女は全てを持てないのか?〜大統領選後のニューヨーク
「女性のボディがとくに注目されるのは、出産後」と、冒頭写真の著者Stassiさんは書いています。
36歳TVタレント・ネット番組ホスト・ベストセラー作家である彼女は、2児の母。アメリカ版ママ・アイドル? 唯一パパラッチを怖いと思ったのが、妊娠・出産前後だそう。
私は日本で芸能関係のお仕事をしていたため、日本のゴシップが好きじゃないので見ないけど……それでも目に入るのは、スター女性の出産後のトピックです。
「奇跡のスタイル維持」または「信じがたい劣化」に二極化してますね。
余計なお世話だっつーの!産んで育てるだけで、大事業なのに……。自分を慈しむことも大切とはいえ、体重管理できてるママばかりを賞賛するのは、どうなんでしょう?
女の子たちまでそんなママドルの変容に飛びついてるみたいで、がっかりします。
「子なし」と罵っても当選しちゃうアメリカ
今回、民主党が負けたのは、「女だから」と結びつける気はさらさらないけど……。政治音痴ながら、バイデン政策の混迷ぐらいは、感じてたけど。
にしても、舌を巻くトランプの策略家ぶりは、性差なしには語れないです。
J D バンスの「子なしキャットレディ」のブローが効いてるし。トランプの討論拒否も、投票当日コメント「結果は想像がつかない」のしおらしげな表情も、「役者やなぁ!」と思い返します。(今回、できる女性をやりこめるのは、男女両方から不評を買いそうで得策でないと計算?)
いつもはTV番組やポッドキャストで紹介された本ばかり読んでいる、流されがちな私ことmint。珍しくこちらの本↑は、図書館の新刊コーナーで惹かれました。
なぜなら”あなたは全てを持つことはできない”――このタイトル、ワーキング・ママだったmintが最近ひしひし感じていること「そのもの」だったから……。
働き続けると理想地獄にハマるからくり
副大統領カマラさんはじめ、日本でも土井たか子さん(元・社会党党首、衆議院議長)や高市早苗さんなど、全ては持ってないですね。
にもかかわらず、日米問わず「仕事はハイスペ、スリムでファッショニスタ、料理上手、家はピカピカ、子どもたちは優秀」……みたいなのが「当然あるべきワーママの姿」のように言われるのは、なぜなんでしょう?!
ひとつ、経験上言える仮説があります。それは、今ではフルタイムのワーママである我が娘が小学3年の時のこと。大学のサークルの同窓会で、久々にお会いしたひとつ上の先輩 ヒロコさんの近況からひらめきました。
世話好きで陽キャなヒロコ先輩は、大手都市銀行の同僚とご結婚。その後、退職してご主人のアメリカ駐在に同行。広大なこの地でゴルフ三昧に明け暮れていたそう。ところが帰国したとたん、やることがなくなって……。KDDのアルバイトから始めて、その時点では契約社員に昇格なさっていました。お子さんは、高校生を筆頭に3人。
ヒロコさんは楽しそうに「家の中は散らかってめちゃくちゃ!」と。それを聞いて、ハッとしました。長いこと専業主婦だったヒロコさんにとって、仕事を始めたからには、前と同じに家事ができなくて当たり前。たぶんご家族にとっても、そうでしょう。
逆に、mintみたいに子どもの乳児期以外ずっと働き続けていると、世間の期待値通り「仕事を家事ができない言い訳にはできない」と思い込んでしまうのです。
更に悪いことに、出産直前まで働いていたため、「専業主婦になったからには、家事は完璧でないと」(乳児がいるのに!) その家事のクオリティを、激務のフルタイム復帰後も維持しようというのですから、もう発狂寸前。
ヒロコ先輩のお話を聞いたのは、健康にも支障をきたし、大好きな仕事を泣く泣くキャリアチェンジした時期でした。
幸せそうなヒロコさんのまろやかな笑顔と、なんと真逆な我が身。「仕事も家庭も」とギスギス欲張ったはいいけれど、趣味を満喫どころか、お茶一杯ゆっくり味わう時間もない……。
あげく、mintの精密検査結果のプリントを見た若いドクターが「いったい何をしたらこんな数字になるんでしょう?」と、真剣に訊いてきました。感嘆と呆れが半々の、あの表情は忘れられません。
娘はワーママの因果を断ち切れるのか?
