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癌になる前の日常生活への第一歩

先日息子は
「お母さん、パンを焼いてくれてありがとう!
すごく美味しよー」
と大喜びで食べてくれた。
その後、
「お母さんの具合が大丈夫だったら、もっと焼いて欲しいし、たくさん食べたいけど、大変だよね。
でも、具合が良かったら月に1回はパンを焼いて欲しいな〜」
と申し訳なさそうな顔をしながら伝えてくれた。
癌になって数年が経ち、その間、お菓子は作ったけど、パンを焼く体力と気力がなかった。
息子にとって私が焼いたパンを食べる事が非日常ではなく、本当は日常のことだった。
しかし、癌になり、当たり前の事が出来なくなっている母親を見るのは辛かったのだろう。
私のパンを食べた日は元気な頃の日常に戻ったような食卓だった。
私自身もパンを焼くと癌になる前に戻ったような晴れやかな気持ちになった。
5年間、息子ながらに、母親を気遣ってくれていたようだ。
思春期の男子にも関わらず、買い物の手伝いや重い物を代わりに持ってくれる優しい子だからこそ、言えなかったのだろう。
息子の笑顔を見たら嬉しい反面、申し訳ない気持ちも生まれた。
病気になってごめんね。
癌が転移してごめんね。
完治が無理と言われてごめんね。
だけど、少しでも元気なころに戻れるようにお母さんも頑張るね。
少し右半身の動きに違和感があるので、
音楽活動の合間にリハビリ兼ねてパン作りもしてみたい。
2025年、癌になる前の日常へ戻れるよう、頑張って生きたいです。



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