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e-Taxによる確定申告のメリットと注意点
e-Tax(イータックス)は、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムです。
スマートフォンやパソコンで、所得税、相続税、贈与税、法人税、消費税などの申告や納税、申請・届出を行えます。
オンラインで手続きが完了するため、税務署に行く必要がありません。
メンテナンス時間を除き、24時間いつでも利用できます。
e-Taxによる確定申告のメリットや注意点などについてお話しします。
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1 e-Taxの利用状況
国税庁「令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」から引用します。
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e-Tax の利用による2023年分の所得税等の確定申告書の申告をした人は1,604万6千人です(対前年比+7.3%)。
所得税等の確定申告書の申告をした人の約7割がe-Taxで申告していることになります。
国税庁の確定申告書等作成コーナーや各種会計ソフトを利用して自宅からe-Taxで申告した方は690万5千人(対前年比+16.7%)です。
所得税等の確定申告書の申告をした人の約3割が自宅からe-Taxで申告していることになります。
スマートフォンを利用して自宅からe-Taxで申告した人は316万2千人(対前年比+27.0%)です。
自宅からe-Taxで申告した人の約半数がスマートフォンを利用していることになります。
e-Taxの利用者数が増加している理由として、つぎのようなことがあります。
①新型コロナウイルス感染症の影響
感染予防として対面での手続きを避けるためにオンラインでの申告が推奨されたことで、自宅からe-Taxを利用する人が急増しました。
②スマートフォンの普及
スマートフォンを使った申告が2018年から可能になり、手続きがより簡単になりました。
とくに若い世代やテクノロジーに慣れた人々にとって、スマホでの申告は非常に便利です。
③税制改正
税制改正により2020年から、e-Taxの利用で青色申告特別控除の額が増えるといったメリットが追加されました。
e-Taxを利用するインセンティブが高まったのです。
④デジタルガバメントの推進
政府全体でデジタル社会の実現を目指し、e-Taxの普及と定着が進められています。
その結果、利用者の利便性が向上し、利用率が上昇しています。
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2 e-Taxでできること
e-Taxのおもな機能はつぎのとおりです。
①電子申告
所得税や消費税などの確定申告をオンラインで行えます。
②電子納税
インターネットを通じて簡単に納税できます。
③申請・届出
開業届や青色申告承認申請書などの各種手続きをオンラインで提出できます。
e-Taxを利用するには、つぎの方法があります。
①確定申告書等作成コーナー
国税庁が提供している、確定申告書を作成するウェブサイトです。インストールは不要です。
e-Taxとは別のシステムですが、そのままe-Taxに接続して送信できます。
スマートフォン、タブレット、パソコンのいずれからも利用できます。
②e-Taxソフト
パソコンにインストールして利用するソフトウェアで、より多機能な電子手続きが可能です。
Windowsパソコンのみ対応可能です。
③e-Taxソフト(WEB版)
e-Taxソフトの基本的な機能を、Webブラウザ上で使用できるように提供しているシステムです。
スマートフォン、タブレット、パソコンのいずれからも利用できます。
なお、2024年5月に、e-Taxの受付システム、e-Taxソフト(WEB版)、e-Taxソフト(SP版)が統合されました。名称は「e-Taxソフト(WEB版)」に統一されています。
e-Taxソフトは、より高度な機能や設定が必要な場合に適していますが、インストールや設定が少し複雑です。
シンプルで手軽に確定申告を行いたい場合は、e-Taxソフト(WEB版)のほうが操作も簡単であり、便利といえるでしょう。
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3 e-Taxのメリットとデメリット
書面で確定申告を行う場合と比べた、e-Taxのメリットとデメリットはつぎのとおりです。
(1)メリット
①自宅から申告可能
インターネットを通じて自宅から、メンテナンス時間を除き24時間いつでも申告ができます。
税務署に行く必要がなく、時間と手間を大幅に節約できます。
②添付書類の提出省略
添付書類を省略できるケースが多くあり、書類の準備が簡単になります。
省略できる書類の例はつぎのとおりです。
ただし、税務署からの要請があった場合に備えて、5年間保管しておく必要があります。
・源泉徴収票
・医療費控除を受けるために必要な領収書など
・社会保険料控除の証明書
・小規模企業共済等掛金控除の証明書
・生命保険料控除の証明書
・地震保険料控除の証明書
・住宅借入金等特別控除に係る借入金年末残高証明書(適用2年目以降のもの)
③還付がスピーディー
e-Taxを利用すると、還付金の処理が早くなります。
通常の書面申告では1カ月~1カ月半程度かかるのに比べ、2~3週間程度とより早く還付金を受け取れます。
④青色申告特別控除による節税効果
e-Taxを利用することで、65万円の青色申告特別控除を受けられ、大きな節税効果があります。
⑤会計ソフトとの連携
