厚生労働省が発表した2024年の財政検証結果によると、長期的には年金給付水準が緩やかに低下する見通しです。 具体的には、現在の60%程度から50%程度に低下する可能性があるとしています。 自分が将来いくらくらい年金をもらえそうなのかはだれもが気になるところです。 公的年金の保険料納付実績や将来受給できる年金額の見込みなどを毎年定期的に通知してくれる仕組みがあります。「ねんきん定期便」です。 「ねんきん定期便」の記載内容や見方、確認ポイントなどについてお話しします。 1 「ね
長年住み慣れたマイホームを、住み替えなどの理由により売却する必要が生じる場合があります。 しかしながら、マイホームの売却は、経験もなく専門的知識もなく、どのように進めればよいのか不安になるかもしれません。 マイホームの売却の際に注意すべきポイントなどについてお話しします。 1 マイホームを売却する際の手続きの流れ 一般的な流れはつぎのようになります。 (1)不動産会社の選定 信頼できる不動産会社を選び、売却の相談をします。 複数の会社に査定を依頼し、比較検討することが重
相続税は、相続財産から負債と葬式費用を差し引いた金額が基礎控除額を超える場合に課税されます。 基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人数) たとえば、相続人が妻と子2人の場合、基礎控除額は、 3,000万円 + (600万円 × 2人)= 4,200万円となります。 近年、相続税が課税されるのは、およそ10人に1人の割合となっています。 厚生労働省「人口動態統計」の死亡者数と、国税庁「統計年報」の相続税が課税された被相続人数から計算した結果
2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。 それに伴い、18歳・19歳の若者が巻き込まれる消費者トラブルの増加が指摘されています。 18歳・19歳の消費者トラブルの現状と対策などについてお話しします。 1 成年年齢が18歳に引き下げられて変わったことと変わらないこと 成年年齢の引き下げにより、若者の自立や社会参加が促進される一方で、健康や安全を守るための制限は維持されています。 2 18歳・19歳の若者が巻き込まれる消費者トラブル 18歳・19
不動産の売買や賃貸借は、高額の金銭のやり取りが行われることが多く、消費者にとって重要度が高い取引です。 また、取引における情報の透明性を確保し、消費者が適切な判断を下せるようにする必要があります。 さらに、取引は公平なものでなければなりません。 そのような趣旨から宅地建物取引業法(以下、宅建業法)で設けられている諸規定についてお話しします。 1 重要事項説明(35条書面) 重要事項説明(35条書面)は、不動産取引において、契約前に買主や借主に対して重要な事項を説明するための
ストックオプション制度は、企業が従業員や取締役に、自社株式をあらかじめ決められた価格で購入できる権利を付与する制度です。 従業員のモチベーションを高め、企業の業績向上に貢献することを目的としています。 2024年度税制改正では、ストックオプションの制度拡充が行われました。 スタートアップ企業の支援とストックオプションの利用促進が目的です。 より柔軟で使いやすい制度になり、企業の成長と人材確保に寄与することが期待されています。 ストックオプションとはどのようなものかについてお話
2020年4月1日施行の民法改正により、配偶者居住権が新設されました。 夫婦の一方が亡くなったあとも、残された配偶者が住み慣れた家に住み続けることができる権利です。 配偶者居住権とはどのようなものか、活用する際に注意すべきポイントについてお話しします。 1 配偶者居住権の概要 配偶者居住権を取得した配偶者は、無償でその建物に住み続けられるようになります。 (1)成立要件 配偶者居住権が成立するためには、つぎの要件を満たす必要があります。 ①配偶者であること 配偶者居
マイホームを購入する。 投資のために賃貸マンションを購入する。 あるいは逆に所有不動産を売却する。 不動産の売買には高額の金銭のやり取りが伴います。 人生のなかでもっとも大きな取引であり、慎重に進めなければなりません。 不動産売買をスムーズに進めるために、通常、売主と買主との間で売買契約書を取り交わします。 売買契約書には取引の内容や条件が記載されますが、専門的な知識がないと理解が難しいことが多くあります。 不動産の売買契約書における注意すべきポイントについてお話しします
