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鎌倉ほのぼの散歩

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空とみらいの鎌倉散歩。鎌倉三十三観音巡りの思い出。
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#鎌倉三十三観音霊場

鎌倉ほのぼの散歩 はじまり

 鎌倉三十三観音様参り。  その壮大な計画を立てたのは、息子の受験を控えていた春でした。お弁当を作り、ファイルを整理し、叱咤激励し…でも肝心の勉強だけは親がなんとかできるものではありません。  それでも何かしたいな、と思いながら、何も思いつかないまま月日が経ち、塾が終わると迎えに行く毎日。いよいよ塾が忙しくなってきた頃、追い詰められた私は藁をもすがる思いで「神頼み」を思い立ちました。  ひとりで、とも考えましたが、せっかく鎌倉に行くんです。友達と一緒に巡ると楽しいだろう

鎌倉ほのぼの散歩 一番札所「杉本寺」

 空ちゃんとの待ち合わせは電車の中でした。  現地に着く前に電車の中で話し合おう、と話したわけではないのですが、まだ最初の行先しか明確ではなかったので、暗黙の了解で「じゃあ早めの〇時〇分の電車に乗るね」「了解。一番前に乗りま~す」みたいな感じでした。  お天気は上々。幸先のよいスタートです。  朝早いので東京行きとは反対方面の車内はガラガラでした。空ちゃんはなんと「短時間で効率よく回らなきゃいけない、と思って、大雑把だけど考えて来たよ」と、今日のルートのシュミレーション

鎌倉ほのぼの散歩 八番「明王院」(七番「光触寺」)

鎌倉三十三観音様巡り 2日目  「見て見て~。NAVITIME(※ナビタイム)のアプリを入れてみた」  その日は空ちゃんが、お寺に向かうバスの中でアプリを見せてくれました。GPSで徒歩の音声道案内をしてくれるというスグレもの。 「うわ、すごいね。文明の利器だね。頼りになる~」  歩きになったら早速使ってみよう、ということになりました。  ところで実はこの日、一番遠い「光触寺」に向かっていました。やはりポツンと遠い場所というのはなかなかルートに組み込みにくいのです。

鎌倉ほのぼの散歩 二番「宝戒寺」

 「明王院」を出て、次のお寺は「宝戒寺」。鶴岡八幡宮に近いところにあるので、比較的街中にあるお寺です。  この日どうしてそんなことを思い立ったのかわかりませんが、遠くに来ていたにも関わらず、鎌倉八幡宮方面を目指して歩いていこう、その途中でどこか美味しそうなお店があったら入ろう、という話になりました。  ナビ子もいることだし。  大きな道を歩き出し、最初は良かったのです。ところがなかなか、お店が無い。あっても、定休日がほとんどです。空ちゃんのお仕事の都合もあって、参拝は平

鎌倉ほのぼの散歩 四番「長谷寺」

 某月某日、夏日。  大仏様にご挨拶した後は「長谷寺」に到着。こちらも大きくて有名なお寺です。  「長谷寺」には見どころがいっぱいです。浄土を表現した綺麗な庭園、弁天様を祀った弁天堂と、その先にある弁天洞窟、石段を上った先にある観音堂。その隣にある源頼朝が建てた阿弥陀堂、経典が収められた書架。写経場である書院、その他に博物館である「観音ミュージアム」、お坊さんの手作り精進カレーが食べられるカフェまでついています。  ところで、これまで触れていませんでしたが、お寺に参拝す

鎌倉ほのぼの散歩 二十二番「極楽寺」/十八番「光明寺」/十九番「蓮乗院」

 「極楽寺」はとても静かなお寺でした。  鎌倉に紫陽花を愛でるお寺は多く、こちらのお寺も季節にはかなりにぎわうとのことですが、私たちが訪ねたのは真夏。紫陽花もすっかり終わって、山門を入ると境内は思ったより広く、木立が爽やかな日陰を作っていました。  山門は茅葺屋根。素朴な佇まいです。  実は私、この時内心穏やかでなく、極楽寺でのことをあまりよく覚えていません。なにしろここに来る前の「成就院」でスマホを落として破損したばかり。どうしよう、もう買い替えしかないだろうか、とド

鎌倉ほのぼの散歩 番外編 長谷寺本尊造立1300年&記念観音列車

 『鎌倉ほのぼの散歩』では2019年の鎌倉三十三観音様参りの珍道中をご紹介しています。今回はなんと!このご時世になって初。空ちゃんと鎌倉に行って参りました。目的は長谷寺1300年祭に行き、そのために運航している江ノ電の特別な「観音列車」に乗ること。本当は観音様参りを再開したいところなのですが、ブレークスルーなどまだまだ侮れないうえ、空ちゃんのお仕事の都合などもあり、未だお休み継続中。しかし、感染状況も今は下火。いまだ!ということになり、先日ついに行ってみることにしました。