多くの会計ソフトがe-Taxに対応しており、申告書の作成から提出までをスムーズに行えます。
(2)デメリット
①事前準備が必要
e-Taxを利用するためには、マイナンバーカードの取得やICカードリーダーの準備が必要で、時間と手間がかかります。
②利用環境の準備
パソコンやスマートフォンの利用環境を整える必要があります。
とくに、マイナンバーカードを読み取るための機器が必要になります。
③パソコンに不慣れな人には難しい場合も
パソコンやインターネットに不慣れな人にとっては、操作が難しく感じることがあります。
④公式サイトの使いにくさ
e-Taxの公式サイトは情報が多く、初めて利用する人にはわかりにくい部分があります。
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4 e-Taxによる確定申告の手順
e-Taxを利用して確定申告を行う手順はつぎの通りです。
詳しくは国税庁のe-Taxのウェブサイトを参照できます。
(1)利用者識別番号の取得
まず、e-Taxを利用するためには利用者識別番号(半角16桁の番号)が必要です。
つぎのような方法で取得できます。
①WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
e-Taxのウェブサイトからマイナンバーカードを使って登録します。
②WEBから利用者識別番号を取得する
e-Taxの開始届出書作成・提出コーナーから開始届出書を作成し送信します。
③税務署での申請
税務署に行って直接申請することも可能です。
④税理士へ依頼
関与税理士に開始届出書を代理送信してもらうことも可能です。
(2)電子証明書の取得
申告データの送信には電子署名が必要です。
電子署名を行うためには、事前に電子証明書を取得しておきます。
(3)申告書の作成
つぎに確定申告書を作成します。
作成・送信できる手続きや利用できるデバイスは、つぎのとおり違いがあるので、目的に合わせて利用することになります。
所得税の確定申告には、確定申告書等作成コーナーを利用します。
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(4)申告書の送信
作成した申告書をe-Taxを通じて送信します。
送信後しばらくしてから、e-Taxのメッセージボックスで審査結果(受信通知)を確認します。
申告が正常に受理されたかどうかがわかります。
(5)電子納税
申告が完了したら、納税を行います。
e-Taxを利用することで、インターネットバンキングやクレジットカードでの納税が可能になります。
所得税の確定申告で、振替納税手続きが済んでいる場合は、電子納税の操作は不要です。
なお、還付金がある場合は、指定した銀行口座に振り込まれます。
(6)スマートフォンとパソコンの違い
それぞれの特徴や利便性を活かして、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。
①スマートフォンでの申告
スマートフォンを使えば、いつでもどこでも申告が可能です。
マイナンバーカード対応のスマートフォンを使えば、ICカードリーダーが不要になります。
スマートフォンでの申告は、操作が簡単なので、初めての場合や簡単な申告を行う場合に向いています。
②パソコンでの申告
パソコンを使えば、より詳細な入力や複雑な申告が可能になります。
とくに、事業所得や不動産所得などの複雑な申告を行う場合に適しています。
また、e-Taxソフト(WEB版)や会計ソフトとの連携によりデータの取り込みや自動計算が可能になります。申告書の作成から送信までがスムーズになります。
さらに、パソコンの大画面を使って操作できるため、入力ミスを減らしやすく、確認作業も行いやすくなります。
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5 e-Taxで確定申告を行う際の注意点
(1)利用環境の確認
e-Taxを利用するためには、国税庁が推奨するパソコンやスマートフォンの環境が必要です。
とくに、OSやブラウザのバージョンが対応しているか確認することが重要です。
(2)電子証明書の取得と登録
e-Taxを利用するためには、電子証明書が必要です。
電子証明書の取得や登録には時間がかかることがあるので、早めに準備しましょう。
(3)インターネット環境の整備
安定したインターネット接続が必要です。
申告書の作成や送信中に接続が切れると、データが失われる可能性があります。
(4)書類の保管
e-Taxを利用して提出を省略した書類は、5年間保管する義務があります。
税務署からの要請があった場合に備えて、しっかりと保管しておきましょう。
(5)申告期限の遵守
確定申告の期限を守ることが重要です。
期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生する可能性があります。
とくに、インターネットでの申告は時間がかかることがあるため、余裕をもって手続きを進めましょう。
(6)入力ミスの防止
e-Taxでは、入力内容にエラーがあると警告が表示されますが、最終的な確認は自分で行う必要があります。
とくに、金額や個人情報の入力ミスには注意しましょう。
(7)サポートの利用
初めてe-Taxを利用する場合や不明点がある場合は、国税庁のe-Tax・作成コーナーヘルプデスクやよくある質問(Q&A)を活用できます。
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個人的な感想ですが、初めてe-Taxで申告したときは、かなり面倒で時間がかかりたいへんな思いをしました。
とはいえメリットもたいへん多く、今後もe-Taxの利用者は増えていくでしょう。
さまざまな改善も図られてきており使い勝手がよくなってきていることも追い風になると考えられます。