今現在、娘からのSOSで家を訪ねる度、胸が痛みます。私の真似しかできないのか、リビングがきちんと片づいているから……。
「あのね、子どもが小さいうちは、家なんか片付けなくていいのよ」と諭しても、娘は困った顔をするばかり。冷凍食品についても、同じです。
娘の身体が心配で、帰国時の休日に無印良品やPicardの冷食売り場に連れていき、「こういうのを活用したら? 美味しいみたいよ」と勧めても、「使い方がわからない」と言うのです。
「えっ? そんなわけないでしょ!」と声を荒げかけて、やめました。mintも冷食なんて食べさせたことないから。娘には「おかずが凍っている」意味がわからなかったみたいです。(一度お弁当のアクセントに冷凍ミニグラタンを入れたことがあったけど、残してきたのでやめた)
だいたい、だれがそんな「完璧ワーキング・ママ像」を作りだしたのか? 逆説的ながら、「全てできないんだったら、大人しく家にいろよ」的な、モラハラ寄りの男性たちの総体みたいな気を感じてしまった、今回の大統領選でした。
民主党敗退後のNYの街は、2020年の勝利と対照的に、不気味なほど静か。怖いほど変化なし。先日、あの頃住んでいた熱狂のアッパーウェスト↑の人気カフェに立ち寄ったら、相変わらず混み合って平和でした。
ちなみに、ヒロコ先輩はその後正社員となり、バリバリだそう。mintはといえば、”全てを持つことはできない”↓をナナメ読みしながら、「豊かとは言えないこれまでについては諦めて、今後をプランニングするか」という気になってきたところです。
ハリウッドの引き寄せエキスパートが「ぜんぶ乗せ」を深掘り
この本の表紙の通り、カオスな人生を生きてきたmint。女性は「全てを持つことはできない」というより、「全て持ったとしても別にカッコいいものではない」と、しみじみ。
一度きりの人生、世相に押されて「ぜんぶ乗せ」で燃え尽きるより、優先したい項目の上からいくつかだけにカスタマイズする方が、イキではないでしょうか?
例えば、このトークショー↓のゲストDavid Ghiyamさん(左)は、15歳で株でミリオネアに。19歳から9年間、ハリウッドのセレブらに無料でスピリチュアル・アドバイス。現在は有名ビリオネアらのコンサルタントも担当する「引き寄せエキスパート」。
ある年、35-40歳過ぎの「ソウルメイト男性を引き寄せたい」キャリア女性のグループをカウンセリングした時のこと。彼は「あなたたち、仕事では引き寄せが得意でこんなに成功してるのに、なぜ男性を引き寄せられないわけ?」と深掘りしていきました。(7:20あたりから)
すると、表面上は「理想の彼氏ほしい〜」と言っていても、無意識では「独身が最高」「指図されたくない」「バスルームをシェアしたくない」「子どもを産んで体型が崩れるのはイヤ」などの願いがあることがわかったそうです。
ならばそれらを優先した人生のほうが、満足度が高いでしょうね。
全てよりキラキラなもの
我が娘はmintに似ず、融通が利く世渡り上手。今では生協さんで冷凍おかずを買ったり、うまくやってるみたいです。週末は家事と仕事の準備に捧げていたmintと違い、家族で近場にお泊まりや、話題の遊び場に。なるほど、それなら家事は要らないもんねぇ……。
バカな母をどんどん忘れて、どうか「全部じゃなくても十分すぎるキラキラ」を持っちゃってください!
これをお読みの、子育て真っ最中の皆さまはもちろん、あらゆる女性の皆さまもね!!