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教員の元気が出る会vol.29

ここ数ヶ月で、元気会主催仲間の谷上さんとみやしーが急接近しています。
その勢いを受けて今回は、3時間でみやしーを丸裸にしちゃおう!
というまれにみるボリューミーな元気が出る会となりました。

1、テーマと参加メンバー構成

【第29回】テーマ:「世の中につながる学級経営~「話し合う」を超えて「応え合う」学級!」

参加者:今回は把握しきれず…34名くらいの方が全国から参加してくださいました。
*オンライン開催(Zoom)

2、会の流れ


①オープニング
この会の趣旨説明と今日の流れ説明
名前+所属+所在地+参加動機+学校の役割とは?について、Zoomチャット欄に書き込みます。
今回は、チャット欄に書いてもらったものをスプレッドシートにコピペして一覧で見られるようにしました。

②みやしー×谷上さんの話
みやしーの話を谷上さんが引き出していきます。
時々みやしーは、学級の一場面の写真から参加者に問いをなげてくれます。それについて参加者は、ブレイクアウトルームに飛んで少し話をしてまた戻ってきます。
話の合間合間には、現在中学生になった元みやしーのクラスの子ども達が当時の話を聞かせてくれました。
途中、糟谷さんによるストレッチの紹介タイムもはさみながら…3時間たっぷり話を聞いたり、考えたりとあっという間の時間でした。

③エンディング
写真を撮ったり、感想をチャット欄に書き込んだりします。

④アフターセッション
残れる方だけ残って話します。
みやしー部屋、井上さん部屋、梶村さん部屋(井上さん・梶村さんは、みやしー学級の保護者)の3部屋に分かれてそれぞれの聞きたい話をより深く聞きました。
20時までのアフターセッションでしたが、話は尽きず21時まで部屋を空けることになったようです!

3、みやしーとは?

実は、過去の元気が出る会でもみやしーは、ゲストとして登場してくれています!
その時にもみやしーについて紹介させていただいているので、よかったらこちらもご覧ください。

宮下 章(みやした・あきら)
1964年神奈川県横浜市生まれ、埼玉県新座市育ち。横浜国立大学教育学部卒業後、横浜市の公立小学校教員に。学生時代の4年間を学童保育のアルバイト・ボランティアに注力。教育実習当時から、「目の前の子を楽しませる」ことをモットーに、「指導書」を参考にすることなくオリジナル授業を展開。教員としてこの春で35年を迎える。「応え合う」教室を目指し、「アイランド型座席」「立学」「称賛と改善(問いかけ)」「グループ研究~学園祭型授業」など多岐に渡る取り組みを行う。学外からも積極的にゲストティーチャーを迎え、100本を超える「世の中と繋がる授業」を実践。2017年には、教員、企業人、保護者、学生、民間の教育チームなど、異業種・異質なメンバーを募り、持続可能な世界にするための「授業」「学校」を考える学び集団「雑衆応」を結成、代表として活動中。

上記2021年2月4日のイベント情報ページよりプロフィールをそのまま引用させていただきました。
(このイベントの内容が気になる…!!)

私は、まだ数回しかみやしーと話したことはありませんが、みやしーを一言でいうならば「自然体」の方です。裏の顔なんてないんじゃないかな。(あるのかもしれないけど感じられないw)自分がよいと思うこと。よいと感じたことを真正面から日々取り組んでいる。そんな一瞬一瞬の連続をとても大切にされているような、そんな印象をうけるし、話せば話すほどファンになってしまう方です!(あくまでも私の主観です。)

では、ここからみやしーの話をご紹介していきます。(長文確実です!)

