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中学受験塾というところ

2022年の幕開け…まだ三が日だけど、のんびりしたお正月を過ごしていたら、お正月でも稼働している中学受験塾について書いてみたくなった。
去年2021年に娘は受験を終えた。
無事に志望校に合格して、毎日楽しく学校に通っている。

今年と違い去年の年末年始は元日を除いては朝から夜まで塾だった。
「正月特訓」という名のお弁当持ちの講座。
東京地方では年が明けて一週間もしないうちに埼玉受験が始まるのだ。
そのあと千葉、そして2月1日から東京や神奈川で入試が始まる。
だから、お正月なんてない。
生徒も先生たちも事務のスタッフさんたちもお正月がない。
けれども一年前の正月の3日に娘は言った。
「毎日正月特訓だったらいいのに!」と。


朝から晩まで塾というと眉をひそめる大人も多いかもしない。
ただ…勉強や塾に通うという行為にも向き不向きがある。
(不向きだから通わないほうがいいという意味ではない。
私も音楽の才能はないけれど楽器を弾いているしレッスンにも長く通った)
娘や彼女の塾時代のお友達は向いている子どもたちだったのだろう。
そこでは受験を知らない大人たちが思うのと少し違う世界が繰り広げられていた。
振り返ってみると娘たちとって、塾は学べる場所であるとともに学校とは違う「居場所」でもあったのだなと思う。

学校の友達とは話が合わないけれど、塾のお友達とは合う。
勉強ができるがゆえに学校で「浮きこぼれ」てしまう子もいる。
もっと学びたいのに周りのペースに合わせなきゃいけないのがしんどい子もいる。
学校には行きたくなかったけれど塾は楽しいという子たちもいるのだ。
娘は学校でも素晴らしい先生方や優しい同級生にも恵まれていたけれど、やっぱり塾は楽しいと言っていた。

そういう子たちにとって塾というのは自分を出せる場でもあったのかもしれない。
とはいえ塾で大事なことは勉強ができるようになることであり、授業。
とにかく授業が楽しく面白かったらしい。
娘はいまだに塾の話をするけれど勉強の内容もさることながら、先生方の話も多い。

たぶん塾の先生というのは、人によっては一般の人生のルートに乗った人とは若干違う道を歩んでいるアウトロー的なところがあるんじゃないかと思う。なので個性的な人も多いし、子どもそれぞれの個性も受け入れられていたように思う。娘はとにかく授業でも授業外でもよく勉強を見ていただいた。

中学受験のお仕事漫画である『二月の勝者』にもあったように濃密な3年間を過ごすのに卒業したら会うこともない不思議な関係。


娘が通っていた校舎の校舎長は子どもたちの前では笑わない厳しい人で有名だった。ある時の保護者会で、「合格したら塾や我々のことは忘れたらいいんです。もうここに戻ってきてはいけないのです」と言っていたのが私の印象に残っている。


娘が合格の挨拶をしたとき、クールなその人が目を細めながら「未来がありますね」と言ってくれた姿を今も時々思い出す。
中学に毎日楽しく学校に通い、学校の話をこれでもか…というくらいしてくれる娘を見ていて思う。
塾の先生方が娘に与えてくれたものは単なる勉強でも合格でなく「未来」だったんだなと。

今年ももうすぐ入試が始まる。
子どもたちがベストを尽くせますように。





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