位の問題が終わり、次の問題に。
長さの異なった正方形、長方形のイラストがあります。
次の図形の面積を求めなさい。
下のようなイラストです。

直角や、長さの等しい記号、単位に注意して面積を求めようとしました。
頭の中に疑問が…
テスト用紙を配布する際に、
先生が「テスト中に何か質問があれば、静かに手を上げて下さい。」と言っていたことを思い出しました。

しかし、こんな事を聞くのは、可笑しいと思われるのではないかと。
ですが、頭の中の疑問と興味の方が勝ち、手を上げました。
周りの友達からの視線を感じます。

私は、先生に
「次の図形の面積は、線の内側の面積を求めれば良いのか、
線を含めた面積を求めれば良いのか、教えて下さい。」とドキドキしながら聞きました。

皆さん、手元にある鉛筆または、シャープペンシル、ボールペンで、
一辺が5㎝の正方形を、次に、先ほど使用したペンより芯が太いマーカーや、クレヨンで同じ大きさの正方形を書いてみて下さい。
気づくことはないですか?
線にも面積があるのに気づきますよね。
勿論、点『・』にも。
このことが、小学2年生の頃から気になっていたのです。

質問後、先生も、どう答えればよいか困った顔をしていました。

私の周りの友達から、ざわざわと。
そして、ざわざわが広がり、クラス全員がテストを解く手を止めて

「線を含んだ面積に決まっているじゃないか。」

「いや、線を含まず、線を含んでと問題文に書いてないから、どちらかの面積か分からない。問題が間違っている。」など口論に。

すると、担任の先生は「テストを裏返し、静かに待っていて下さい。算数担当の先生に聞いて来ます。」と教室を出て行きました。
教室内は、まだ、小声で、ざわざわしています。

直ぐに、先生が教室に戻って来ました。
先生は「イラストの図形は関係なく、(1)一辺が8cmの正方形、(2)縦6cm、横12cmの長方形、…の面積を求めて下さい。」と言い、
テストが再開しました。テスト後も理由とか説明はありませんでした。

その後、父親にも聞きました。
線に面積?どうでも良くないか? とりあえず気にせずに勉強すれば良い。
と答えられました。友達の中で、面白そうだと言い、アイデアを出しますが小学生の知識では、どうしようもありませんでした。
この時代、ネットは無く調べることも容易に出来ません。

小学生、中学時代が過ぎ、高校時代に。
数学の微分積分の授業で、∞(無限大)が出てきます。
この∞(無限大)を利用して、面積を求める授業時に、
点『・』、線には面積を持つのかを思い出しました。

当時、数学の知識があり、実力のある友達が周りにいました。
数学の授業後、その友達の中の一人に聞くと、
ユークリッド幾何学についての話をしてくれ、本を紹介してくれました。

点(・)や線は、面積を持たない。
ユークリッドが定義したことが書かれていたのです。

アレクサンドリアのエウクレイデス古代ギリシャ語: Εὐκλείδης, Eukleídēs、ラテン語: Euclīdēs、英語: Euclid(ユークリッド)、紀元前3世紀?)は、古代エジプトギリシャ系数学者天文学者とされる。数学史上の重要な著作の1つ『原論』(ユークリッド原論)の著者であり、「幾何学の父」と称される。(紀元前323年-283年)のアレクサンドリア(現在のエジプト領アレクサンドリア)で活動した。

紹介された本を読んで、
今から、約2300年前に、定義されたことを今も使用し、
進化を続けていく数学の世界に、心の底からこみ上げてくる、ワクワクする感じ、居ても立っても居られない気持ちになりました。
私は、この頃から、数学の世界をもっと知りたいと、
そして、数学と向き合って勉強するぞと決めた とき でした。

今も、数学に携わり、数学の世界を続けていく、
きっかけになった点『・』と線との出会いでした。






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