4、小さなエピソードにこそ世界の事実がある

地球温暖化、貧困、洪水、紛争、コロナ…世界には様々な課題があります。
それらは、どこか自分と遠い世界の話のような気になってしまいますが、本当は全部つながっています。
日本とアメリカのつながり、AさんとBさんのつながり。これらは、対象が異なるだけで本質的なところは同じです。
日々学級の中でおこる小さなエピソード。それをどうみるか。どうとらえるか。どうつなげることができるか。が大切なのです。

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例えばこの場面。
みやしーの学級では、そうじの時間机といすを下げるというルールがあります。でも、このしゃがんでいる男の子はそれをしなかった。そして女の子たちが机の上でホワイトボードを拭く作業をしていた。

この場面からどんなことを観察できましたか?
男の子はルールを破っているからダメだ。という見方もあると思います。でもこの子は、上で作業している女の子たちの邪魔にならないようにあえて机を動かさずに掃除をしていました。そして、机といすを下げるというルールは、状況によって変更しても問題が無いこと。教室を心地よいものにするという目的が達成されれば手段はいろいろあるということに気付けているのです。

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この場面は、先生が観察していないと見つけられません。そしてそういうメガネをかけていないとこの場面の価値を見落としてしまいます。
先生に必要なのは、何かを指導する力ではなくて、観察する力、そしてそれを学級全体にシェアする力なのかもしれません。
この小さなエピソードをどう価値づけするか、どう広げるか。どうつなげるかがとても大切で。
 わたし個人的には、小さなエピソードにこそ世界の事実があるというのは、日々の暮らしの中の些細な出来事の積み重ねで世界はできている。ということなのかなとここでは受け取りました。大きな課題に見える事実でも実は、様々な場所での小さな出来事が積み重なってできたものだと思うので、日常の様々な出来事を観察する目を持つことが大切なのだなと思いました。

5、環境設定

みやしー学級の掃除は、
「協力はしなくていい、自分の場所をやればいい」というきまりがあるそうです。(でも、結局すごく協力するようです。)

みやしーの環境設定がすごいなと思った話を紹介します。
掃除をするとなると掃除道具が必要ですよね。でも、子どもの数に対してほうきの数が少なすぎる学級って多くありませんか?そして、ほうき争いが起きます。(いいほうきを使いたい!!)
でもそんな争いは、先生側の配慮で変えられます。
ほうきの本数を増やせばいい
こどもの数分のほうきがあれば、そこで争う必要はありません。ほうきの数をそろえた分、こども達には違う次元で学べることがあるのです。

前回の非認知能力の話を元気会で取り上げた時にもこの「環境設定(ギミック)」の話が出たので、おぉ!!と思って紹介してみました。

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6、つまずきは成長のチャンス

「つまずきは成長のチャンスであり、そこから立ち直ったときにほめる」
失敗を恐れず、むしろそこにこそ価値があると思ってほしい。

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このみやしーのメッセージは、すごく心に残りました。
たしかに、毎日ハッピーに生きているだけだったら未来を解くカギはないです。課題をなんとかしたいとも思いません。

先程の話に戻りますが、「ちいさなエピソード=一人ひとりの生きづらさ」と置き換えることもできます。
「一人ひとりの生きづらさにこそ世界の事実がある」と。

7、「応え合い」にいくまで

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みやしーの大事にしている「応え合い」
「応える」
相手や自分やモノやコトに気づく、寄り添う、背景を想う、行動する

なぜ、この言葉にいきついたのか質問してみました。

「降りてきた!」

何か深い意味があるのかと思いきや!w
でも、降りてくる人に共通していることは、「つねにつねに考えている人」だなと私は思います。その人にとっては、降りてきた、降ってきたような印象かもしれませんが、それまでにずっと考えているから行動している人だからこそ導かれるように言葉が下りてくるのだと思います。
そして、みやしーは「世の中は、そんなにきれいじゃない!」とも。
そんな美しいストーリーがいつもいつもあるわけじゃないです。
え?そんな感じ?
みたいなことが意外と転機になったり重要だったりしますよね。
うん。確かに。

ちなみに…みやしーは小3の頃から「ノストラダムスの予言」を信じていて、本当に地球が滅亡してしまうとずっと思い続けているそうです。そのこともあって人生の目的を「世界平和」にしているのかな??