政府は「リカレント教育」を推進しており、さまざまな支援策を設けています。 リカレント教育とは、学校教育を終えて社会に出たあとも、必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことです。 社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶため、「社会人の学び直し」とも呼ばれます。 そのなかで資格試験や検定試験などを受験する機会があるかもしれません。 50代にもなると、久しぶりの受験に戸惑うことが少なくないでしょう。 若いころはとりあえず記憶しまくればな
iDeCoやNISAのつみたて投資枠は、毎月一定額を積み立てることで価格変動のリスクを分散し、長期的な資産形成を目指します。 その投資手法は、「ドルコスト平均法」の考え方にもとづいています。 ドルコスト平均法(DCA)とは、金融商品を定期的に一定の金額で購入する投資手法です。 価格の変動に関わらず、定期的に同じ金額を投資することで、購入価格の平均を抑える効果が期待できます。 たとえば毎月1万円ずつ投資する場合、価格が高い時には少ない数量を、価格が低い時には多い数量を購
かつて「新・三種の神器」ともてはやされたマイカーですが、近年、「所有」から「利用」へのシフトが進んでいます。 乗用車の「利用」の手段としては、「レンタカー」「カーリース」「カーシェアリング」があります。 それぞれについて、どのようなものか、選択のポイントなどについてお話しします。 1 乗用車の保有、レンタカー、カーリース、カーシェアリングの最近の動向 内閣府「消費動向調査」によると、近年の乗用車の普及率の推移は、2008年をピークとして、減少基調となっています。 つぎ
「家づくり」は人生最大の買い物と言われますが、実際には建築業者に任せきりというケースがほとんどではないでしょうか。 しかし、つぎのような理由から、建築主(施主、発注者)も建築スケジュールの管理に積極的に関与したほうがよいのです。 ・定期的な進捗確認や打ち合わせを通じて、業者とのコミュニケーションを密にすることで、誤解やミスを防げる ・施工の各段階で現場を確認することで、設計通りに進んでいるか、品質に問題がないかをチェックできる ・建築中に新たなアイデアや変更が出てきた場合
住宅ローンを利用する際、団体信用生命保険(団信)への加入を条件とする金融機関が多くあります。 団体信用生命保険は、ローン返済中に契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、ローン残高を保険金で支払う仕組みです。 万が一の際に、ローンを引き継いだ家族が返済できなくなって住居を失わずに済むメリットがあります。 また、金融機関によっては金利優遇が受けられる場合もあります。 団体信用生命保険は基本的には死亡または高度障害状態になった場合に保障されます。 2007年ころから団体信
厚生労働省「2022年国民生活基礎調査の概況」から引用します。 介護保険法の要支援または要介護と認定された人と、その介護者との関係の構成割合はつぎの図のようになっています。 遺産分割の段階で、介護に携わった相続人が他の相続人よりも多く財産を分けてもらえる寄与分という制度は以前からあります。 一方で、子の配偶者や兄弟など、相続人以外の親族にはそうした制度はありませんでした。 近年、相続人以外の親族が介護を担うケースが増えてきています。 そうした人の貢献に報いるため創設され
会社員(給与所得者)にとって源泉徴収制度は身近な存在ですが、内容をきちんと理解している人はそう多くはないかもしれません。 源泉徴収制度の仕組みについてお話しします。 1 源泉徴収制度とは 所得税は納税者本人が自主的に申告して納税するのが建前ですが、給与所得などについては源泉徴収制度も併せて存在します 源泉徴収制度は、給与や報酬を支払う際に所得税を天引きし、納税者の負担を軽減するための重要な制度です。 所得税を支払う者(給与支払者)が、支払う際に所得税額を計算し、その金額を差
総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」から引用します。 2023年の空き家数は900万2千戸と過去最多、空き家率も13.8%と過去最高となりました。 空き家数の推移をみると、これまで一貫して増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となっています。 賃貸・売却用及び二次的住宅(別荘など)を除く空き家は385万6千戸と、2018年と比べ、36万9千戸増加しました。総住宅数に占める割合は5.9%となってお