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子どもの脳出血 息子の闘病記~#21 高校受験

さて、中学2年の2学期末あたりに、ようやく回路が繋がった感がしてきました。それまではぼーっとしたり、なんか変・・・と思うようなところが結構あったので、気にしつつ日々を過ごしました。
いま思えば、脳出血のせいで変だったのか、元もと変なのか・・・区別するのは難しい。まあ、自分の血を引いたわが子なので少々変でもおかしくないと思っていました。

中学3年生になると修学旅行があります。もちろん本人は参加する気持ちでいました。ところが、学校は「参加するのは無理なのでは?」という問い合わせ。しかも「現地での出血等起こしたら、全員そのまま帰ることになる」といわれ、「はあ???その意味が解りませんが?・・・うちの子の病気と他のお子さんとは全く関係ないですよね?そのことと中止にすることは別物ですよね?」
と食い下がり参加させることに成功。もちろん行かせて良かった。今でも思い出が残っているだけでなく、彼にとって自分の病気で肩身の狭い思いを残さずに済んだ。今、本人には全くそれがないので良かったと思っている。

回路が繋がったら、なんとか勉強も回復してきた。塾のクラスも元のクラスに戻り、そのまま受験体制に入っていった。私たちの住む県では、公立高校への入学基準として、入学試験は5割、内申5割でした。その内申も中学2年の3学期の総合成績、そして3年2学期の最終成績を係数をかけて換算し、点数化して査定する。その配分が5割となると、圧倒的に不利になる。
最終面接の際、
先生「公立受けるんですか?」
私「どの程度なら受けられますか?」
先生「希望される学校はちょっと無理かと・・・ただ試験が良ければ大丈夫だと思いますが、受かったらその公立に行かれるんですか?」
私「どうでしょうか・・本人の志望校に受かったら行かないと思います」
先生「それなら公立の希望を取り下げてください。」
この意味は、うちが受かって行かなかったら落ちる子が一人増えるからということだ。学校の気持ちは理解できるけれど、そんなのおかしいよって思った。受験の権利は誰にでもあるわけです。合否の問題じゃないと思うけれど。腑に落ちないでいると、私立の第一志望校に合格をもらった。もう公立受けなくてもいい。
息子もよく頑張ったと思う。あの状態からよくここまで持ってきたと思う。

志望校は中学受験のリベンジだった。同じ中学にはそういう男子が沢山いた。小学校の時中学受験をして、志望校に入れない子はこの公立中に入ってくる。そしてリベンジする。この公立中学校は私立ではちょっと知られた学校だった。毎年早慶の附属高校に30名ぐらい合格者を出していた。国立にもそれぞれ複数名合格者を出している。うちの県の公立は、男子は圧倒的に不利。真面目じゃないから・・・。結果的に男子の上位者はほとんど私立に行った。晴れて中学受験のリベンジもできたので、本人は何もなかったかのようにふるまっている。

そして定期検査の日、あの大きな血管奇形は無くなっていた。

中学3年の3月のことだ。気持ちよく卒業式を迎えただけでなく、高校入学においてもどれだけ晴れやかだったか。「明日が来ない」という不安の日から解放されたのである。このとき、主治医の先生も「いよいよ僕からも卒業だね」といった。

彼にとって、幸せな高校生活が始まった。



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