そして、今一番のフィット感のある「応え合う」は比較的最近降りてきた言葉のようです。
2011年の東日本大震災の頃は「つなぐ」。そこから、「超える」「挑む」などがあって今の「応える」に行きついたと教えてくれました。

そして、みやしーの考える「学校の目的」はこれです。

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ここからは、みやしーが実践している取組について紹介していきます。

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あくまでここで実践していることは、みやしーにとって手段でしかありません。
なぜ、この手段をとっているのか?みやしーの行動の源、目的は何か?を思い出しながらどうぞお読みください。

8、BAND授業

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「BAND授業」とは?音楽のバンドから来ています。
バンドのLIVEをイメージしてみてください。その時の温度感、一体感は、あらかじめ用意できるものではないですよね。同じ時間、同じ場所を共有している人しか作れないものです。
そして、その時のメンバーや空気感は、再現できるものではありません。指導案や指導書は見ないで、目の前の子どもたちとつくるその時限りの極上の学びの場づくりがBAND授業です。

授業は「受けるもの」→「つくるもの」
子どもも、保護者もこの価値観を変換しなければなりません。ですが自分でつくる授業はただ受ける授業の数百倍学ぶことが多いのです。

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9、アイランド型座席

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これは、アナログのインターネットの形だそうです。
基本は、真ん中の空間で学び(立学)、必要に応じてアイランドに自ら赴いて情報を取りに行く。学びに行く。そんな環境がみやしーの学級にあります。
板書もほとんどしなくて、どんどん立ち歩いて検索して学びます。

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みやしー学級で学んだ中学生が当時を振り返って、「クラスの中には、歩き回らないでずっと座っている子もいたけれど、そういう子の所に自分から見に行っていた。」と教えてくれました。
「全員立学」が強要されていない。全員一律でなくてもよい。という風土があり、それぞれの学び方を尊重し合い、いかしあう姿が浮かんできました。

10、コーチング、賞賛と改善、全員が

「コーチング」
どうしたら相手に伝わるのか。「分からない」「助けて」が言えることの価値。お互いが変化成長することは「世界平和」の学習であり、どの教科領域でも共通している。

これは、みやしーの根底にある価値観にふれるキーワードでした。

「賞賛と改善」
子どもたちが、お互いに観察し、記録し、賞賛しあう。

こんな場面が生活の中のあらゆる場面でみられます。そして、それに対して、みやしーは学級通信などで全体にシェアしています。

ここでのポイントを個人的に整理してみました。

①観察…何を観察すればよいのか、どんな姿に自分は価値を見いだすのかをみるスキル(非認知レンズをかける)を身に付ける

②記録…観察した結果を書き出す

③賞賛…誰かが表現したことに対して、無視しないで「応える」

④拡散…これらの事実を全体に広げ、より多くの人にこの価値観を共有する
←先生だからできること

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11、ALL PBL

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全ての授業のめあては。「~を考えよう」とはなっていません。「~を説明できる」としています。こうすることで、まず振りかえりが明確になります。説明できたかできなかったか。じゃあ説明の仕方、内容はどうだったかをS&A&B評価で振り返れます。
学習内容を学ぶのではなく、それらの学び方を学ばせたいというみやしーの意図を感じます。学び方を知っていれば、知識や課題発見の力は後からどれだけでもついてきます。

12、席替え

ここで、久しぶりにブレイクアウトルームにとんで、「席替えっってどうやってる?そもそも席替えって?」の話をしました。
・教員が全部決める
・お見合い方式
・自由
・くじ …

様々な意見が出ました。
ここでみやしーが話してくれて印象に残ったのは、
「偶然性」の話です。
仲のいい人、悪い人、いろいろな人がいて当たり前で。
じゃあその偶然出会った人と、どうなんとかするか。を学ぶのはすごく重要なこと。

「まぁ、だれとやってもうまくやっていこうぜ!それが、世界ともつながっていくよね!」
というメッセージとして受け取りました。
大人になっても、結局人間関係で悩む人がほとんどなのは、偶然出会った職場の人とうまくやれないからなんだよなぁと。人の好き嫌いをしてる場合じゃないよなぁということを考えさせられる時間となりました。

