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新入社員の「電話研修」は、もう時代にそぐわない

マイクロ人事部長」の髙橋実です。

先日、職場での「固定電話恐怖症」についての記事がありました。

僕も新入社員の頃、仕事のイロハも分からないので、まずやらされたのがこの「電話番」。オフィスの固定電話をとることです。

「電話は様々な人からかかってくる。これが一番仕事を覚える早道だから、職場の誰よりも先に電話を取れ。」

先輩は、僕にそう言って、職場の先輩の衆人環視のもと、かかってくる電話をひたすら取ることに。それが、新入社員の「関門」でした。

僕の記憶では、電話機の使い方(何番でピックアップするなど)は教えてもらったけれど、業務電話のポイントは、一切教えてもらったことがありません。

本当に、この仕事が、嫌いでした。
今でも、電話は、仕事で苦手な業務の一つです。

スマホと固定電話は全く違うもの

現代の若い世代は、子供の頃からスマートフォン(スマホ)を使っている世代。でも、固定電話に慣れ親しんできたベテラン社員にとって、若い世代のスマホと固定電話の違いのギャップを、理解できない人が多いようです。

スマホは、「個人宛に特定してかかってくるもの」。オフィスの職場共有の固定電話のように、「不特定多数の人からかかってくるもの」とは、全く別物なのです。ベテラン世代は感覚的に理解していても、固定電話すらない家庭に育った現代の若い世代には、そもそも経験もしたことがないこと。この違いをしっかりと教えてあげなければ、彼らにとってみると固定電話はモンスターでしかない。

僕も人事として新入社員研修で電話研修をやったことがありますが、この「スマホ世代」の若い世代は、「もしもし」と言えない人もいます。
自分宛に電話がかかってくる前提で「もしもし」は不要ですよね。寧ろ彼らからすれば、「もしもし」は、無駄でしかない

職場の電話は、3つのことをやる「マルチタスク」の仕事

新入社員の「電話番」は、かかってくる電話はほぼすべて「自分以外の人にかかってくる電話」。つまり「電話の取り次ぎ」です。

じつはこの仕事は、恐らく職場で行う初めての「マルチタスクの仕事」なんですね。これをしっかりと理解させてあげないと、いつまでたっても電話番がうまくできない。

電話の取り次ぎは、「同時に3つのタスクをこなす」ことなんです。

①相手の言葉を聞く
②相手の言っていることを理解する
③誰に繋ぐべきなのか判断する

3つのタスクをこなすのって、仕事をしたことのない新入社員には、とても辛い仕事。恐らく、ほとんどの人が、できないもの。
でも、ベテラン社員からすれば、慣れている電話は、簡単な仕事になってきているんです(確かに、コツをつかめば分かるが、そこまでは、高い壁がある仕事なのです)。

どう教えるべきなのか?

僕はまず、この「3つのタスクをこなす仕事であることを理解する」ということから始めています。まずは、「仕事の理屈」を理解することから始めます。そして、「相手の言っていることを理解することをやめて、メモを取れ」と伝えています。

そもそもできない仕事なのだから、一生懸命相手の言っていることを理解しようとするけれど、分からない言葉が出てきた途端に、「相手の言っていることが聞けなくなる」のです。だから、まずは、相手の言っていることをとにかくひたすらメモを取る。そこで、考えることを止めさせます。

そして、一通り話を聞いて「メモを見返して、考える」。つまり「一つだと思っていたタスクを二つに分ける」ということをやらせるのです。こうして徐々に慣れていくと、初めてできるようになります。
(まあ、若い世代は、そもそもメモを取ることも慣れていないので、ここで躓く人もいますが)

でも、固定電話の時代は終わっている

こうして、職場の仕事に慣れていくプロセスをしっかりと理解させていくことも大事なのですが、若い世代の経験と時代背景を考えると「固定電話は昔の遺物だ」と考えていくことは、必要だと思います。

今では、電話しかなかった時代より、圧倒的にメールやSNSメッセージなどの文字コミュニケーションでも、やりとりができる。僕も、数年前から仕事は文字コミュニケーションに切り替えていっていますが、今ではクライアントや他の人とも、電話をするのは、1か月に数回。そのくらい、不要なものだし、そもそも携帯電話がこれだけ普及していけば、電話をしたい人は直接かけてしまってもいいのではないでしょうか。ベテランの方々は、こうした時代背景を鑑みて、「職場の固定電話を廃止する」という英断も、考えていいのではないでしょうか。

若い世代は、そもそも固定電話の文化も知らない。それほどコミュニケーションのスタイルは変化しているし、寧ろ固定電話に固執する方が、時代に乗り遅れているとも言えると思います。

電話は、「相手と時間を共有しなければいけない」ツール。より職場での生産性を上げるためには、文字コミュニケーションを活用した方が、よっぽど仕事の生産性も上がる(電話は、時間が共有できなければ何回もかけなければならないし、そもそも、「他の人に取り次ぐ」という業務そのものが、そこに意味がない仕事であることに、気づくべきです)。
※ここはまた、別のNoteで書きたいと思います。

「あいつは電話が取れないから仕事ができない」とか、
取り次ぎをしても「何を言っているのか分からない」とか、
ベテラン社員の皆さんは、そんな風に新入社員をいじめたり、早くから見放さないでくださいね。

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髙橋実@マイクロ人事部長
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