鎌倉ほのぼの散歩 二十番「千手院」/十七番「補陀洛寺」/十六番「九品寺」

 千手院も、光明寺の分院になります。蓮乗院は、光明寺の境内右手にありましたが、千手院は光明寺の山門を出て左手すぐ。  かつては学僧の僧房だったそうですが、江戸中期には寺子屋になったとか。赤い門をくぐると中は結構広く、細い道が続いています。江戸時代、ここに通った子供たちがいたのでしょうか。松尾芭蕉の句碑があります。まだ青々とした静かな緑の庭で憩いつつ、御朱印を待ちました。  さ。ここまでちょっとのんびりしてしまったので、先を急ぎます。  先を急ぎ……あれ?  このあたり

鎌倉ほのぼの散歩 十五番「向福寺」/十四番「来迎寺」

 九品寺を出た時点で、なんかこの近くにおそばの美味しい店があるはずなんだよ、と空ちゃん。ほんと、空ちゃんのリサーチ力はすごいのです。  えええ、それは行ってみたいではありませんか、ということでググりつつ探したところ、かなり近いところにありましたありました。  郵便局の近くの「梵蔵」さんというお店。ちょっと目立たないけれど、いかにも美味しそうな、雰囲気のある入り口。  が。しかし。近づくと嫌な予感。閉まってる! 「あああ。そうだ、今日は水曜日だ」  と、空ちゃん。そう

鎌倉ほのぼの散歩 十一番「延命寺」とモンブラン

 お待たせいたしました! 「鎌倉ほのぼの散歩」再開です。  前回のことなどすっかり忘れてしもうたわ、という方のためにこちら。   「鎌ほの」読者の方に、「そういえば、あれは完結、というか、三十三観音様全部を回って結願したところまで書いたんだよね?」と言われ、「え、えっと、その…」と口ごもった私。  実は…  …まだです。  なんと前回は、その日一日の出来事をおしまいまで書かないまま放置。  そうして4か月経過…。  ないわ~。  いやでもしかし、受験経験者にとっ

鎌倉ほのぼの散歩 二十四番「寿福寺」

 最初のコース設定では、この日は「寿福寺」「浄光明寺」「海蔵寺」を回って北鎌倉方面に抜けようか、と考えていました。  ところが、お寺が夏休みだったため回り切れていなかった「光触寺」の存在が重くのしかかります。  空ちゃんも私も、年内に回りきるにはそろそろスケジュールが限界です。  幸いこの日は、時間的には余裕がありました。  天気も上々。  少々、無理があるかもしれないけれど、「寿福寺」「海蔵寺」から「浄光明寺」と鶴岡八幡宮方面に戻り、時間があったらバスで「光触寺」

鎌倉ほのぼの散歩 二十六番「海蔵寺」

 前回はこちら。  ところでですね…  あ。すみません。  ちょっと寄り道いいですか?  昨日の『鎌倉殿の13人』なんですが。笑  義経は「腰越状」を平宗盛に代筆させたんでしょうか…  それだけ、昨日から気になって気になって。  当初から、この物語においての「腰越状」がどう描かれるのか、興味津々でした。  「腰越状」については、現代は諸説紛々で、義経が書いたのではないとする専門家もいるようです。でも、腰越状のような「起請文」というのは、普段の手紙と違って神に誓う

鎌倉ほのぼの散歩 イタリアン、そして七番「光触寺」ふたたび

 前回は、こちら。  はいっ。  お昼です。  いや、もう、お昼をいくらか過ぎています。  お腹が空きましたよ。  それはそうです。  朝早くから盛りだくさんで、すでに「登山」もしています。  「浄光明寺」さんから、鎌倉八幡宮、そしてお店のひしめく小町通りはそう遠くはありません。道もそれほど入りくんではいませんが、例のごとくナビ子のご案内が裏道なので、大通りから1本入った道あたりを、てくてく小町通りに向かいました。  途中、鎌倉市川喜多映画記念館の前を通りがかりまし

鎌倉ほのぼの散歩 二十七番「妙高院」/二十八番「建長寺」/二十九番「龍峰院」

 前回の6日目「ハイキングコース」に行く前のことです。  空ちゃんが遠方から来た友達に鎌倉を案内することになり、「建長寺」と「明月院」は先に回るね、ということになりました。  それで「建長寺」と「明月院」は別口で行くことになったのですが、特に有名どころの観光地ということもあって、ひとりでいくのもつまらないな、と思いました。  そこでお誘いしたのが七海ちゃん(仮名)。  快く承知してくれました。  名高い仏閣である「建長寺」は敷地も広大で(国の史跡に指定されています)、