13、グル研学園祭型授業

これは、好き嫌いを超えて「協力」を学ぶ学習です。
偶然作られたメンバーでいかに高いパフォーマンスを発揮するかを学べる実践です。

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学級内通貨「ぐっどですよ!」を用いることで「経済」も学べます。そして保護者もこの学園祭では出店をされるそうです。それがまた本当に学園祭みたいで盛り上がるし、みんなが本気になるそうです。

たくさんの「ぐっどですよ!」を集めるためにどう客を呼ぶか。自分のグループのメンバーでどんな役割分担をするか。たくさんのコミュニケーションをとりながらこの活動をしている様子が目に浮かびました。

14、実験だから

たとえば掃除のシステム一つとっても、学校では「変えられないルール」のような顔をした、本当は変えてもいいルールはたくさんあります。

4月に先生が、「この学級ではこういうルールでいくよ!」と提示することって多くありませんか?(私もそうでした…)
でもそれってなんか変です。
一緒に作っていくはずなのに、勝手に変えられないルールとして縛るのは窮屈です。
だからみやしーのいう「実験だから変えていいよ」はすごくいいなと思います。最初に枠組みは絶対に作っておいた方がいいけれど、あとから実際に動きながらその枠組みは変えていっていいはずです。
子ども達にそう声掛けができる「自分のゆとり」を持てるといいなぁ~。

15、大事なこと

最後に、みやしーの大事にしていることをお伝えします。

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時間をかけて「ビジョン」は共有する。
ただし、手段は、一人ひとりの教員にゆだねる。
学校は、あれもこれもとメタボ状態。時間を生み出すために午前中で終わる学校へ!

喜びや楽しみだけじゃなく、悲しみや怒りもすごく大切にしなければいけない感情。どれかだけが良くて、どれかが悪いことなんてない。まずは、湧き上がってきた自分の感情を受け止めて、その上で行動に移すことが世界平和へとつながっていく。そんなメッセージとして受け取りました。

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現状維持を頑張るのではなく、型を破っていこう
こんなことができたという(短期的な視点)から
なぜこんなことに(長期的な視点)を考えられる視点の変換を!

「世界全体が幸福にならなければ、個人の幸福はあり得ない!」
どんな授業も常にこれを意識して行っている。
例えば、指先にとげが刺さっていたらそこが気になってずっと集中できないのと同じ。

世界のどこかで痛みがあると、どこか気になってしまう。そんなことを伝えたかったのかなと思いました。

「みやしーは、全部つながっている」
そんなことを話を聞きながらずっと感じていました。
様々な実践をされているけれど、どれもつながっている。1つだけまねしても絶対に失敗する。
だって、みやしーは、理想の子どもではなく、目の前の子ども達を見ているから。
目の前の子ども達を切り取らず、1日を通してみている感じ。まさに地域の町医者の存在です。
最初の話にもつながりますが、「小さなエピソード」を見つける、価値づける天才だなと思います。
価値づけるときにも、常に世界を意識しているところがすごいなぁとただただ圧倒されていました。

16、おわりに

アフターセッションで保護者さんの話を聞きに行きました。
みやしーのファンなんだな。
みやしーの実践というか、もうみやしーの人柄が大好きなんだということが伝わってきました。

でも、そこに答えがあるような気もしました。どんな素晴らしい実践を考えていたとしても、それをするのは「人」です。そこには、その人の「人柄」がにじみ出てきます。なんかよくわかんないけど、「この先生好き!」「この先生は絶対に自分のこと裏切らない!」「応えてくれる」そう思わせてくれる先生がいてくれる。ただそれだけで子どもも親も救われるし、一生救われ続けるのかなぁとしみじみ感じていました。

様々な実践や理論を学ぶこと
自分の人間性を磨き続けること
は両輪で進めていこう!
これからも元気に頑張ろうとエネルギーをたくさんもらう元気が出る会となりました♪

最後になりますが、みやしーそれから運営チームのみなさん、参加者のみなさんステキな時間を共有して下さりありがとうございました!!

過去最長になったかもしれないこの記録を、最後まで読んでいただきありがとうございました!!なんと6900字ですw
感想やリアクションなどで「応えて」もらえるとまたがんばれます(^^)

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