うつになった日 #6 〘回復と気付き〙
私は約1年半前にうつ病・パニック障害を経験しました。
このシリーズでは、私がうつに至った経緯、どんな症状だったか、どう回復していったかを書いていきます。
自分の経験を言葉にして整理することで、自分を深く理解していくと共に、同じ悩みを持つ誰かの参考になればいいなと願って。
回復の兆し
症状が出てから1ヶ月ほど経った頃、まだ過呼吸になったり、耳が閉塞して突発的な難聴になったりしていて、1人で外出できる状態ではなかった。
ある日、通院の帰りに図書館に連れて行ってもらった。
図書館の大量の本の前にいると、なぜだか気持ちが落ち着いた。
ここにいると過呼吸にならない気がする。
私はたくさん本を借りて、その日からとにかく本を読みふけった。
その時期は、小説をたくさん読んだ。
中でも、東野圭吾・池井戸潤あたりが夢中になって読めた。
本を読んでいると心が安定することが分かり、日中は寝ているだけじゃなくて起きて本を読むことが増えた。
そのうち、アマプラでドラマや映画を見るブームがやってきた。
そこでも東野圭吾・池井戸潤が原作の映画をよく観た。
あと、遅ればせながら「おっさんずラブ」にハマった。
そうして家で本を読むかアマプラを観ている生活はすごく楽で、どんどん心が元気になっていく気がした。
この頃、調子に乗って1人で子供を保育園まで送っていったら途中で過呼吸になって結局夫に出動してもらったので、油断は禁物だった。
1人で外出ができるようになった
3ヶ月ほど経って、子供の夏休みが終わった頃、私はようやく1人で外出できるまで回復した。
引き続き本を読みふけっていたのだけど、読むジャンルが小説だけでなく、繊細さん向けの本とか、手芸などの実用書、育児書などを読んだ。
たまにカフェで本を読んだりして、そんな時間が嬉しかった。
そんな様子を見て、夫は出社する日が増えたが、夜7時頃には帰宅してくれて、夜の忙しい育児時間を一緒に過ごしてくれた。
復職しようかな、などと考えてみたり
そんな落ち着いた日が続き、ふと復職が頭をよぎった。
元の部署に戻るのは気まずいし、何よりやっていける自信がない。
でも別の緩めの部署でなら働けるかも。
課長と連絡を取り合っていたので、何気なく、
「復職する場合、部署異動の希望は出せますか?」
と聞いてみた。そしたら、
「え、復職するの?」
みたいなリアクションを取られた。
なんでだろう。もう辞めると思ったのかな。無理だろうと思ったのかな。
それとも私のことを心配してもう辞めといたらっていう気持ちだったのかな。
何れにせよその態度が私はショックで(これってまた本人の気持ちを聞かずに勝手に自分が相手の気持ちを想像して落ち込んでしまっている)
一気に復職する気力はダウンしたのだった。
とにかく休めるだけ休もう・・・
仕事じゃなくてお母さんを全うしよう
いろいろな本を読んでいく中で、佐々木正美さんという児童精神科医の先生の著書に育児のヒントをたくさんもらった。
子供はたくさん甘やかして、たくさん可愛がって、たくさん抱っこしたらいいよ。それが土台となって子供は強くたくましく育つんだよ。
っていうようなことをとても優しい言葉で書いてあった。
私はこれまで子供に口うるさくしつけしていたことやイライラをぶつけていたことを反省し、子供のありのままを受け入れ、ただただ可愛がることに決めた。
それによって、子供は目に見えて落ち着いてきたのだった。
私はこうやって、子供に向き合って行こう。
家族を、子供を、幸せにすることを全うしようと決めた。
仕事ではなく、まずお母さんであることを全うしようと。
夫のことを心から信頼できるように
「家族を幸せにしたい」という気持ちは、夫との関係性の変化があったからこそ生まれたものである。
私はうつになるまで、夫に遠慮して、いい子ぶって、育児が辛いこと、仕事が辛いことを素直に話せなかった。
夫の前でちゃんと主婦業をこなす妻、育児をこなす妻、そして真面目に仕事をする妻でいなければならないと思っていた。
だから結婚してくれたのだと。
だから、それができなければがっかりされると思った。
でも、実際は、そんなことなかった。
過呼吸になって救急車に運ばれた時、本当に本当に心配してくれたこと、
その後も何もしなくていいからとゆっくり休ませてくれたこと、
ただ寝たり本を読んだりする私を微笑ましく見てくれたこと、
なんにもできない状態の私でも受け入れてくれて、
「居てくれるだけでいいんだよ」と言ってくれたこと、
あ、私ってそのままでいいんだ
って気付かせてくれた。
それでやっと夫のことを心から信頼できて、素直に甘えられるようになった。
私は夫が居てくれて幸せ。
夫は私が居てくれて幸せ。
ただそう思える関係になった。というか、そうだったことに気付いた。
今の私
私は今も心療内科には通っているのだけど、その通院がめんどくさいと思えるほどに回復している。
会社に戻るかどうかはまだはっきりとは決めていない。
育児についてはまだ結構悩んでもいる。
それと同時に、私と同じような育児や仕事に悩める人を助けたいという気持ちも強い。
今後、仕事をするならそういう方向の仕事をする。
でも、来週から始まる講座を通してまた気持ちは変わるかもしれない。
やりたいことはいっぱいある。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このシリーズはこれでおしまい