鎌倉ほのぼの散歩 二番「宝戒寺」
「明王院」を出て、次のお寺は「宝戒寺」。鶴岡八幡宮に近いところにあるので、比較的街中にあるお寺です。
この日どうしてそんなことを思い立ったのかわかりませんが、遠くに来ていたにも関わらず、鎌倉八幡宮方面を目指して歩いていこう、その途中でどこか美味しそうなお店があったら入ろう、という話になりました。
ナビ子もいることだし。
大きな道を歩き出し、最初は良かったのです。ところがなかなか、お店が無い。あっても、定休日がほとんどです。空ちゃんのお仕事の都合もあって、参拝は平日水曜日や木曜日に当たることが多く、この日も確か木曜日。いけどもいけども、定休日です。
お店を検索しつつ、ナビ子の言う通りに歩いていると、なぜか裏道に誘われます。なんとなく方向性はあっているのですが、民家の裏側とか普通こんなところ通らないだろうと言う道を通らされる私たち。
ナビ子って実は、いまいちわかってないんじゃ…?
わかってるもなにも、相手はただのナビゲーションシステムです。不信を抱きつつも、まあなんとか見知った場所に出たときには、ふたりともグダグダのお腹ペコペコ。お腹が空いてくると、人間、よからぬ感情が芽生えてきます。
喧嘩までには至りませんが、とはいえ、灼熱の暑さだわ、足が疲れているわでなんとなく二人とも言葉少なになり、言葉を発すれば、ちょっと空気がとげとげしくもなってきます。
その腹いせはすべてナビ子に向けられました。
「ちょっと、ナビ子あんた。ナビ子でしょう?道、わかってないんじゃないの」
「しょうがないよ、ナビ子だって頑張ってるんだよ、たぶん…まだ慣れてないんだよ、きっと」
そんな意味のない会話をして、気分を紛らわせる二人。でも実はナビ子がいて(?)良かった、とも思っていました。ナビ子が緩衝材になっている限り、険悪にならずに済む、とふたりともどこかで思っていたのでしょう。誰が悪いのでもないのですし。
「そういえばさ、クルミッ子って知ってる?」
空ちゃんが言いました。私は知らなかったのですが、横浜には老舗の「鎌倉紅谷」というお菓子屋さんがあり、「クルミッ子」はそこの名物お菓子でした。
道の途中で立ち止まってサイトを見ながら「お昼を食べながら話そうと思ってたんだけど、そこのお店が新しくカフェを作ったんだって。それに行ってみたいんだ」と空ちゃん。
鎌倉八幡宮の近くまで行ったらさすがにご飯処があるだろうから、そこらへんでサクっと食べ、メインを「クルミッ子カフェ」に据えることに。
そうなると、俄然元気が出るふたり。というかこの時点で、次のお寺もあるというのに、既にクルミッ子のことしか考えられなくなっていました。
煩悩にまみれたまま、なんとか次の目的地「宝戒寺」に到着。
「宝戒寺」は別名「萩寺」とも呼ばれ、萩が有名です。萩の季節は秋なので、真夏は「この辺が萩」という感じにしか情緒を感じられないのが残念でした。境内には百日紅が咲いていましたが、やはり白萩が観られる秋にまた来たいものだ、と思いました(とはいえこの時点でそんな心の余裕はなく、後から思いました)。
1333年、上野国(群馬)の新田義貞の鎌倉攻めによって鎌倉は炎上、北条一族は滅亡しました。「宝戒寺」は、北条氏の菩提を弔うため、後醍醐天皇の勅命で足利尊氏によって当時小町邸と呼ばれていた北条氏歴代執権屋敷跡に建立されたお寺です。開山の慈威和上は円頓大戒と天台密教の道場として戒壇院を置き、僧に戒律を授ける寺として栄えました。
お参りした後、そう言えば写真を撮っていないよねという話になりました。それぞれの写真は撮ることができますが、二人一緒の写真は撮れません。出発前には「自撮り棒」が必要なんじゃないか、と話していました。しかし実は、とあるアドバイザーから「もしそこに参拝客がいたらその人に頼むといいよ。それもご縁だから」という話を聞いてから、人がいたら頼んでみる、人がいなければ頼まないという基本ラインができていました。
そう。その時まさに、ひとりの参拝者が通りかかりました。初めての遭遇!年甲斐もなくモジモジしていましたが、思い切って頼んでみると快諾してくれたので、この時は二人の写真を撮ることができました。お一人だったので「撮りましょうか」と言ってみましたが「いいのいいの。私近くなので、しょっちゅう来られるので」と断られてしまいましたが。
さ。後はふたり、若宮大通にGOです。クルミッ子カフェの位置を確認した後、道なりに歩いていると「繁茂」という看板が。おお、お蕎麦屋さんだ!シゲシゲだ!と思いましたが、正式な読み方は「はんも」。近寄っていくと、やはり定休日。その近くにあった「峰本」さんは空いていたので、早速そちらへ。美味しいおそばをいただきました。
その後、念願の「クルミッ子カフェ」へ。キャラクターのリスが可愛いのですが、そのリスがお店の色々な場所にあるのを空ちゃんが見つけ、お店の方に「よく見つけられましたね~。わりとレアな場所にあるんですよ?実はお店の企画でリスを探してみよう、というのがあるんです。お子さんなどにも好評なんですが、結構見つけられないところにあって」と驚かれていました。
(↑これは比較的見つけやすいところ)
カフェではクルミッ子が入ったケーキと、パフェをそれぞれいただきました。何しろ、相当距離を歩いたのでふたりとも喜びでいっぱい。笑
すっかり落ち着いたので、次回は無理せずバスだね、と笑いあったふたり。それと定休日に注意だね。それからナビ子は…
ナビ子は要注意!
声を揃えて言ったのでした。
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