
カフェ経営で利益を出すための4つの方法
売上だけでは利益は生まれない
飲食店やカフェの経営において、「売上を上げること」が目標とされることがよくあります。しかし、売上だけを追い求めても利益は出ません。売上第一主義が蔓延していると、利益を生み出す本質的な要素が見落とされることになります。例えば、売上を伸ばすために価格を下げる戦略を取ると、一時的に顧客が増えても利益率が低下し、最終的に経営が圧迫されることがあります。
では、利益は何で決まるのでしょうか?また、利益を効果的に増やすためにはどのような施策を打つのが最も効果的なのでしょうか?
利益の決定要因
利益は以下の4つの要素によって決まります。
顧客単価(客一人あたりの支払金額)
顧客数(来店客数)
原価(食材や飲料などの仕入れコスト)
固定費(家賃・人件費などの固定的な支出)
利益の計算式は以下の通りです。
利益 = (顧客単価 × 顧客数) - 原価 - 固定費
つまり、
顧客単価を上げる
顧客数を増やす
原価を下げる
固定費を削減する
といった戦略を取ることが利益向上の鍵になります。今回は顧客数を固定した状態で、4つの施策のうち利益を簡単に増やせるのはどの方法なのかを考えます。
具体例:あるカフェのケーススタディ
現状のカフェの数値
顧客単価:1,000円
顧客数:月500人
原価(顧客単価あたり):300円
固定費:400,000円
この場合の利益は、
利益 = (1,000 × 500) - (300 × 500) - 400,000
= 500,000 - 150,000 - 400,000
= -50,000(赤字)
このカフェがあと50,000円利益を増やし黒字にするにはどうすれば良いでしょうか?いくつかの方法を比較してみましょう。
利益を5万円増やすためのシミュレーション
1. 顧客単価を上げる場合
利益を50,000円増やすために、顧客単価 X を求めます。
(X × 500) - (300 × 500) - 400,000 = -50,000 + 50,000
X ≒ 1,110円
つまり、顧客単価を 11%(110円) 上げることで目標の利益を達成できます。
2. 原価を下げる場合
利益を50,000円増やすために、原価 Y を求めます。
1,000 × 500 - Y × 500 - 400,000 = -50,000 + 50,000
500,000 - Y × 500 = 550,000
Y ≒ 190円
つまり、原価を300円から190円に削減する必要があります。食材の質を落とすことなく、110円分のコストカットを実現することは難しく、仕入れ先の見直しやメニュー変更が必要になります。
3. 固定費を削減する場合
利益を50,000円増やすために、固定費 Z を求めます。
1,000 × 500 -300 × 500 - Z = -50,000 + 50,000
500,000 -150,000 - Z = 550,000
Z = 350,000円
つまり固定費を50,000削減する必要があります。ここでは簡易的に固定費=家賃+人件費として考えます。
固定費を 50,000円削減するには、人件費を見直す必要があります。家賃については、店舗の場所を変えることが難しい場合が多く、大幅な削減は現実的ではありません。
例えば、
家賃が150,000円の場合、人件費(250,000円)から50,000円削減する必要があります。
これは 20%の人件費カット に相当します。
スタッフの勤務時間を削減したり、オペレーションの効率化を図ることが求められます。しかし、スタッフの勤務時間を削減することや、オペレーションを効率化することは簡単ではありません。例えば、ピーク時の人員配置を見直すことでコストを削減できますが、サービスの質が低下するリスクがあります。また、業務の自動化を進めることで効率化を図れますが、初期投資やスタッフの習熟期間が必要となるため、短期的には難しい場合もあります。
どの方法がインパクトが大きいか?
顧客単価を上げる → 11%の値上げで達成可能。メニューの高級化やセット販売で実現できる。
原価を下げる → 36%削減は難易度が高い。仕入れの見直しが必要。
人件費を削減する → 20%削減は容易ではなく、削減自体難しいケースも多い。
よって
顧客単価の向上(値上げ・高付加価値メニュー導入)が最も利益に対するインパクトが大きいと言えるでしょう。
具体的な施策として、以下のような方法が考えられます。
メニューの高級化:プレミアムな素材を使用した限定メニューの提供。
セットメニューの導入:単品よりも割安感のあるセット販売を展開。
価格改定:単純に値上げ。
サービスの充実:特別な体験や高品質な接客を提供し、価格に見合った価値を提供する。
まとめ
カフェ経営において、売上だけを追うのではなく、
顧客単価を適切に設定する
無駄なコストを削減する
固定費の見直しを行う
といった視点で利益を考えることが重要です。経営を長く続けるために、「売上」ではなく「利益」に目を向けましょう。